THE MANZAI20014 決勝 グループA第二組
一組目の四畳半兄弟は、ネタの導入から中々本題に進まないというネタで、会場を温めた。
つづいては二組目のプラスティックトゥリーの登場である。
プラスティックトゥリー(東京よしもと)
花はじめ(27)ボケ担当
愛実典太(23)ツッコミ担当
BGM
愛実「はいどうもプラスティックトゥリーです、よろしくおねがいします」
花「いきなりですけどボクやってみたいことがありまして」
愛実「はいはい、なんでしょう」
花「2階から目薬ってごぞんじですか」
愛実「残念ながらぞんじあげすぎてるに決まってんだろうがそんなの、コトワザのだよな、難しいことをすることの例えでつかいますわね。それがどうかしましたか?」
花「アレを今からやってみたいなあと思ってて」
愛実「やってみたいだと?コトワザをやってみるとかなめてんじゃねえぞ。そんなの実際やるやつなんていないだろ。どんぐりが横にならんで背をくらべたりサルが木から落ちたりはしないでしょうよ」
花「そこをなんとか、なっ。なっ、手の長い人はオレがやるからお前が目薬やってくれよ」
愛実「なんだよ目薬って。どうやればいいんだよ」
花「二階から目薬なんだから普通言わなくても解んだろ。簡単じゃん。二階から飛び降りてオレの目に飛び込んでくれるだけでいいから」
愛実「いや無理でしょ無理でしょ、何危ないことさせようとしてんだよお前、無理を承知で簡単なこと言ってんじゃねえぞまったく、百も承知だけどよ、もっとも目に飛び込むクダリなんて物理的に不可能だからな」
花「コントに物理法則とか、真面目か!理解力ゼロか!お前コンビニのコントでいちいち本物の履歴書書くところからはじめる人なんて見たことあんのか」
愛実「生まれてこのかたねえよ!面接に受かってからやっと始まる原寸大のコントなんて見たくねーわ」
花「そう思うだろ。お前の行き過ぎた真面目っぷりが俺にそう口走らせたんだぞ。落とし前つけろ。俺だってそんなの言いたくねえよ本当は。おととい来い、でもコンビニだったから被害がまだ最小限で済んだんだぞ。これが裁判のコントだったらどうするんだよ。世も末だぞ。お笑い芸人やりながら弁護士になるためにはどんだけの血と涙がこぼれ落ちやがてそれは川となりゆくと思ってるんだ、お前司法試験の鉄壁のディフェンスなめてんじゃねえぞ」
愛実「大げさなんだよ、マジ弁護士になんなくたって十分コントはやれんだよ」
花「百歩譲って、弁護士ならまだ可能性は残されている、しかし不運にもそれが外人コントだとしたらどうする気だ」
愛実「別に俺たちがありのままの姿見せりゃあいいだけじゃねえか」
花「そうなったらお前、タイムマシンに乗ってお前が生まれる前に戻り若かりしころのアホヅラしたお父さんに頭下げてお願いするしかなくなるんだぞ、至難の業だぞそんなの。お前が一生の運を使い果たしてもしうまくいったところで、結果的にお前は今のお母さんを失い、その上ハーフにしかなんねーからな、努力のすえの半外人コントだからな」
愛実「アホヅラは余計だよ、半外人コントってなんだよ、半魚人みたいに言ってんじゃねえ懐かしいな。二人でやるんだから条件合わせろよ、お前も一生の運使い果たしてからハーフになって来いよ。待ってるからな。」
花「ああ。完全無欠の半外人になってお前の前にふたたび姿をあらわそう」
愛実「なんだよ完全無欠って、ロックンローラーみたいに言ってんじゃねえぞ。半外人である以上完全体には到達できない、それがジレンマだ。・・・ていうかそこまでしなくていいんだよ。お前こそ真面目か」
花「理解できたのかこの石頭。言ってるだろ、コントは演じるだけでいいんだよ。準備はいいな、お前が目薬をやって、俺が腕の長い人をやる、よし今からやってみるぞ」
愛実「目薬はさて置くとしてだな、腕の長い人ってなんなんだよ、じわじわ効いてきたきたぞいいボディブローだな、意味不明なんだよお前さっきから聞いてりゃさあ」
花「足りてないのかお前は。二階から目薬でふつう二階から一階に目薬をさすとしたら普通に考えて腕がそうとう長くなけりゃ実行出来ないだろうが」
愛実「普通そうは考えないんだよ。二階から目薬とはお前、一階にいる自分に向かって玄関から侵入した長い腕が家の経路を空中旋回して無事にたどり着いた二階から自分の手指をもってして目薬をさすことだと思ってたのかお前、そんな軍事ミサイルみたいに追跡する手腕があるわけないだろ、そういう常識のスキ間を狙ったコトワザじゃねえんだよ。あれは素直に二階にいるひとからは一階にいるひとの目にむかって目薬を命中させることが難しい、という著しくささやかなそして恐ろしいほどに共感性の高い例えなんだよ、まず第一条件として腕の長さの難易度なんてのを考える狂った奴なんかこの世界にはひとりもいねえんだよ、森羅万象に認知されてもいないそしてそれは金輪際にまで及ぶであろう無類の潰滅的エピソードがましてことわざなどという汎用的次元にまで上り詰めていくわけねえんだよ市民感情的に!」
花「なんでだよ」
愛実「読んで字のごとくだよ。お前な、家の間取りが玄関からすぐ設置された階段だったとしよう、腕が迂回するならざっと見積もっても20mくらいは必要だろ。それどころか運が天より見放され、玄関から一番はなれに階段が遠ざかっているパターンだってあるんだぞ。広い家なら長い廊下が最低でも10mくらいはあるよな。それをいちいち往復してたら戻った頃には計40m以上にはなってるんだぞ。そんな長い腕なんてあるわけないだろうがよ」
花「だから真面目か!コントなんだから現実じゃねえんだぜって話しじゃねえのかよ、はじめから。お前外人女性のガードの硬さ見くびってんじゃねえぞ」
愛実「腕の非常識さ加減と外人女性の落としづらさは無関係だぞ。お前の執拗な要求の内容はもうわかったから、今からやってみようぜ」
・・・・・・
花「あ~緊張するな~、ああ怖いなあ、無理だ、俺にはむりだよ・・・絶対むりなんだよな~」
愛実「何だよその前代未聞のできませんアピールは。お願いですから巻きでやれ。ネガティブすぎんだよ、お前さっきから何に緊張してんだよ」
花「め、目薬が喋った」
愛実「文句あんのか。目薬だって喋る権利はあるだろうが。今はコントの最中です、現実に縛られていてはいけません、あなたさっきそう僕におっしゃいませんでした?不安がってんじゃねえ、細かいこと気にし出してんじゃねえぞてめえ。そこは喋れるようにしておけよ、目薬だって何だって喋るぞ気が向くのなら。心の準備が足りてないんだよお前は、その様子じゃ地蔵だって喋るぞ、さっきからじっと見てたけどお前一人の迷いのせいでこの先100km渋滞の恐れは確定だわ」
花「怖いんですよ、ボク、腕をのばす手術を受ける決心が一度は出来たんだけど、でも不意に、実際ボクにそんなこと出来るんだろうか、一度不安が膨らみはじめたらそれを抑え込む勇気が出なくて」
愛実「真面目か!そこははじめから腕の長い人の設定にしとけばいいじゃねーか」
花「心理描写もきちっと追っていくリアルなコントにこだわってるんだよこっちは」
愛実「なんだそれ。触手みたいな腕にんげんにリアルなんて求めてんじゃねえよ、クリストファー・ノーランか」
花「ボクは負け犬だ、所詮ボクには勇気が足りない。どうすればいい・・・どうすれば。決めた。神がボクの枕元に顕われてそう告げたんだ。これよりオレは、全く知らない異国の地へと、冒険の旅にでることにする」
愛実「刻むな刻むな。今どきのダンスミュージックかお前は。刻みへの執念が適量を超えてしまってるぞ。もうすこしザックリとゆるめの設定にイコライズしろ!」
花「勇気はやっと手に入れた。危機一髪だったぜ。サバンナで遭遇して追われてしまったライオンを返り討ちにし、生きたまま拳で獣肉を貫通させて心臓を取り出した、その動いている心臓を凄まじい腕力によって一度握りつぶしそれを鉢の中へぶち込んで、その中へ蛇とムカデとカエルの生き血を・・・」
愛実「刻むな刻むな、真面目か!勇気を手に入れたんなら速攻で手術にいってくれ」
花「そうだな、博士、手術をお願いしたい・・・なに、いくら足りないんだ、1500万円だと」
愛実「また刻んでんじゃねーよ。どんだけのbeatぶち込んで来てんだお前」
花「これだけの額で足りないなんて、きいてないぞ」
愛実「おまえ一体いくら持ってきたんだよ」
花「15万だ」
愛実「話以前だな。いったん帰宅しろ。貯めるしかないぞ、お前仕事はなにやってる」
花「コンビニのバイトだ」
愛実「一生無理だ、神々しい刻みだな」
花「やっぱり高年収の仕事を目指す他ないよな、よし、弁護士になろう」
愛実「司法試験の刻みこまれた熟練の倍率なめんじゃねえぞ!刻むな刻むな、そこははなから裕福なテイでいけ」
花「博士、この通りだ。さっそく手術をはじめてくれ、うわあ、麻酔が効かない、痛い、痛いー・・・」
愛実「いや~な刻みしてんじゃねえよ」
花「知らないうちに眠っていたようだ、えっ、どういうことだ。なんだと、一回の手術で50cmが限界だと。ふざけてんじゃねえぞ」
愛実「それはしょうがねえだろ。肉や骨だけならまだしも、骨の内部の骨髄、それから体中にひろがる血管や神経を考えたらこれでも精一杯無理をしたくらいなまごころ刻みだ」
花「そうか・・・体に負担のない現実見据え刻みを選ぶほかはないのだな」
愛実「思いっきりの良さ刻みを見してみろよ、はやいとこ最後の手術までいってしまえ」
花「ふう、やっと19m50cmじゃ、長いことかかったのう」
愛実「心なし老けちまったなお前は」
花「博士、最後の手術を頼むぞ・・・えっ死んだ?」
愛実「そりゃお迎え刻みの順番からすればそうなるわな」
花「あ~、ワシは、どうすればいいのかー。」
愛実「ふん、腕だけが異常に長すぎるジジイなんて虚しすぎるだけだ」
花「もう死ぬしかない」
愛実「早まるな早まるな」
花「だめだ、長すぎる腕が邪魔してどの方法もうまくいかない」
愛実「ある意味ほっとしたな、胸なでおろし刻みだぜ」
花「なに、もうひとり名医が見つかった」
愛実「良かったな生きるほうにしといて」
花「なに、問題がひとつ」
愛実「刻むのか」
花「一回の手術で1cmだと!」
愛実「まさかの50刻み」
花「しょうがない、その刻み、承諾しよう」
愛実「老体に鞭打って、過酷な刻みを受け入れましたー」
花「・・・終わった・・・、やっと手に入れた20メ~トルじゃ、ぷるぷるぷるぷる」
愛実「もうやばいぞ、長い腕にとどまらず、からだが全体でぷるぷるリズムを刻んでいる」
花「なに、孫ができたから増築したじゃと・・・許さんぞ!」
愛実「確執の刻み。お前の子孫はなんて冷酷刻み達なんだ」
花「あの小さい小屋へ刻めじゃと、ぷるぷるぷるぷるぷる」
愛実「可哀そうすぎてシルエットごとあいつ刻んでんぞ」
花「はあ、わが夢破れたり、えっ」
愛実「どうしたジジイ」
花「ロフト付き・・・て、天の恵み・・・」
愛実「神は刻まれた。よかったなジジイ!ロフトから目薬、いくぞー」
花「あいたたたあいたたた」
愛実「オイ、しっかりしろジジイ、何だったんだ今までの苦労は」
花「痛い!やめろ~一旦やめてくれ~」
愛実「キツイことイッパイあっただろうが、このくらいでへこたれてるんじゃねえ」
花「お前こそ早く入ってこんか、このままだったら感動がこのむねに刻まれないじゃないか、はよ入れ」
愛実「逃げ腰なのはお前じゃねえか、ほら、オレを受け入れてみろー」
花「あいたたたたた、やめろー」
愛実「何だよてめえ。あきらめるのか」
花「物理的に不可能だよ!・・・今までで・・・これが一番キツイ」
愛実「終盤にて理解不能な刻み方するんじゃねえ、お前はどっからどうみても史上最強のモンスターだよ、弱点か、もしかして目が弱点なのか?」
花「そうかもしれん、長い間目薬もささなかったつけが回ったのかもしれん。弱体化の刻みじゃ、あきらめる。もうワシは、感動することを、あきらめた」
愛実「この期におよんでーーー。」
花「もう無理なんじゃ、ほっとけの極みじゃーーー」
愛実「ジジイ、あきらめちまったのか!」
花「ほっとけ、しらん!」
愛実「・・・でもな、よかったんだよこれで」
花「よ、よかったじゃと・・・ど、どうしてじゃ」
愛実「目薬をさして感動したって、ほんとの涙かどうかわかんないだろ」
花「別の意味からの感動の刻みじゃー、刻みのゴングが鳴り響いた!」
BGM
矢部「さあ、どうだったんでしょうか、コメントいただきましょう、小朝師匠」
小朝「はい・・・このネタは夏あたりにオンバトでやってたネタでしたね」
岡村「まさかの他局の番組名出してきましたね」
小朝「たまたま見てましたね、オンバトはプラスになってからどうも勢い感がなくなりましたから」
岡村「師匠、ネタの感想をお願いします、他局の名前を出したのにその局の視聴率下がるってどういう現象ですか」
小朝「はい、ネタは良かったですね」
岡村「そんだけかい」
大竹「プラスのこと、わかるよ、おれも同感」
矢部「はい、オンバト談義はこれくらいでやめましょう、次は第三組です」