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THE MANZAI20014 決勝 グループA第一組

THE MANZAI20014 決勝 グループA第一組 。

この大会のトップバッターは、関西の実力派兄弟コンビ、四畳半兄弟。

四畳半兄弟(大阪よしもと)

久馬(35)ツッコミ担当

創(36)ボケ担当

BGM

久馬「はいどうも四畳半兄弟ですよろしくおねがいします。いきなりですいませんけど、一回先にツッコませていただきます。なんでやねーーん・・・

せやけどホンマ寒なってきたね」

創「いきなり鋭いツッコミやな。ホンマびっくりするで、そんなことより実は悩みがあってな、相談したいことがあんねん」

久馬「なんやなんや、深刻なかんじやないかい、いうてみいや」

創「実はな、オレ、相談したいことがあんねん」

久馬「だからそれをいってみいいうてんねやないか」

創「じゃあいうわ、実はな、オレ・・・言えへん」

久馬「何がそんなに言いにくいねん、水臭いことせんとすっといわんかいすっと。」

創「ならいうで。実はオレ、悩みがあんねん」

久馬「それはわかっとるがな、前置きはどうでもええねん、はよ内容をいわんかい」

創「実はな、オレ、悩みがあってな・・・」

久馬「何回いうとんねんそれを。お前は九官鳥か」

創「あ、九官鳥いうたらやな、小さい頃九官鳥飼うてたやろ」

久馬「ひとの言葉じりを奪うな、それがどうかしてん」

創「俺ばっかり世話してたのに何の気か知らんけどお前が一回世話しようとしたことあったやん、そんで結局鳥逃がしたことあったよな」

久馬「・・・逆やないか。俺が世話してた九官鳥をお前が逃がしたんや」

創「見事に大空へ羽ばたいていったで~」

久馬「何をごまかしとんねん」

創「あのことだけはいまだにうらみつづけてるわ」

久馬「なんや自分で自分をうらんであげたいんですかいな、有森裕子の名言か。あほか」

創「名言いうたらあれもすごかったなあ、地球は青かった・・・そんなん言われんでも俺わかっとるわ」

久馬「お前がそれをわかってんのはそのひとのおかげや」

創「実はな、オレも名言で考えてんのがあんねや。太陽は消えていた」

久馬「えらい文学的やな、どういう意味や」

創「結構前に皆既日食があったやろう、そんときの感想や」

久馬「見たまんまやな、ぜんぜん名言になってへんわ」

創「そんとき太陽眺めすぎて目が痛なったいうはなしや」

久馬「皆さん、太陽を見るときは危険ですから専用のメガネを使ってくださいね」

創「・・・ほんで悩みに戻るけど実はな、オレ相談したいことがある、ていう相談や」

久馬「だからそのさきをいわんとはなしのはじめで終わってしまうやないか」

創「えっ」

久馬「あーイライラするわ、だからこのままでは終わりまでいけへんいうはなしや」

創「意味わからへん」

久馬「ホンマお前は理解力が足りひんな、今日の漫才は制限時間が4分やと決まっとんねん、このままやったらはなしが展開していかないやないかというとんねん、馬の耳に念仏かお前は」

創「中学生のころや」

久馬「何がやねん」

創「一回試してみようおもて実際馬の耳元で念仏唱えたことあったんや」

久馬「しょうもないことすな。そんなんアホがすることや」

創「それがけっこう通じてん」

久馬「そんなわけあらへんやろ」

創「オレの目みてな、ヒヒーンいうてうなずいてたわ」

久馬「ただ鳴いてただけや、馬はどれでもヒヒーンいうて鳴いてんねん。馬のはなしはもうどうでもええからお前の悩みをはなさんかい」

創「だからもういうたやないか」

久馬「どこがやねん」

創「一回だけやからな、もうチャンスは一回きりやで」

久馬「何を上からいっとんねん、その一回をいえいうてんのに」

創「しかしあれやな」

久馬「何が」

創「チャンスは一回きりいうたらあれもそうやで」

久馬「またいきなり何かおもいだしたんちゃうやろな」

創「昔お前と二人三脚の練習したことあるやろ」

久馬「いきなりそのはなしかいな。確かにやったことあるけど。そこだけ聞いたらふたりしてはずかしいはなしみたいやないか。これも子供のころのはなしですよ、地元でしょうもないお祭りがあってね、なぜか二人三脚の大会がおこなわれるんですよ、見てる方もはずかしくなる大会でしてね、それにお前がいきなり出るぞ、いいはってやね」

創「あんときお前も乗り気やったやないか、なにせ一等の景品が当時いちばん人気のあったゲームソフトやったんで。一生懸命練習して当日や、いきなり熱だしてコイツ寝込みよったんや」

久馬「あれは今でも悪かったおもてるわ」

創「そのせいでオレ、知らんオッサンと組まされてやな」

久馬「棄権すればいいだけのはなしやないか」

創「結局6位入賞できましたけど」

久馬「おっさんが足速いおかげやないか、十分結果オーライやで」

創「景品が紅白まんじゅうやったから良かったけど、かりに一位になってたらたいへんやったで。子供なのに本気のおっさんとモメんの嫌やで絶対」

久馬「そんでオッサンと仲良くまんじゅうわけて帰ってきたんかいな、そこまでは知らんかったけども」

創「だから今度は一回きりやで、よう聞いとけよ・・・」

久馬「・・・」

創「ならいうで」

久馬「タメはいらんからすぐいわんかい」

創「いうで。おれ実は悩みがあってな、相談したいことがあんねん」

久馬「しつこい、おまえはしつこい油汚れか。強力な新成分配合でも分解できへんレベルやないか。そこはもう省略せい」

創「ほんでな・・・そういえば省略といったらいっとかなきゃならんことがあるわ」

久馬「何がやねん、もうそのはなしこそ省略せえや」

創「いや実はこの悩みにも関係してるからそれこそ省略できへんねん」

久馬「関係あるんかいな、ならはよいうてしまえよ」

創「普段会話してるとき省略することってあるやろ」

久馬「そらいわんでもわかることなんていくらでもあるからな」

創「せやねん。オレも普段からそんな風に考えとってん。そしたらこの前や、街で歩いとったらいきなりすいません、いうてきてやね、オレや思わへんかったから無視して歩いててん、そしたら追いかけてきてやね、すいませーんすいませーんいうてくるんですよ」

久馬「お前もはよ気づけや」

創「ほんで500mくらい歩いててやね、あなたですあなたです、いわれて」

久馬「そんなに歩いてたんかいな。そんだけ一緒に歩いてるんやったらすぐに気づけよホンマ」

創「でもそいつもオレに適度に気づかれんくらいの距離保って歩いてくるからやね」

久馬「どの距離やねん、お前との適度な距離って」

創「さすがに100mくらいのところでオレのことかな思て近づいてみたらそいつ後ずさりして離れていきよるからやね」

久馬「何がしたいねん」

創「わからんやろ。そんでまた歩きだしたらあなたですよ、あなたですよいうてくるからやな」

久馬「お前ももはや気づいてるんと違うんかい。アホやでお前もそいつも」

創「そんでキリがないから思い切って立ち止まって聞いてみたんや。僕ですか、いうて」

久馬「そいつもよほどの要がお前にあったんやろ、ほんでどないいうてん」

創「すいませんいうてきてやな、今何時ですか。て聞いてきてん」

久馬「・・・・・・」

創「・・・・・・なっ」

久馬「な、やあらへんやろ用事はたったそれだけだったんかいな」

創「それしか聞かれへんかったわ」

久馬「他に誰も歩いてへんかったんかいな」

創「あほか。繁華街やで、ぎょうさん人歩いとったわ」

久馬「お前がそもそもどこ歩いとったんかは俺は知らんけどもやね。おまえはただからかわれてるだけや」

創「いや、そうでもなかったで。そんで、何時です教えたら真剣な顔して分かりましたいうて真っ青になって走ってきた道戻っていきよったわソイツ」

久馬「そういう芝居やったんちゃうん。いずれにしてもお前らアホや」

創「そんでつくづく思ったんや、最初から省略しとけよ、てね」

久馬「どういうことやねん」

創「ソイツが一番はじめの段階にすいませんを省略してさえおったらこんな長距離ついてくるハメにはならんやったはずやがな」

久馬「それはあらへんがな。お前道ですれ違った知らんひとにいきなり今何時ですかいわれても答えんやろ」

創「オレは答えるで」

久馬「どういう感じでやねん。ほならオレが向こうから歩いてくるからやってみようや」

久馬すたすたすたすた「今何時ですか」

創「10時27分です」

久馬「食い気味やなあ。そんなスムーズにいくかいな。ほんでお前腕時計アナログやろう、ふつう10時27分を確定するだけでそこそこの時間のロスが発生するわ」

創「いや、それがそんときたまたま腕時計してへんかってん、けど街中に大きな時計台あるとこやったから、それ見て答えただけやで」

久馬「ほならますます時間かかるんちゃうんか。ほんでそいつもお前にきかんと時計台見ればよかっただけちゃうんかい」

創「だから結局は省略出来る会話を省略せんかったために余計な手間が増えていくっちゅうはなしやねん」

久馬「世が世でもお前のは省略しすぎやで」

創「ほんでな、そういう不満が年じゅう溜まっとって、とうとうストレスのせいでからだがいうこときかへんようになってきたんや」

久馬「どういう意味やねん」

創「つまりな、はなしを極限まで省略せんと話せなくなるからだになってもうたんや」

久馬「ようわからんわ、どない症状やねん」

創「だからな、実はな、相談したいことがあんねん、と相談することいがい相談できへんことがオレの悩みやねん」

久馬「それが相談やったんかいな。もう制限時間いっぱいです」

創「はっけよいのこった」

BGM

矢部「さあトップバッターが終わりましたが、感想を聞いてみましょう。巨人師匠」

巨人「四畳半兄弟くんね、もう吉本の若手の中では一番の名人やからね、全くはらはらするところはなかったです。なかなか本題に入らへんいうパターンですけど最後上手くオトせてたと思います」

矢部「ありがとうございます、渡辺正行さん」

渡辺「いやあ、ねえ、ベテランならではのねえ・・・僕はすきでしたよ。久馬くんの冒頭のツッコミは創くんが喋れないくせに身の上話はたくさんしゃべっているというこの漫才全体を包んだ大きなボケへのツッコミで、実は無意味なツッコミではないんですよね」

巨人「あ、なるほど、そこには気いつかへんかったわ」

久馬「ありがとうございます、今ので一票増えたんちゃうかと思います」

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