THE MANZAI 20014 決勝 ファイナルラウンド 結果発表
会場はいまだどよめいている。
高度な知性体によって只今崩壊したばかりの地球より、現実ソックリのバーチャル世界へとアップロードされたわたしたち人類。
このオゾマシイ漫才は現実の暴露か!それとも虚言であるか?
笑いを超えた漫才にこの大会は前代未聞の衝動の渦のその爆心地として打ち建てられてしまった。
さあ、興奮も冷めやらぬままに、結果発表!
BGM
矢部「さあ、いよいよ結果発表です」
小池「まずは国民ワラ点・・・冬虫夏草
西川きよしさん・・・冬虫夏草
テリー伊藤さん・・・冬虫夏草
オール巨人さん・・・冬虫夏草
大竹まことさん・・・無
志村けんさん・・・無
渡辺正行さん・・・I・Wハーパー
関根勤さん・・・冬虫夏草
春風亭小朝さん・・・無
ヒロミさん・・・ I・Wハーパー
よって優勝は5票を獲得した冬虫夏草です」
岡村「おめでとうございます。こわかったで~」
矢部「やりました、冬虫夏草」
人見「ありがとうございます」
丈縞「ありがとうございます」
矢部「さあ最後にひとことずつお願いします」
西川きよし
「ほんまによかったです、あたらしい時代がやって来ましたね~」
テリー伊藤
「怪談もここまでくれば文句ないですね、感動しました」
オール巨人
「ファイナル、みな、よかったです、感動しました」
大竹まこと
「無、嫌いだったけど、今日好きになったよ」
渡辺正行
「I・Wハーパーもとてもよかったです、感動しました 」
関根勤
「素晴らしかったね~、冬虫夏草、よかったです」
春風亭小朝
「とてもいい大会でした」
ヒロミ
「レベル高かったです、感動しました」
矢部「さあ、THE MANZAI20014を制したのは冬虫夏草でした」
ありがとうございました。
自作解説&裏話
一本目 四畳半兄弟「相談」
漫才をつくるとなると、頭のなかで掛け合いをはじめるふたりがいて、それをボクが追っていくのですが、この場合関西の兄弟漫才師でした。
兄が弟に、実は相談があんねん、といっている図。
皆が知りつくしたパターン、ぼくが今回決めていたのは、ネタの導入とオチを、見慣れないパターンにすること、そして、それがちゃんと笑えること、そうでなければ、笑い以上のインパクトを与えることでした。
流れ上凡庸なオチもいくつかはありましたが、基本、無駄を削ぎ、おざなりを避けて意表をつくことに終止出来たと思います。
ふたりの掛け合いを追っていくと、ボケである兄が、しつこくしつこく相談があんねん、といいつづける展開となり、これは、本題に入れないというネタなんだな、と思いました、これが、ブレークスルーでした。オチもすぐ思いつきました。
実際のTHE MANZAI 2014で和牛というコンビが同じようなネタをやっていて、やっぱりなという気持ちになりました。
一本目だったので、茶の間感のあるこのネタは、バッチリ合ってるなと自画自賛しました。
二本目 プラスティックトゥリー 「二階から目薬がやってみたい」
これもネタの導入をあれこれ試しているうちに、二階から目薬がやってみたい、というフレーズが出て、ありきたりではない漫才コントに挑戦する若手漫才師、を12組のなかに入れてみたかったのでこれがそうなりました。
そのなかで、設定に細かくなりすぎてイチイチ流れを切ってしまうボケ、というパターンのボケがいくつか生まれたので、それがブレークスルーでした。
書いているうち、刻むというワードツッコミが生まれ、それを要所にいれることでテンポとベタな感じが作り出せたのかなと思います。
三本目 至近距離 「罰ゲーム」
もともとお笑いが好きで、季節の節目に行われるお笑いの大会を、行事ごととして欠かさず見るようにはしてますが、特にM-1が、クリスマスのイメージが強くて、つぎにつくるネタをあれこれ妄想していると、単純な思考回路はクリスマスや年末やとつまらんネタを持ってきます。
でも、クリスマスプレゼント交換で、6機のヘリから降ろされる巨大なあみだくじが頭に浮かんだとき、ああこれなら面白いと即決し、アイデアはつぎつぎに連鎖して、軽々4分オーバーの分量になりました。
巨大って便利ですね。
これはすべて妄想なので、ルールなんて破られる以外の目的はありません。
10分は超えるとおもいますが、でも勢いは最後まで続くので、レッドツェッペリンの、アキレス最後の戦いに匹敵する迫力だと自画自賛です。
四本目 I・Wハーパー 「城下町巡り」
これは、唯一構造だけで作ろうとおもったきっかけでした。
ボケ←正統派ツッコミ→イヤ待てよ、からのノリ←油を注ぐボケ
この構造を思い付いて、それを構築しました。
同時に絵の具汁というボケが、一種類だけ浮かんでいました。
結果的に、ぼくが最も好きなコンビとなりました。
ここまでツッコミがエクストリームになるとも思ってなかったし、ボケもここまで予想外なボケにするつもりではなかったです。
結果、フェティッシュ過ぎる長ツッコミ&斜め上から振り落とされるボケのハイコントラスト漫才というキャッチフレーズが生まれたことに、とても満足してます。
このコンビは、今後の小説にも、登場させていきたいです。
テーマの城下町は、しゃべくりのテーマで、マニアックすぎず、しかし卑俗的でないものにしたくて、適当に浮かんだものです。
検索したら、日本の城下町的なサイトがあったので、地名を参考にしました。
5本目 Chile 「ラーメン」
妄想は大好きなのですが、ネタを何本も考えるとなると、どうしても現実を払拭できないこともあって、ボクの単純な部分はつまらない思考回路なので、今回は自分に課すノルマがありました。
ダシャレ禁止。
エロネタ禁止。
テレビネタ禁止。
無のネタは、CMのフレーズなどがフンダンにつかわれて、これを凌駕することは出来ませんでしたが、そのかわり、うまい造語がいくつか生まれたので、まあトントンかなと思っています。
それでラーメンは、ボクの思考回路の凡庸さを物語っていますが、これは反面教師です。
そうならぬよう今後もシュールに終止したいです。
ただ、一方がラーメンを知らなすぎて話が進まない。もう一方がラーメンに詳し過ぎて話が進まない。その中点を探していくという構造を思い付いたときは、これならいいだろうと、判を押しました。
審査員ウケが以上にいい、という設定にしましたが、読み返してみると、よく出来ていて、落ち着いた感じがとても心地がよかったと思います。
6本目 木曽義仲 「豪邸を買いたい」
坂上忍が番組でやっていることをやってみたい、という漫才師を思い付いただけです。
最初のボケは、ツッコミが、俺のいう通りにしてれば家を買えるといい、マツタケを買わせる、のくだりだけでした。
あとは追加で膨らませて終わらせました。
ただ結果的に、ここまで悲しくすさんだ展開になったのは棚ぼたでした、べちゃ~。
7本目 無 「0人で酒を飲む」
これも、普段の晩酌という、凡庸な発想から生まれました。
いっても、妄想の爆発する時間とそうでない時間とが波形をつくっているのが日常ですから、だいじなことは、その凡庸さのなかから、最低限の結果を出すこと。
正直、一人酒→0人で酒を飲む、というネタを発展させ思い付いたときは、勝ったとおもいましたね。
完全に優勝候補が完成した瞬間です。
M-1好きなら笑い飯が好きだと思いますが、ボクなりの不満は、ツッコミはいらない、ということと、ネタの出どころが筋に忠実すぎる、という点。
それを回避したのが無の漫才です。
ただ、ボクが思うに、このポテンシャルならもう百倍シュールな漫才に出来たと思います。
まだ、ボクの力量不足で、今後の課題です。
昔エレファントカシマシが、「歴史」のトラックを作った際、それにのせる歌詞が、数倍壮大にしたかったが敵わなかった、といってたのと同じです。
ちなみにボクは、「あなたへ」の歌詞なら相当壮大だと評価してます、余談ですが。
8本目 スズヘッド 「編み物」
嘘つけ、と、全部嘘ですけども、のふたつのボケだけで一本できるだろうな、と、すぐ思い付きました。
あとはバリーションを複雑にしようと。
7~8割は力出せたかなと思います。
思った以上にキレイにいきすぎてますね。
もっと壊したかったですが、時間もなかったし、これが現状の力です。
編み物は、城下町と同じ考えで導きました。
9本目 あ~りんを佐々木っていうな 「クイズ」
これは、いい方の妄想ですね。
インスピレーションみたいに、数学騙し絵が浮かびました。
ボクは完全に文系の頭なので、自己満足なのですが、でも、数学と文学の婚姻ってこういうことなのか、と思いますけど。
あと、この二人、キャラは作らずアドリブでセリフを進めていきましたが、結果、とてもキモチのいいコンビの掛け合いとキャラが生み出せたと思ってます。
清々しいというか。
以上です。
10本目 冬虫夏草 「憧れの職業ディクシーをやってみた」
このネタ、はじめは無というコンビ名でした。
結果入れ替えて大正解ですね。
無にも、冬虫夏草にも。
ディクシーネタを思い付いた時点で、優勝しかないと思ってました。
冬虫夏草って、ちょっと神秘的で、異次元ネタを2本もやったコンビ名にしっくりくるんですね。
でも、はじめはいやで。
優勝という記念碑に四字熟語はないだろう、と。
でも完成した時もう見慣れてて、つまりネタとコンビ名が板についたんですね。
冬虫夏草のキモチ悪さ、不思議さが漂った、いいコンビ名ですね、見慣れると。
オチは文句ないでしょう。
11本目 ハイドロキシアパタイト 「監禁」
これもいい妄想ですね。
インスピレーションでした。
そして自分で天才だなって思いましたよそんとき。
簡単です。
妄想、眠れなくなった、ドMな緻密設定。
それに付随した幾つかの筋と掛け合いとセリフと情景が一気に浮かび上がって、勝ち以外見えませんでした。
冒頭のどうでもいいキャラ設定とかは、まあ雰囲気です。鬼才って感じのコンビですね。
一応渡辺正行さんのいうとおりの、凄みのある演技力、ということで。
12本目 サイコクラッシャーアタック 「親知らず」
短いネタですが、もうふた山くらいあっていいと思います。
時間がなくて唯一のやっつけ仕事でしたね。
でも15本中最もフツーな漫才だと思いますよ。
疲れもたまってて、ファイナルにいきたくて、無味状態でgoしました、ゴメンナサイ。
ハウス加賀谷のことを考えながら書きました。
このネタは、れきれき・・・のとこからオチ直前まで一直線で思い付きました。
一番キライなセリフのオチです。
適当に考えぬまま書きました。
面倒で、こうすることしか出来ませんでした、スイマセンでした。
13本目 I・Wハーパー 「健康ランド」
好き度ナンバーワンですね。
好き過ぎます。
このコンビ、このネタで跳ねましたね。
断トツです、ボクのなかでは。
まあ筋書き上冬虫夏草が優勝ですし、冬虫夏草の二本目のほうが素晴らしいです。
ただ、ボクはコッチ側の人間です。
天丼というのは、ちょっと凡庸ではあります。
でも、このやりかた、結構他の小説でも使うんです。
そして、これは天丼を超えたハイパー天丼ですからね。
や」(やカッコ閉じ)とかフツーに最高です。
あとは、シーシェパード野上、神過ぎるクレイジーでしょう。
鎌倉もシーシェパードも、ふたりともエクストリームでクレイジーですよ。
異常で、過剰な、愛情のふたりですよ。
愛すべきです。
マサシク。
14本目 無 「ニコチンパッチ」
冬虫夏草の二本目とこれが残っていて、最後これが残ってしまいました。
前半部はできてましたが、肝心のパッチワーク漫才である後半部、疲れもたまってて、なかなか創造的なキモチになれないなか、なんとか、おてもやん逃げ造が浮かび、つづいて、ハイパー腕おろしっⅡ→ぐはっワキ腹痛た死のオチが浮かび、やっとゴールが見えました。
つまり、この作品のフィナーレは実はここです。
この漫才は可能性があります。
これに追いつけるよう、日々真面目に生きていきたいです。
15本目 冬虫夏草 「最新式のケータイ」
これは全く計算外でしたが、無の二本目と被ってますね。
さておき、堂々の王者漫才でしょう自分でいうのもなんですが。
最初はフツーの漫才師が電話で喋るジェスチャーが、リアルだよ、という、もっとクダけた設定でした。
一本目と関連づいたホラーオチが思い付いたとき、このコンビはやはり優勝する運命だったんだなと感心しましたよ。
あと、仕上げというか、構想が上がっての書く直前、デジャヴに関する導入や展開やオチが浮かんだおかげで、ハイパーな構成、つまり、筋を追うためじゃなく、筋を高い次元に組み上げた器を造ることができましたね、ハッキリいってうまくいきすぎでしょう。
この時点でさらにプラス1点ですよね。
優勝おめでとうございます。
おわりのことば
こういう試みははじめてしましたが、むかしから妄想癖、アタマンナカ収集癖で、こういったヒーロー像がメキメキ鳴らされっぱなしの中二病ですボクは。
だから、やっと中一から、2014年末、中二に進級できたのかなあと、しみじみ思っています。
やっと進級できましたー。
これからはずっと、正式な中二ですよぼくはー。
2015年末にも状況しだいではやりたいですねー。
まあ、それまではバンバン小説書きますよー。
苦手のギャグ、克服できたと思ってます。
異常終末ヘロインゆめぜっとでした、ありがとうございました。