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THE MANZAI20014 決勝 ファイナルラウンド第一組

グループC最終組のワイルドカード勝者、謎のコンビサイコクラッシャーアタック。

オディのキャラに似合わぬ正統派しゃべくり漫才を展開、上々の評価を得る。


グループCの結果発表


あ~りんを佐々木っていうな 1票

冬虫夏草 5票

ハイドロキシアパタイト 2票

サイコクラッシャーアタック 2票


グループとして最高の戦いと審査員が口を揃えるも、恐怖のホラーオチの爪痕で冬虫夏草が頭ひとつ飛び出し勝ち抜いた。


さあ、いよいよファイナルラウンド。


フェティッシュなシーシェパード野上の長ツッコミに斜め上から振り落とされる鎌倉のボケのハイコントラスト漫才、一組目I・Wハーパー。


無軌道すぎる掛け合わない掛け合いに、如何にして持っていくのか、二組目無。


知名度の低さを払拭する、異次元漫才とホラーオチで、審査員と観客のココロを掴み、二本目の展開が最も期待される三組目冬虫夏草。


ハイレベルな戦いが予想されるファイナルラウンドの演目順が決定し、今、その火蓋が切って落とされた!


それでは一組目、I・Wハーパー、登場。

I・Wハーパー(松竹芸能)

シーシェパード野上(34)ツッコミ担当

鎌倉タケシ(35)ボケ担当


BGM


野上「はいどうもI・Wハーパーです、よろしくお願いします。ファイナルやね」

鎌倉「野上さん」

野上「なんや」

鎌倉「まさかとは思うけど緊張してませんか?言葉数少ななってる気がするんですけども」

野上「何を言うねん絶好調やで!お前俺がさっきから見えてる景色を感知したらビックリすると思うで、なぜなら絶好調すぎて目の前スローモーションで動いとるからね」

鎌倉「そんならワードツッコミを詰め込み過ぎひんようにホンマ用心してくださいね」

野上「わかっとるがな。石清水のようなツッコミでお前の筋書きを引き立てるいうねん」

鎌倉「それはそうと」

野上「いつも切り替えひと足早いねんな」

鎌倉「ボクらファイナルのネタで割れてまして」

野上「何を言いだすねんお前の虚言ノストラダムスを凌駕しとるぞ、陰謀論が半端ないな!さっきのネタで約束したやんもう忘れたんかお前は沢田知可子の会いたいか!それとも覚えてへんのかいなお前あれやろ、集中力があり過ぎて実力の出し切りかたが通常の世界観を飛び越えてもうてるタイプのあれやろ!せやから別の世界にリンクする力持ってんねやろ、ほんで並行世界を行ったり来たりしてやね、漫才の途中やのにお前は世界の運命を背負った冒険の勇者ちゃうか!つまりお前は猛獣やねん、獲物を捉える瞬時に掛かった集中力は宇宙のインフレーションに匹敵するほど漲ってんのに、ネコ科、いう背中合わせのゆるふわなギャップがあるゆえにや、緊張感が去ってしまうとすぐに忘れよんねん。お前がいま鏡に写れば健康ランドの建物のなりをしとんねん、せやのに、お前が迷い猫として現れるんわ決まってライオンという巨体として現れよんねん、危ないぞ危ないぞ!飼育係を呼ばんかい、ほんで百獣の王いうても結局お前はカワイイなあ!猫まっしぐらの愛くるしさやんけ、お前は子猫ちゃんの皮を被った弱肉強食モンスターやでホンマ!」

鎌倉「割れてるネタの候補のうちひとつめはロシアのカスピ海の海面に浮かぶキレイに殻を剥かれた烏骨鶏のゆで卵の話ですね」

野上「そのネタもしお前がやるんやったらリスク負えよ、なぜなら俺、生まれて初めて聞くねんて、懐かしさを覚えるくらいやがな。全く未知の空間にお前が放り出されてやね、そんときお前はアドレナリン全開や、全ての肌に合わへん異物感との連続的な鉢合わせを、高速で知覚していかざるを得んとき、お前の意識の一番浅い薄皮みたいなとこだけがいかにも理性ぶっておのれは正常や、と誤認してもうてるだけで、一皮めくればすべては狂気の映像のサブリミナルやねんいうことをのち見知っていくねん、烏骨鶏の卵の殻を、伊東家の食卓のような裏技でつるりと剥いたらやな、その先、烏骨鶏の青白い卵は詰まるところ、狂気や!恐怖で本質を包み隠してもうてる自分は、まるで初めて見たはずやのに偽の記憶を、何千年分もの膨大なスパンで瞬時にして作り上げてしもうてん、それが意識の無意味なほどに高度すぎる性質やな。初めて見るもんは全て恐怖心を持って迎え入れなければならない、そうして初めて景色の透明度が開けてくんねん、どうや、写ってんのか?カスピ海の透明な水面の姿見に写ってんのは俺の行きつけの健康ランドのお前や!どやねん。ほんで面白そうやなそのネタ!」

鎌倉「割れてる候補のもうひとつが島田髷いう巨大な貝類が大量発生する話でそれはあたかも和服女性の島田髷に形状もサイズも瓜二つで、下手をすれば美人の土左衛門の首がぷかぷか浮かんでるようにみたいに思えるんですけど、それは食料難を解消させ、同時にラグビーボールとして使われているという、日本の近未来を舞台にしたはなしですね」

野上「結局お前の引き出しは全て俺の裏をかいて行きよるな!お前がストライカーなら俺はディフェンダーやがな!お前は正直畸型に走っとるぞ、いつでもシュートして決めれんのに、俺の裏を欠かんかったら絶対に放たへん、お前の点と点は、ボールとシュートの衝突面と、ゴールネットではなく、お前の脚と俺の脚や!勝てるとわかった時点で無意味な投了をするようなもんやぞ、お前一回目の手札でロイヤルストレートフラッシュが来てもうたらどうすんねん?余りの恐怖で全部切ってしまうか?そうやなくても勝負事のインフレは、あまりに実力差がありすぎてもうたら、起きんままに勝負は別の日に持ち越されんねん。そこをわかった上での島田髷やろな?そうでもない限り世界中のどのラガーマンもお前の送り出すアイデアを抱えて走ってはくれへんぞ!ちょうどラグビーボールのように地面をバウンド始めたら全て予測不能で、それに対する瞬時のアドリブなんて期待せんほうがええ、お前、それとも俺が冒頭に示した俺の集中力ゆえに捻じ曲げられた時空の変容の、俺の目の前はスローモーションやねんいうてたくだりを見越した上でのチョイスやったんか、そうやとしたら恐ろしいことになるで、世紀の千里眼を持つ預言者同士が、センターマイクを挟んで睨み合っている図、これはもはやお笑い超えとるで、もしそうやとしたらもう、客に笑いは期待できへんぞ、鎌倉よ、お前、このMANZAI大会、負ける覚悟は出来てるんやろうな?」

鎌倉「力を尽くせれば勝てへんかってもしゃあないですわ、自分に勝たんことには何一つ結果は出ませんから」

野上「よう言うたぞ鎌倉」

鎌倉「ほな、どれを選ぶんですか?」

野上「意表をついて一本目の城下町や」

鎌倉「さすがは野上さんですね、今世紀最大のアホでっせ」

野上「お前に言われたないわ!ほなら一番ええのを選んでくれや、すべてお前に任せたで」

鎌倉「最初からそうして欲しかったですわ、時間の無駄やないですか、何が石清水ですか?野上さんなんてアロンアルファやいうてもまだぬるいくらいでっせ、野上さんに一旦捕まってもうたら、十万年後ようやっと発見され日の目を浴びた化石みたいなもんですわ、ボクやですよ、十万年後の人類に化石として掘り出されんのは」

野上「ほんで、なにをチョイスすんねん」

鎌倉「ベースとなるんはつまりボクです」

野上「ほな俺の行きつけの健康ランドか」

鎌倉「それ以外ありますかいな。そんで、あとはさっきの話のオンパレードでいきまっせ」

野上「天丼かいな、俺は好きやけども」

鎌倉「みんな好きですよ、鉄板メニューやないですか!ならいきますよ。・・・いうてもボクそんな健康ランドは好きやないからいっても寝てばっかりいますね」

野上「いきなり冒頭否定から入るんかいな!でもそんなもんやで、健康ランド好きの俺かてず~っと寝てんねんから、そうしてくた~といったん力抜いてからやね、やっと起き上がってからやで行動すんのは」

鎌倉「そんなもんでしたか、ならボク何か案外動いとる方かもわからんですわ、それこそ年に一回くらいしか行きませんけども、そんとき必ずするんがなんといってもマッサージですからね」

野上「寝てんのとあんま変わらへんで、いうか、むしろ力抜いとる気~するけども・・・まあ、ええけどやね」

鎌倉「マッサージいうてもされる側やなくてボクが働く側のほうですけどもね」

野上「どんだけ金の無駄遣いやねん、大正の成金か!人にサービスしておいてサービス料自分で払いよるんやからな、ほんで健康ランドに遊びに行ったそのアシ働いてる客なんて一体どこにおんねん」

鎌倉「マッサージの難しい所は、素人じゃなかなかうまくいかへんところですよね、マッサージ受けに来た相手が人間とは限りませんしね、押しても押しても効かへんかったからガチガチにコッてはるなあ不審に思って覗いたんです、そしたらいつの間にか大理石の像でしたわ」

野上「最初に気づいとけ、ほんでお前今、いつの間にか言うとったやろ、ちゅうことは知らん間にすり替わっとったんかいな、そんなことプリンセス天功くらいしかできへんぞ、ほんでもしホンマにプリンセス天功やったんなら大理石に変わった瞬間にチョップできるくらいには身構えとかんかい!」

鎌倉「オイルマッサージなんかもいいですね、アロマオイルを嗅ぎながらミストサウナのほうを眺めてたら烏骨鶏が羽をバサバサさせてましてね」

野上「出たでアベンジャーズの一人目や」

鎌倉「何するんかなー見てたらそっくりそのまま脱皮しましてね」

野上「烏骨鶏は脱皮せえへんぞ!もしするんやったら草むらどないなんねん、あ~、烏骨鶏の抜け殻拾たでノンキに言うててもやね、どんだけ巨大やねん、財布には絶対に入らへんぞ!ほんで蛇の抜け殻みたいに律儀に財布にしまうやつなんかおるかいな!それより煮て食べたほうがええんちゃうん、ラッキーやないかい、ほんでソイツ鳥インフルエンザやからお前感染してとんでもないことになりよるからな!脱皮した烏骨鶏の取り扱いにはくれぐれも注意せい!」

鎌倉「観察してたらゆで卵のほうが脱皮する確率多いですね」

野上「ゆでた卵は生きてるんとちゃうからな、タンパク質固まってもうカチカチやねんで・・・でもあえてシビアな立場に立って言うたなら半熟の場合はどうなんねん?あれ半ナマやんな、ゾンビみたいに半分は生きてるいうことちゃうんかなあ。せやったらやっぱり脱皮を繰り返して大きくなりよんねんやろうなあ。そう考えると烏骨鶏の半熟のゆで卵がダチョウのゆで卵にまでに成長してしまうまでにはいったいどんだけの回数の脱皮が必要とされんねやろう」

鎌倉「ここに書いてまっせ、沢田知可子回」

野上「どんな回数やねん、ほんでそんな回のちに会いたいの作詞家に訴えられんで、やめたほうがいいで・・・でも、そのリスクをあえて選ぶいうことは何らかの利点が裏に隠されているいうことちゃうんかな」

鎌倉「ロイヤルストレートフラッシュの顔が沢田知可子プラス一回タダ」

野上「なんの一回無料サービス権やねん!ほんで沢田知可子5人も並んどんのかいな・・・コワイわ!でも慣れてきたら不思議なもんやで、一人でおる時よりも喜びは5倍やな」

鎌倉「ほんで悲しみは大理石/烏骨鶏」

野上「蛇が尻尾を食い始めよったぞーー!なんちゅう分数や!大理石で示される分子てなんやねん、聞いたことないぞー!脱出体勢に入っとかなもう出られへんようになってくるぞ~・・・慣れたら案外住み心地ええなあ、コッチに移住したほうがええんちゃう?」

鎌倉「週に6回はパンの耳に伊東家の食卓を塗ったもの」

野上「とんだサブキャラの乗った天丼やで!だ~れも覚えてへんかったいうねん、ほんでパンの耳に伊東家の食卓塗っただけって痩せていく一方やないかい栄養足りひんぞ~!・・・でも味がうまいねん」

鎌倉「やめられへんくなってランドに怒られた」

野上「ちょっと待てー、ランドいうたら健康ランドのランドよなあ。ソコ回収しだしたら身動き取られへんくなるで・・・待てよ、これは仏道修行やな、全てを律する事で精神の自由をえとんねん。」

鎌倉「そうやで、サージもロンア始めよったしな」

野上「サージは、マッサージやな、ロンアいうたら・・・アロンアルファや!・・・待てよ、逆かもしらん。マッサージのサージやのうてマッのほうで、ロンアやのうてアとルファかもしらんぞ」

鎌倉「正解」

野上「やっぱそうやったやろ。組んで何年や思うてんねん、お前のパターンはもうわかんねんって」

鎌倉「そうせんとアドリブ効かすんもうまくいきませんもんね模様の石清水」

野上「その模様わからんぞ!カメレオンみたいな変態動物なんか?状況状況に応じた模様やな!図鑑に載せられへんわ!もしもんときのクレームが怖いからな!とくに俺がもしアメリカの大企業やったらどないすんねんな、巨額の賠償金は免れへんいうねん!それに水なんかになんで模様が写ってん!あれか、透明度が高いから鏡みたいに写りこんでんのか?それやったらその模様のぬし、すぐ近くにおることになるぞ、その、そうせんとアドリブ効かすんもうまくいきませんもんね、が」

鎌倉「そうなってくると目の前スローモーションは選択を迫ってくるんとちゃいますか?」

野上「どんな選択や?」

鎌倉「I・Wハーパーか匹敵か」

野上「もはや匹敵の出どころが全くわからんのはまだいいとして、ふつうコンビ名ボケに持ってくる?意表をつくという意味では今世紀最大級やな・・・今世紀いうてもたかだか14年やでそれって大した年数ちゃうねー。やったら思い切って今世紀以外最大級にしといたほうが衝撃度はますねえ、なぜなら86年いうことやから」

鎌倉「86年いうたらあれもそうですね、沢田知可子」

野上「やっぱこのくらいインパクトがないと天丼にはならんわ!いきなり匹敵放り込まれても、適当に愛想ふりまいて覚えてる振りしてやり過ごすしかあらへんわ、ほんで86年がなんで沢田知可子やねん!」

鎌倉「沢田知可子いうたらあれもそうですわ、や」」

野上「遂にお前はカッコ閉じまで使い始めたぞ!ネタに詰まってんのか!ほんでどこでどうしたら沢田知可子がや」になんねん、ていうかや」ってなんやねん」

鎌倉「こんな売れてしもうてますのになにをいまさら・・・。や」とは、島田髷とならんでラグビーチームの2大チームですねん」

野上「やっと出たぞーーー!!!俺はお前を待ちわびてん、ラスボスようやく出よったな、島田髷よ」

鎌倉「島田髷が温泉に浮かんではるねん」

野上「本領発揮やな!島田髷は全ての用途を満たして行きよるから安心して見ていられるからな!いうたら島田髷=実力派漫才師いうこっちゃねん」

鎌倉「島田髷はココヤシと使い方が似てますねん、ただし、島田髷を割ったところで、島田髷ミルク的な液体の成分は出てきまへん。出るんは島田髷縞いう、縞模様の世界でして、それを飲みますねん、それを飲むいうたらすなわちそこに閉じ込められるいうことですわ、そこに閉じ込められたらもう出られまへん、文字通り自分の肉体は消滅します。精神は縞模様の意識を永遠に走り続けていくのです」

野上「やっぱり仏道修行の結末に収束していったなあ、お前は健康ランドの建物の形状ごと島田髷の縞模様の永遠世界へと飛び込んでいけや!でも、ほな俺、どうしたらええねん?」

鎌倉「そんなん簡単ですよ、ボクが永遠にボケつづけるけるからそれにツッコミ続けてください」

野上「ほなお前と俺は純粋世界で永遠に漫才師であり続けるな、よしきた、今から俺、島田髷に飛び込むで」

鎌倉「野上さんの好きな健康ランドで待ってますよ」

野上「ならやめさしてもらおうか」


BGM


矢部「ありがとうございました、続いてファイナルラウンド二組目です」

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