THE MANZAI20014 決勝グループC第一組
グループBの結果発表
Chile 3票
木曽義仲 1票
無 4票
スズヘッド 2票
グループAより更なる混戦をみせ制したのは、やはり一番人気の無。
いよいよ最終グループCがはじまっていく。
登場するのは、新進気鋭の若手実力派、あ~りんを佐々木っていうな。
あ~りんを佐々木っていうな(人力舎)
空条鬼太郎(29)ボケ担当
秋郷断治(27)ツッコミ担当
秋郷「はいどうもあ~りんを佐々木っていうなです、ヨロシクおねがいしま~す」
空条「まあノンキに漫才してますけどね」
秋郷「コッチはけっこう真剣だよ、ホントに」
空条「お前の真剣は一般的なノンキのレベルにすら劣るんだよ」
秋郷「失礼な相方だな!まあそんなこんな言ってますけど、ボクね、やってみたいことがありまして」
空条「なんだその導入部、使い古されたやつじゃないか」
秋郷「まあ、堅いこといわず、仲良く漫才やっていきましょうよ」
空条「一応やってみたいことを言ってみろ」
秋郷「なんだよ、上からだなあ」
空条「それがくだらなくなければやってみてもいいぞ」
秋郷「鬼のプレッシャー与えんのヨシテくんない!縮こまちゃったら力発揮できないでしょうよ」
空条「お前に振り幅が生まれるほどの力量はないぞ」
秋郷「相方を落胆させて楽しいのかよ」
空条「してねーくせにコノ嘘つき」
秋郷「まあ言い争いはそこそこにして、ボク、実はレーサーに憧れてまして」
空条「知ってるよ、毎週練習ばっかしやがって、セミプロかお前!二つも才能持ってんのなら一個を極めてからもう一方に移れ。そんだけか?」
秋郷「え?」
空条「やってみたいことのくだりは以上なのか?」
秋郷「は、はい」
空条「こういうとこが抜けてんだよお前は!お前に喋りのセンスはそこそこあんだよ、じゃなきゃ組んでねえよ。だけどな、やってみたいことが、リアルだったら、笑いには繋がっていかねーだろーが」
秋郷「はっ」
空条「こういうとこが本気の天然なんだよ!実際やってることをやりたいことありますとかいって、裏かいてんのか?そういう高度なシュールギャグなのか?」
秋郷「いや、それは素でした」
空条「いいよ、お前がグイグイ来る性格なのも百も承知だ!そもそも俺はお前に手綱を渡すほど馬鹿じゃねえんだ」
秋郷「なんだよハナからそういうつもりなのかよ」
空条「まあいい、ホントに縮こまっちゃお前じゃなくなるからな、のびのびと漫才、やっていこうじゃないか」
秋郷「よし、やる気に満ちてきたぞ」
空条「そういうことをぬけぬけといいやがったということは本調子だな、よし、今から俺が二つのクイズを出す、そのどちらかに答えられたらお前の好きなネタ、なんでもやっていいぞ」
秋郷「本当か?」
空条「当然だ。じゃあ、第一問、お前はこの漫才中に、ある一部の人間から笑いものにされます、その分数はおよそ何分間でしょう」
秋郷「しょっぱなから失礼だな!答えは簡単だ、俺を笑いものにする人なんて、そもそもがいない、よって答えはゼロ」
空条「はい、残念不正解です」
秋郷「なんだよそれ!お前冷酷すぎるんだよ」
空条「はい、あと一問しかありませんよ」
秋郷「チクショー」
空条「第二問。ある湖があります、そこはたいへん寒い地方でその湖の表面が凍らない時期は、夏場を除いてありません。今日も凍っています。さて、ある少年がイタズラをしました。湖に直径50センチ深さ50センチの正円の円柱の落とし穴を凍った湖に掘りました。さてここで問題です。その地方の人々を集めて、30メートルの距離から直径60センチの正円の鉛の球を転がして、それが穴に収まる確率は、何分の1になるでしょうか、分母に入る数字を答えなさい、分母には整数が入るものとする。ただし、氷は溶けたりひび割れたりしないものとする、そしてもうひとつだけ。この問題には、一箇所だけ引っ掛けがある」
秋郷「ははははは、なんだこの簡単な問題は、引っ掛けにならんくらいの引っ掛けだなあ。答えは、ゼロだ!分母にはゼロが入る、よってゼロ分の1だからゼロだ!分母に入る整数がゼロではないと思う固定観念の裏をかいたつもりだな。こんな簡単な問題でボクを欺けると思ったかー」
空条「不正解」
秋郷「どうしてだよ!鉛の玉は60センチ、氷の穴は50センチだよな。どう考えても確率はゼロじゃないかよ」
空条「さあ、泣きの一回のお時間です。お前の意思次第ではもう一度だけ答える権利を持てます、さあ、答えますか、答えませんか?」
秋郷「答えるよ!」
空条「おめでとうございます、お前は権利を得ました」
秋郷「ちょっとその前にいいか。ホントに不正解だったのか?確率はどう考えてもゼロだろうが!」
空条「その質問に、今答えることは出来兼ねる。ただし、次それを答えられたとしたら、このからくりを教えよう」
秋郷「そんなの無理だよ!」
空条「ならば大きなヒントを与えよう。分母に入るのは、7ケタだ、7ケタの整数を答えるだけでいい、当てずっぽうでもいいんだぞ」
秋郷「お前ケタ数がわかったとしても7ケタじゃ大したヒントにはなってないぞ!組み合わせどれくらいあると思ってるんだ」
空条「900万通りだ」
秋郷「なんだその選択肢!そんでお前即答だな!」
空条「当てずっぽうで、さあ、答えよ」
秋郷「無理だ無理だ」
空条「なんでもいいから答えてみよ!一番上の位は百万だからな」
秋郷「わかったよ、答えは463万4792」
空条「・・・ふはははは、おみごと、答えは、463万4792・・・」
秋郷「え!当たったのか!」
空条「・・・分の6つまり77万3242分の1だ」
秋郷「え?どういうことかわからんぞ」
空条「はははは、実はこのクイズには様々な誘導の仕掛けが張られていたんだ」
秋郷「よくわからん、どういうことだ!」
空条「俺はお前に7ケタの数を答えさせた、そしてお前は463万7792と答えた、俺はある誘導で、お前に463万4792という数を答えさせ、それは答えである77万3242分の1の6倍、つまり463万4792分の6であるために、分子である数の意表を突き、そのことで一瞬喜ばせたのち不正解を言い渡すことで更にお前を地の底へと叩きつけるという算段だった」
秋郷「そんな誘導できるものか!ボクは当てずっぽうで答えたまでだぞ!そんな7ケタの整数なんて・・・それにお前はヒントで7ケタの数といい、答えは結局割り切った数の6ケタだったじゃないか!嘘は卑怯だぞ!」
空条「だから言ったじゃないか!このクイズには一箇所引掛けがあると」
秋郷「引っ掛けと嘘は一致しない!」
空条「やれやれ、今日はヤケに食いかかるな」
秋郷「当たり前だ!そもそも60センチの球が50センチの穴に収まる訳がないだろう!」
空条「まだ言ってるのか?まあいい、分子が6であるとはいえ、結果的に分母を言い当てたのだからな。答えの仕組みを教えよう。仕組みは非常にシンプルだ!人々が集まったのは真昼だった、呼びかけて人が集まるのはもちろん昼に決まっている、昼の時間なら確率も上昇するというもんだ。しかし、それは物理的に不可能だ!なぜならお前の言うとおり鉛の球は60センチであり湖に空いた穴は50センチなのだから。しかし、物質は温度に応じて体積は変化する。この地方は、日の出の30分前が一番冷え込む、10センチもの誤差、しかし、氷は温度が下がれば体積は増し、穴は広がっていく、鉛の球は温度が下がれば体積は減少する。よって日の出前の30分の時刻より前後する10分間つまり合計20分間だけが一日のうち球の体積より穴の体積が上回る、ということだ。しかしそんな真夜中にまで残っている人なんていないも同然、その村人が転がした球を穴に収める確率をそれぞれ掛け合わせた数字がつまり、77万3242分の1だ」
秋郷「なるほど、理論上正しいことは解かった。しかしさっきお前が誘導した数についてはどうなんだ。分子の数が分母の数をキレイに割り切るという保証はないはずだ」
空条「それは簡単なことだ。2×3×4×5×6×7×8×9をすると362880という6ケタの数になる、この数の倍数であれば割る数が整数であれば確実に割り切れる、そして7ケタの整数のうち、その6ケタの数に27をかけた979万7760という数までが7ケタになる。その27という数のうち9通りのいずれかに当てはまればいいのだから27÷9で3分の1ですむ。始め誘導すべき数は限りないほどの巨大な数であるが、条件を重ね合っていくうちにお前が選択できる数など指折るくらいにしか残らん」
秋郷「納得がいかんぞ」
空条「ヤケにあきらめが悪いな!」
秋郷「ボクにはどうも腑に落ちない部分が多すぎる」
空条「なるほど!さすがは俺の相方だ!」
秋郷「どういうことだ!」
空条「サスガの俺でももうこれ以上は限界だ」
秋郷「何がだ!」
空条「俺は今日、2つのクイズをお前に出したよな」
秋郷「ああ、それがどうした」
空条「そのふたつのうち、2問目は全く意味のないデタラメだ」
秋郷「やっぱりデタラメだったのか!」
空条「そう慌てるな!1問目を覚えているか!この漫才中お前は一部の人間から笑いものにされる、というものだ。そして漫才開始から約2分あたり、それはクイズ2問目の中盤あたりになるが、お前に7ケタの数を答えさせそれを一瞬正解と思わせて6で割っただろ」
秋郷「それが結局でたらめだったのか」
空条「そうだ、それ以降は嘘のオンパレードだぞ!あんなデタラメ、暗算のできる人間ならばすぐに気づくだろう。よってお前は漫才も終盤の今までそれらの賢い人間たちの笑いものというわけだ、はい、1問目の答えは2分間でした」
秋郷「・・・・・・なんかめちゃくちゃ疲れたぞ。お前悪魔だな」
空条「お前は堂々たる道化師だ。よって、ふたり合わせて漫才師」
秋郷「もういいよ、いいかげんにしろ!」
BGM
岡村「いやあ、糖分取りたなりましたね、じゃあ感想行ってみましょう、春風亭小朝師匠」
小朝「理系漫才ですねえ、騙されました。理屈はよく考えるとめちゃくちゃなんですけど、漫才のスピードでみせられると納得してしまう、不思議な体験ですね。これはお笑いの新しいカタチですけど、しかし漫才ならではの醍醐味だったんじゃないですかねえ。落語の世界にも亡くなった談志師匠のイリュージョン落語というのがありますけど、あれに非常に似ている感覚でしたね、感心しました」
岡村「はい、ありがとうございました、つづいて第二組です」