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第八話「莉於以外が悠様をイジると――無性に腹が立ちます」

 メイド日記、ふじみやゆうかんさつ記録、第一しょう十二のせつ――

 りおがふじみやけのメイドになってはや一年がすぎようとしています。

 りおが仕えるべきご主人さまには、まだFormale(正式)なお目どおりがかないません。

 りおのご主人さまはとてもめずらしいたいしつの持ち主で、りおはSentimenti(感情)の制御がぜったいふかけつ、なのだと言われました。

 ごしゅじんさま――ゆうさまは、とてもせんさいで傷つきやすく、誰かがつねに守ってあげないといけないくらい、か弱いそんざいなのだそうです。

 一度だけ、たった一度だけお庭で遊ぶゆうさまの姿をとおくから見たことがあります。

 納得です。ゆうさまは、それはそれは小さくてかわいらしいお方でした。

 りおはメイド長のきょうさまにききました。

 ゆうさまは男の子、それとも女の子? ――と。

 きょうさまは少し困ったかおをしました。

 昨日までは女の子で、今日は男の子だと教えてくれました。

 昨日、奥さまとお買い物に出かけたとき、うっかり迷子になってしまい、たまたま助けてくださったのが男のひとだったから、と言っていました。

 りおがくびをかしげると、きょうさまは『りばーしぶるしんぱしー』のことを教えてくれました。

 好きな気持ちをぶつけられると、ゆうさまはその相手と同じせいべつになってしまうんだそうです。

 よくわからなかったけど、ゆうさまが誰からも好かれる方なのだということだけはわかりました。

 すごい――と、りおは言いました。

 世界中のだれからも好きになってもらえる、それはなんて素晴らしいさいのうでしょう。

 そんなひとに仕えられるなんて、とても誇らしい。

 りおもゆうさまを好きになって、ゆうさまもりおを好きになってくれるだろうか――

 りおがそう問うと、きょうさまはかなしそうに首をふりました。

「おまえが悠様の傍らを勝ち取るためには、決してそれを望んではいけない。それは一番悠様を苦しめてしまうことだ。だから莉於、おまえは自分を徹底的に殺すんだ――」

 そのよる、おふとんのなかでりおは泣きました。さいしょでさいごの涙でした。


「やべ、もう限界――!」

 十志郎は何年かぶりになる弱音を口にした。はっきり言って腕が千切れそうになっていた。

 ただぶら下がっているだけのことがこんなに辛いなんて思いもしなかった。

 走り込みや千本ノックのほうがまだラクだと思った。

 十志郎はいま空を飛んでいた。

 V―22オスプレイの後尾に張り付いたまま、もう何十分もの間、流れる街並みを見下ろしていた。

 野球部の朝練に参加したものの、腹筋はバキバキだし、昨夜のことも気になってまったく集中できなかった。

 案の定顧問に怒られた十志郎は、ひとりもくもくとグラウンドで走り込みをしていたのだ。

 予鈴が鳴ったことにも気づかず走り続けていると、突然見たこともないヘリが校庭に着陸してくるではないか。

さらに四階からロープ伝いに降下する軍人ぽい男たちと――その小脇に抱えられている小柄な生徒の姿。

(もしかして悠――?)

 次の瞬間、校舎から莉於が飛び降りてきたことからもそれは正解で。

 ヘリの正面に飛びかかる莉於に合わせ、十志郎も慌ててテイルウイングに飛びついたのだ。

 機体はそのままは上昇を始め――莉於が落下。

 割と平気そうな姿に安堵したものの、同じ事を自分がすれば骨折くらいするかも知れない。

 そうして現在――命綱なしの空中散歩をしているのだった。


「やっぱどんなにタッパがあってもしっかり筋肉つけないとなー。骨格成長に影響するからあんまりやるなって言われてるけど――うん決めた。めっちゃ鍛えよう。サガットみたいなぶっとい腕で豪速球を――うおお!」

 機体が緩やかに旋回する。

 街並みはいつの間にか奥深い森へと変わっていた。高い林冠の上を滑るようにヘリは進んでいく。

 すると――突如として目の前に広大な平地が現れた。

 そこはまるで常世の楽園だった。

 まだ肌寒い季節だというのに常緑樹が茂り、色とりどりの花々が咲き誇っている。

 そしてそれらに傅かれるように城塞のような白亜の大校舎が聳え立っていた。

「ここってお嬢の通ってる学校――ってことは!?」

 ヘリが着陸体制に入り十分に高度を落とすと、十志郎は近くの茂みへと飛び込んだ。

 そっと様子を伺っていると、エリカを先頭に悠を抱えた屈強そうな男たちがぞろぞろと降りてくる。

「さすが元SASの精鋭ですわ。まさかこんなにすんなりとあの能面女を出し抜けるだなんて、私いま最高の気分でしてよ!」

 拍手喝采。手放しで大喜びのエリカに対し、男たちは神妙な表情を崩さない。

「ミズ・エリカ、あの少女は一体何者だ? 四階からラペリングロープなしで飛び降りる度胸、威力射撃を身体能力だけで回避するスピード、くわえて高々度から叩き落ちても平然としているタフネス。俺たちは恐ろしい相手を敵に回したのかもしれん」

 ブーニーハットのおっさんが莉於のことをどこぞのサイボーグニンジャみたいに言っていた。

 十志郎もそれには同意だった。真咲ってホント何者なんだろう?

「ふふん、あなた方は気にしなくて結構よ。たとえ敵に回したとて戦わなければいいのです。あと一週間――悠様のお誕生日まで『負けない戦い』をすれば私の勝利ですわ」

 ほーほっほっほ、と甲高い笑い声が山中に木霊した。めっちゃ上機嫌だなあお嬢、と十志郎は思った。

「敵に回したというのなら我々が継続して護衛をすることも可能だが?」

 モロコシヘッドの男が提案する。ちょうど校舎のほうからはストレッチャー持った女生徒が到着していた。

「お気持ちは嬉しいですが、それは不要ですわ。第一ここは女の園――『男子絶対禁制』を掲げる豊葦原女学院の敷地。その禁を犯す者には社会的な死が待っています。あなた方も早めに撤収したほうが身のためでしてよ」

 男たちはやれやれと言った感じでヘリに乗って去っていく。ひとり物陰に残された十志郎は背中に冷たい汗をかいていた。

(ヤバイ――俺、完全に敷地に入っちゃってるよ)

 悠も確かに心配だが、ここは場所が悪すぎる。昨日まで神童だ怪物だとちやほやされていたのが、一気に変態のレッテルを貼られてしまうのはさすがにキツイ。ここは一度真咲と合流するため外に――

「セキュリティのほうはどうなっていまして?」

「万全です。敷地の外縁にはドーベルマンを放ち、柵には高圧電流を流してあります。正門セキュリティを通らない限り、入ることも出ることも不可能です」

 ――俺死んだああああああ!

 十志郎は茂みの中で涙の味を噛み締めるのだった。


 *


 悠が連れ去られたその日の午後――莉於は豊葦原女学院の正門前に到着していた。

 ここは大鳥財閥の――否、大鳥エリカの城だ。

 正反対の東の山中に富士宮の邸宅があるように、ここは大鳥財閥のテリトリー。

 なので莉於は正攻法で学院に入学することにした。

 こんなこともあろうかと――莉於は用意していた豊葦原女学院の制服に身を包んでいた。

 豊葦原中学の女子制服が普通のセーラー服なのに対し、こちらはいかにもデザイナーに特注させたようなブレザーだった。

 タイからソックス、ローファーまで一体感のあるデザイン。ただし、やたらとリボンが大きく、ひらひらしたフリルぽいものが各所にあしらってある。

「まったく。こんなゲームの中の美少女が着ているような制服が現実に存在するとは。もっとも、莉於は何でも抜群に着こなしてしまうのですが」

 成金趣味全開の豊葦原女学院の生徒が着ても、コスプレどころか学芸会レベルにもならないでしょう――

 などと莉於は毒舌全開。誰が聞き耳を立てていようとお構いなしで、むしろ聞いていたら大鳥エリカに伝えておけ――という気構えでズンズン歩を進めていた。

「おまちしておりました――真咲莉於様ですね」

 正門をくぐるとそこには清楚な白い百合――のような少女が立っていた。

 年の頃は莉於やエリカと同じくらいだろうか。

 莉於やエリカが実年齢より上に見られがちなのだが、この少女は圧倒的に幼い印象を受ける。

 遠慮のない莉於の視線に少女は笑みを浮かべた。

 白くたおやかな花がほころぶような、そんな微笑み。

 その綺麗な笑顔を見て――莉於は吐き気を催した。

「いかにも莉於は真咲莉於です。大鳥エリカの教室へ案内しなさい」

 胃の中身が爆発しそうなどとはおくびにも出さず、莉於は尊大な態度を崩さない。

 事前にアポなど取っているはずもない。

 富士宮の財力と権力に物を言わせた強引な入学手続き。

 それでも爆撃機を連れて来なかっただけありがたく思え――くらいの気構えだったのに、「お待ちしておりました」とは敵もなかなかやるものだ。

「委細エリカさまから伺っております。こちらへ――」

 ふわりふわりと、まるで浮いているかのような足取りで歩き出す少女。

 だというのにスカートのプリーツは乱さない。

 白いセーラーカラーは……ブレザーなので無いのだが――翻さない。

 とにかく。歩き方ひとつとっても隙がなく、少女がただ者ではないことが知れた。

よくよく周囲を見渡してみれば、明らかに一般の女子生徒とは雰囲気が違う生徒がちらほらと莉於に視線を注いでいた。

(――なるほど。大鳥エリカの城とはよく言ったものです。一般の生徒に紛れて私兵を数多く入学させているのでしょう)

 ならばこそ。正面から堂々とやってきた莉於の判断は正しかったといえる。

 警備は厳重。おまけに道中明らかなケモノの気配。塀には高圧電流と、ここはどこの要塞かと問いたくなる。

 おそらく、一般の女学院生は自分たちがアルカトラズも真っ青なプリズンスクールの中にいるなど夢にも思っていないだろう。

「こちらになります」

 通された二年生の教室からは扉越しにも笑い声が聞こえてくる。

 昼休みの時間と相まり、なんともかしましい限りだった。

 こういう雰囲気は市井の学校と変わりませんね――などと思いながら莉於は扉に手をかける。

 何をおいてもまずは主の無事な姿を確認しなければ――

「悠さん、こちらの『松前漬け』もご賞味くださいな」

「やだ、私の『めふん』のほうが先でしてよ」

「私の『くろづくり』のほうが美味しくてよ悠さん」

 昼時なので当然ランチタイムの真っ最中――なのだが、微妙に渋いセレクトを互いに交換し合うセレブの卵たち。

 そんな彼女たちの中心――

 美しい少女たちを侍らせる、たおやかな一輪の花が燦然と咲き誇っていた。

 ――というか悠だった。

 小柄なシルエットにショートカットがよく似合う。

 豊葦原女学院の制服もまるで彼女・・のためにあつらえたかのようにビッタリ。

 エリカの指示なのかうっすらとナチュラルメイクまで施されいて、

 どこからどう見ても校内を代表するマスコット的な美少女キャラになっていた。

 本人は大勢の女の子に囲まれ一心に好意を注がれて、さぞや雌雄共鳴体リバーシブルシンパシーの発作で心身ともにキュンキュン来ていることだろう。

 莉於は――絶望的な眩暈がして卒倒しかけ、

 ダンッ――と強く床を踏みしめることでその場に留まった。

 爆撃のような鹿威しにクラス中の視線が集中する。

「ひ――あ、莉於」

「悠様――とても、とてもよくお似合いでやがりますね……!」

 直立不動――品よく手を前で組みながら、莉於は真っ青な炎を背負っていた。

「やめて、そんな冷ややかな眼で今の僕をみないで!」

「冷ややか? そんなもんじゃあーりませんよ。自分の主が女の子の格好で女の子に囲まれてちやほやされているこのシチュエーションで、莉於がどれほどの理性を総動員して正気を保っているのか――その茄子のヘタみたいな頭をこじ開けて教えてやりたいくらいですよ、ええ」

「うわああ、いつもより三倍増しで怒ってる! しかもちょっと猟奇的な罵倒になってる!」

 完全に女の子の格好なので、慌てふためく悠の姿はいつにも増して可愛らしい。

 その様を目の当たりにして――莉於の苛立ちは加速していく。

「悠さん、こちらのお人形さんみたいに冷たい印象を振りまくお方はどなたですの?」

「それでいて目つきだけやたら怖くてとても女性には見えませんの」

「悠さん、悪いことは言いませんわ。こんな粗野なお友達とはすっぱり縁を切ることをお勧めします」

「あわわわわわ……!」

 蛮勇と世間知らずを併せ持つ女学院生の言葉に、莉於の怒りはレッドゾーンを突破した。

「悠様――莉於はいまテールライトのように真っ赤っかになる寸前なのです。そいつが灯ってしまったが最後、悠様のケツに穴を増やしてやるときにも警告はできかねます」

「ひいいいいッ、荒れくれどもの街の二挺ガンマンみたいな台詞はやめてえええええ!」

「こんなグルメが一周回って珍味に走ってるだけで満足している勘違い娘たちに付き合う必要はありません。さあ、とっととこんなところから帰りますよ」

 まー、なんて失礼な! 私達を誰だと思っているのかしら! 珍味のナニが悪いのですか、製造業者さんにあやまりなさい!

 莉於は周りの非難(一部は至極正当な)を無視して悠の手を引いて歩き出す。

「ところがギッチョン――ですわ!」

 立ちはだかったのは、今まで登場の瞬間を狙っていたかのような、豊葦原女学院筆頭大鳥エリカだった。

「勝手にその方を連れて行かれては困りますわね、富士宮さんちの真咲莉於さん」

「何の権利があってそんなことを言いますか大鳥さんちのエリカさん。一般人である十志郎様と富士宮家次期当主たる悠様とではそもそも釣り合いがとれません。このトレード、無効を要求します」

「お忘れになって? 権利はなくとも権力はありますの私。少なくとも一メイドに過ぎない貴女よりは遥かに――それに勘違いなさっていますわね」

「勘違い?」

「そうです、あなたらしくもない初歩的な勘違いですわ!」

 ばさっとエリカは金粉を散りばめた趣味の悪い扇子で口元を隠す。ニヤニヤと目だけを覗かせながら舐めまわすように見てくる。ナニが面白いんだこのやろーは……と莉於は思った。

「そちらのお方は富士宮悠様などではありません。彼女は宮藤・・悠さん――れっきとした女性で、つい先ほどこの学院にやってきた転校生ですわ」

(そう来ましたかこのあまー)

 莉於は内心で舌打ちした。

 いま現在、悠の身体が女の子のものであることを見越した――大胆不敵なウソであった。

 周りの女生徒たちは知って知らずか、もともと無知なのか、エリカの言葉を疑おうともしない様子でうんうんと水飲み鳥のように頷いている。

「ご足労いただいて大変恐縮ですが、当学院に貴女のご主人様はおりません。お引き取りを」

 エリカは扇子の先で教室の扉を指した。

 詰みである。

 この学院ではエリカの言葉は絶対。彼女が言えば太陽も西から昇る。まさにエリカ王朝。

 他の女生徒たちも口々に『お引取りなさいませ』とコールを始める。

 悠は悠で、莉於がいつ爆発するのかと右往左往していた。

 そして――割れんばかりの合唱の中、よく通る声で莉於は言った。

「証拠を」

 つん、と顎をそらし、莉於は傲岸な態度でエリカを見下ろした。

「このお方が紛うことなき女性だという証拠を、いまここに提示してくださいませ。それを見て納得いたしましたら莉於は疾くお暇いたします」

 教室はしん、となった。

 女生徒たちはきょとん、とした顔になり、エリカは眼をすうっと細めて莉於を見据える。

 ひとり大汗をかいているのは――誰であろう悠本人だった。

「り、りりりり、莉於、証拠って――」

「ここにおわすお方が女性であるという明確な証拠を――女である証を出してください。さあ、出せぇ!」

 金さんを出せぇ――まるで遠山奉行のお白州のようなノリだった。

「あなた、その言葉の意味がわかっていて? 仮に――仮にこのお方が悠様だった場合、それがどれほど主を傷つけることになるのか、知らぬ貴女ではないでしょうに」

 エリカの眼は蔑むようなものに変わっていた。いままでライバルと認めていたメイドに心底失望した――そう言わんばかりの怒りと憐憫がそこにはあった。

「ご託はいいのです。いまこの場で証を立てられないのなら、負けを認めたことになりますがよろしいですか?」

「勝ち負けの問題ではなくてよ。ここは女の園。女の子同士、羽を伸ばして明け透けになることもやぶさかではありませんが、それでもひとりだけ――衆目の前に晒すということがどれほどこの方に辛い思いをさせるのか、それを慮っての躊躇いですわ」

 ですがいいでしょう、とエリカは悠ににじり寄った。

「ひ――」

 後ずさる悠。すっと背後に、莉於を案内してきた白百合の少女が立ちはだかった。

「ややや、やめて大鳥さん、お願いだから――こんな大勢の女の子の前でだなんて!」

「ええ、ええ――わかっています、わかっていますとも。エリカも辛うございます。ですがこれはあなた様の愚かなメイドが望んだこと。この石部金吉金兜いしあたまを黙らせるためには致し方ありませんの。――みなさんも、これから目にするものについては他言無用に願いますわよ!」

『はーい、エリカ様!』

 どこかきゃっきゃウフフと楽しげにことの成り行きを見守る女学院生たちだった。

 白百合の少女に羽交い締めにされ、身動きの取れない悠には懇願することしかできない。

「やめ、やめて大鳥さん! 莉於、助けて……!」

 莉於は無表情のまま主を黙殺する。その瞬間、悠の瞳からは光が失われ、エリカは同情的な目で彼女・・を見た。

「可哀想な悠様。でも安心なさってください。この冷血仮面メイドを追い払ったらたくさん――それこそ全校生徒をあげて慰めて差し上げますわ。白亜の校舎に蕾は集い、若さでみんな素直に語り合う――ですわ」

「訳がわからない比喩だけど結局僕がピンチなのは変わらないよねそれええええ!」

 ついにエリカの白くて細い指先が悠のスカートの裾を掴んだ。

「さあ、とくとご覧あそばせ――そして懺悔なさい! 主を辱めることを由とした己の不忠義を!」

 ばっ――と、プリーツスカートが舞い上がる。「きゃー」「いやー」などと顔を隠しながらも指の間からはバッチリと見ている女生徒たち。

 そして莉於は――ニヤリと、邪悪な笑みを浮かべた。

「――!?」

 重力に引かれ、再び女の子の――悠の大切なゾーンを覆い隠すスカート。

 それを目撃した女生徒たちは黄色い声を引っ込めて――絶句した。

 エリカは一瞬見えたものが信じられず、再びスカートをめくり上げる。

「いやぁ――許して大鳥さぁん」

 大粒の涙を流す悠。

 果たしてその中身を覆い包んでいたのは――ムー○ーマンだった。


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