レベル8の本気
※約1万5千文字あります。
自分に周りとは違う力があったとしたら、君はどうするかね。
ワシか? ワシはいかんなく発揮した。
もっとも、ワシは表の世界の住人ではない。だからこそ、かえって変人扱いされずに長いこと、裏の世界にて、力がバレずにやっていけたのだろう。裏の世界は、ヘンなのばかりじゃからな。
ワシの名は剣岳鍛造。
暗殺組織『バリスタ』を経営しておるし、暗殺者のトップじゃ。
トップと言っても分かりづらいか。ならば、言い換えよう。
若造たちの世界での流行りの言葉でたとえるならば、SSSランクじゃ。ちなみに(SSSランクは)この世界ではワシ一人しかおらん。一応ライバル組織扱いの『カタパルト』のトップでさえ、Sランクじゃ。ワシの娘と同じランクじゃ。つまり、ライバルなんぞ初めからおらず、ワシが名実ともに裏社会のいくつかの頂点の一つということじゃ。
ところで、話は変わるが、ワシは明日の日付でちょうど90歳になる。じゃが、それは別の若者に迎えさせ、ワシは、そいつと入れ替わった。ちなみにこの技は、『入れ替わり』という特殊能力じゃ。ワシの持っておる特殊能力の一つじゃ。この技は文字通り、目をつけた相手と入れ替わることができる。欠点は、相手によるというところか。すんなりいく場合もあれば、今回のように、数年かかる場合もある。
だが、今回ばかりは、この小僧の思わぬ働きに満足せねばな。
何の因果か、この小僧は向こう側にて、ワシが立ち上げた組織と同じことをやり始め、成功し、裏の世界から表の世界に対し、にらみを利かせている存在になっておる。
願わくば、この小僧がもっと優秀ならば、娘も連れて来れたのだがな。
娘か? 母親に似て美人じゃった。素質もよくてな、前述したが、殺しはSランクの腕前じゃ。残念なことに数年前、暗殺された。ある小僧の銃弾を直後に受けたため、即死の直後から不可思議パワーで生き返ったのだがのぅ、まさか痛みが残った状態で蘇生が起こるとは思っておらなんだ。傷が癒えたころには意識が向こうの世界に飛んでおった。
現在は、コールドスリープ室にて永遠の眠りに入っておる。
そう云えば、あの小僧、娘が好きじゃったな。ワシはアイツが娘を見るたびに何度も何度も殺意が湧いたわぃ。おかげで辛抱強くなれたがのぅ。
そうそう、ワシの身体じゃが、寿命を迎えたと同時に、ワシの元の身体と娘の身体をともに焼却炉にて証拠隠滅を図らせるよう指示が入っておるから、束の間じゃが、一緒になれるぞ。
肌と肌を重ね合わせた状態で燃やすよう指示しておいた。今までの功績に対するせめてものの償いじゃ。
あの世とやらで、達者に暮らすが良い。
ワシは、あの小僧の身体に乗り移った先の世界で、元の世界と同じように権力を蓄え、頃合を見計らったのちに、あの小僧が若返らせた鬼谷ジェノサイドに乗り移って、ゆくゆくは世界を裏側から支配するのじゃ。
ん? バリスタ側とカタパルト側の両陣営に送った『戦闘準備』メールか?
アレに特別な意味はない。”どちら側かの陣営のスマホを集め、パスワードを入手したら帰れる”という話は希望を与えるための虚言じゃ。
ワシの目的は、異世界でも生き残れるであろう、強い肉体がどれだけ残るか? にしか興味がなかった。
バリスタ側の有望株は軒並み全滅で、カタパルト側に至っては、時間軸がずれたのかフンバの20年前のワープが最長とか笑うしかなかった。
ワシの潰えた希望が息を吹き返したのが、あの小僧じゃな。
ワシのとは毛並みが違うが、チューするときに何かしらの願い事を強く願うと叶う、とか、スマホ相手にやり始めたときは目を疑ったのぅ。実際にスマホが人型に変形したときは、底知れぬ恐怖を感じたわい。
いつの間にあの小僧は力をつけたのか。
そもそも、あの小僧は呪いだけしか身につけられない体質だったはず。
どこで歯車が狂い始めた?
幸い、ワシの命を脅かす力には目覚めてはおらんかったが、安心はできんかった。ワシは、モニター越しから小僧の一挙一動を見守っておった。そして、時の流れのはやい向こうの世界で、小僧が順調に立場と発言が大きくなるのを見計らい、スマホを全部集めてウソがばれる前に乗り移る計画を立てた。
ワシは、小僧がこの世界で一分一秒でも長く生きてもらうのも嫌じゃったので、『入れ替わり』を使う前に毒を飲んでおいた。遅効性だが、確実に心臓をコロリとやる毒をな。
―
――三途の川入口にて。
現在、バリスタ(ウチ)のボスの娘・刀さんから、あのじっちゃんのトチ狂った計画の一部始終を聞かされました。
やー、聞いた瞬間、あの時のアレコレはの真相は……と思いを巡らせるや、腹が立ちますねぇ。あの頃の本人は影の努力が実ったうえでの抜擢だと勝手に思い上がっていたわけですから。
まぁ、あのじっちゃんも「お前の努力は知っておる」とか思わせぶりなこと言ってましたし。今にして思えば、乗り移りに必要な身体候補なわけだから、常に(身体の)チェックは欠かせないわけで、ずーっと見られていたわけだ。とするとあんなことやこんなこともかー。プライバシーもへったくれもないな。マーラ様と初めて出会ったときの試練はこういうことだったのかな? 本人に聞いてみないと何ともだが、来てくれるかなぁ、三途の川入口まで。
それはそうと。
「カナタお姉ちゃん、知らなかったとはいえ、狙撃してすみません」
何年か前の話になる。
例のカタパルト側とスナイパー勝負になり、バリスタ側の代表に自分が選ばれた。ごく自然な流れとして、自分以上のスキルを持つスナイパーが黙っておらず、じっちゃんのところへと直談判しに行く事態が発生した。自分も空気を読んで代表を辞退したのだが、じっちゃん権限でムリヤリ代表選出となり、これが原因でバリスタを抜けたスナイパーがカタパルト側にまわり、勝負はカタパルト側の勝利に終わった。
試合当日、自分はあのじっちゃんから変な依頼を受けた。
「青い服を着た女だけは、向こうが先に撃ってしまってもあきらめずにきちんと当てろ」と。
あの時は首をひねりつつも、言われた通りにやったが、まさかあの頃から既に、自分の受けた呪いの効果に死んだばかりの人間すらも甦らせる効果があるとは知らなかった。
また、カナタお姉ちゃん曰く、
「虎|(カタパルト側に寝返ったスナイパー)の一撃必殺のときはまだ意識があったわ。あの状態で治療できたらひょっとしたら元に戻れたと思うの。でも、アントンの一撃は意識云々じゃないの。意識を飛ばして楽になることを許されず、身体の蘇生復活まで痛みが断続的かつ永続的に続くの。治った時の記憶がないのだけれど、それで良かったと思うわ」
「ああ、それ、異世界で拷問やるときに、捕まった奴全員が共通の思いを抱くみたいですね。ゲロッた途端、みんな、意識飛ばして帰ってきませんでしたから」
「あらヤダ何それ。私の知ってるアントンどこに行ったの?」
「カナタお姉ちゃんがお休みする前のアントンも歳を取れば、変わらざるを得ませんよ」
「それはそうだけれど。でもね、アントン」
「何でしょうか?」
「お互い死んじゃったけど、また会えて、お姉さん、嬉しいわよ」
カナタお姉ちゃんがそういいつつ、抱き付いてきた。
子供の頃に思わず鼻孔を膨らませた甘い香りが、あの頃と変わらず漂ってきた。
ハルカ相手にならしたハグで迎え、しばらくの間、懐かしさに浸る。
すぐにそれだけでは物足りなくなって、顔と顔が出会う。
カナタお姉ちゃんがそっと目を閉じて受け入れる態勢満々だったので、唇を重ねてみた。
これまたハルカ相手にならしているせいか、驚かれた。
「ちょっと、アントン。ハグとキス、やたら慣れていない?」
「あー、そうですね。話すと長くなりますが、聞きます?」
「ここは死者の世界ですもの。時間はたっぷりあるわ。立ち話も何だし、ここに座りましょう」
カナタお姉ちゃんに促され、いつの間にかそこにあったベンチに腰掛け、自分は彼女の知らないそのあとの出来事を滔々と語った。
途中、何度か致死性のパンチやキックが来て、話が中断した。幸か不幸かこれ以上、死にはしないのだが、どこからともなく現れた人魂を浮かび上がらせた医者と看護師の治療が終了次第、話を続けることになった。
まぁ、ホントどうでもいいが、自分の周りのレディは攻撃的だ。
―
>ハルカ
アントンの様子がおかしい。
目覚めてからのアントンは、まるで初めて異世界に来たかのような人そのもののしぐさに事欠かない。次に、私のことをジロジロと興味本心そのままに見つめ、触ってくる。
好かれているのがわかったうえで触られるのはいいけれど、疑問が芽生えた状態で、何かを確かめるかのようにいろいろ触られるのは我慢できない。
だから、アントンをいつものようにぶってみました。
「おっと。急に手をあげるとか、礼儀がなってないな」
いつものアントンなら、大人しくぶたれる。そして、謝る。私が赦す。喜ばれて抱き付かれる、のパターンです。ですが、このアントンは私の平手をかわし、ひねって拘束し、膝で蹴るという仕返しをしてきました。
私のお腹に痛みが走りました。とっさにお腹をさすり、確認します。反応があって、ホッとしましたがアントンに対しては言いようのない恐怖を感じました。
「何をされるのですか、あなたは」
私がされたことに憤ったアイシャがすぐさま反応して、戦闘態勢に入りました。
「アイシャ。お前こそ、自分が何様であるかの自覚を忘れたか」
アントンは、据わった目つきでアイシャをにらむと何かしらの呪言のような奇声を発します。
途端、アイシャの瞳が活気を失い、心を失ったかのような口調に変化しました。
このアントンモドキは、何らかの方法でアイシャを工場出荷状態にまで戻したようです。
まるで、手元を離れた製品のオリジナル仕様のアップデートが気にくわず、それまでの経験値をあっさりとデリートするかのような、慈悲のかけらもないやり口です。
私は、とっさにそういうことを平気でやる人物像が思い浮かびました。だけど、すぐさま否定したかった。何故ならば、その人物は私の知っていたアントンをもあっさりと消したのですから。
私の心の中に絶望が芽生えました。
ここから先は地面に後頭部を打ちつけて、冷静さを取り戻す過程での思い出しですけれど、どうやら私は奇声を上げて、久しく所持しなかった暗器をアントンモドキに投げつけました。周囲の人々の驚きの眼差しが、いかに私がおかしくなったのかを物語っていましたね。
そんな私の反応にアントンモドキは興味を失い、ギルドの建物の中に入っていきました。
アントンモドキの対応の代わりを心を失ったアイシャが、私に対して発砲し、私はドサッと音を立てて倒れました。
空を見上げ、濡れた手を掲げます。
血みどろの手から零れた血が頬にかかりました。
お腹からどくどくと血が流れる感触が伝わりました。
私は何も言えず、涙であふれるのも気にせず、瞳の奥から光が消えるその瞬間まで過ごしました。
―
――再び三途の川入口。
これまでの身の上話を一通り終えたあと、ちょうどいいタイミングでハルカを見つけた。
ハルカは涙ぐんでいて、声をかけづらかったが、場所が場所ということもあり、川の向こう側に渡られると面倒するため、何も言わず、ハルカを抱き留めた。
「アントン?」
ハルカが自分を認識して、抱きしめ返してきた。涙はなおも止まらない。
「何で泣くんだ?」
「……お腹に赤ちゃんがいたの。でも、死んだでしょ。それが悲しくて」
「大丈夫」
「どうしてよ」
「いつも通り、キスで生き返るつもりだからさ」
「出来るの? そんなことが」
「正直、分からない。だけど、それを聞いちゃったら、生き返る気が増した。それは事実」
つい、ハルカを抱きしめる腕に力が入った。
でも、ハルカは痛がらなかった。代わりに、もっともっとギュッと抱きしめ返された。
「やほー、ハルカ、お久しぶり~♪」
「かたなお姉ちゃん?」
「そうよー。アントンは、いまだにカナタって言うけれどね」
「アントン、いい歳した大人になったんだから、いい加減読み間違いを改めなさい」
「小さい頃のクセを矯正しなかったカナタお姉ちゃんが悪い」
「あら、アントン、言うようになったわね。久しぶりに、お姉ちゃんの折檻を受けてみるかしら」
「いやいやいや、さっき、いっぱい味わいましたから」
「アントン、アンタこんなところでナニしてたの。それと、かたなお姉ちゃん、治療は任せて!」
「いやいやいや、ハルカ、恋人ならそこはフォローしようよ」
再会の挨拶早々、何故か追い詰められる自分。
アワアワしていると、2人が互いの顔を見合わせて、笑いあった。
ああ、からかわれたのね。女同士の息の合った連係プレーって、男には息が詰まるよね。
と、このサークルを遠目で申し訳なさそうに覗いている女の子を発見した。
すこし窮屈していたこともあり、脱兎のごとく逃げだして、その勢いのままショルダータックルで女の子をゲットした。
「何をするでありますかっ!」
手刀による反撃もさながら、独特の口調からそれがアイシャであることがすぐにわかった。しかし、おかしい。生前、あれほどハルカとの距離が近かったアイシャが、まるで視線に触れたくなさそうに距離を取ろうとしている。
「アイシャ、まずは座ろう。そして、そのよそよそしい態度の理由を聞かせてくれ」
自分はアイシャへの拘束を解き、いつの間にか用意されていた床の間の座布団に腰掛ける。ちゃぶ台にはお茶とせんべいが用意されている。ここの霊魂は余程ヒマのようだ。
アイシャは現在、ハルカと涙ながらの抱擁の真っ最中である。元々仲が良かったのだ。ついさっきの後味の悪い最期の当事者同士ではあるが、じっちゃんがアイシャに対して特殊コードの発動をさせた時点で、アイシャに罪はない。抵抗できない困難な出来事をたやすく跳ね返せることができる人ってのは、限られている。わかりやすい例が、世界を救済すべく立ち上がった勇者だな。
我々は暗殺者ギルドの一員だ。勇者の立場には程遠い。
「少年、死んでショックを受けておるのか?」
「目を閉じていろいろ考え事をしてましたが、そんな風に見えていましたか?」
「いいえ。むしろ、ニヤニヤしてました。エロいことを考えていたに違いありません。不潔です」
「栞くん、相変わらずの毒舌をありがとう。お礼にキスでもしようか」
「嫌です。私には好きな人がいましたから。……でも、もう会えませんけれど」
あ、爆弾投下しちゃった。いたたまれないので、メンタルタフなマーラ様にここへ来た理由を尋ねてみた。
「そうそう。悪い知らせじゃ。お前がここまで築き上げたギルドじゃが、ワシが追い出されたことによって、ギルドの設立理由が無くなった。よって、ギルドが崩壊したぞ」
「構いませんよ。むしろ、これから生き返った時は表の世界で稼業をしてみたいと思ってましたから、ちょうどよかったかも」
「えっ、生き返ることができるのですか?」
メソメソしていた栞くんが、こちらに対してバッと振り返ってくる。
「キスの可能性に賭けるのさ」
「確実性に欠けますね。それではダメです」
「では、生き返りたい人たちで手をつないで、復活を望んではいかがでしょうか?」
「オレは、お前と生き返りたい」
「だニャ。ようやく完成したニャ。お披露目前に死んじゃったから生き返られるのならぜひニャ」
会話の輪に、アクアとルビー&レミが加わった。
「3人は何でここに?」
「5人嬢さんからの命がけの情報で、状況を知りまして、栞さんから以前いただいてました毒を服用しました」
「詳しくは知らねーけど、5人嬢の人たちによって、あのアントンモドキが片っ端から見つめた人を操り人形にさせていく映像を見たんだ」
「心を失って生きていくなんて、物つくりの立場から言わせてもらうニャらとても悲しいことニャ」
「ですから、3人揃ってこちらへお邪魔しに来ました」
自分はお帰りのハグで出迎えた。
「で、5人嬢は何処だ?」
「え?」
「私たちのことも」
「気にかけて」
「くださるの」
「ですか?」
声をかけられただけでうれしいのか、5人嬢がスポットライトとともに何かしらのポージングをとりながら現れた。こうでもしないと忘れ去られるとでも思ってるのかねぇ。
「ジェノは?」
「残念ですが、アントンモドキから『お前が欲しい』と告られて、そのまま乗っ取られたようです」
「ものすごく嫌がってただろうなぁ」
「ええ、その、乗っ取られる瞬間、魂のようなモノが空の方へと逃げるのを見かけましたけど、こちらへは来ていないのですか?」
「三途の川入口はどちらかというと地面の下にあるからな。そうか、ジェノ、昇天したか」
自分、不運な人生だったジェノに思わず黙とうをささげた。他のメンバーも自分に続いてくれた。
「さて、これでギルドメンバーは全員そろったかな?」
自分は、集合した人たちを見渡した。ギルドメンバーではない人たちもいるが、そんな細かいことは気にしない。みんながみんな、自分を見返して、頷いてくれた。
「よし、では栞くん。スマホに封印されていた9文字の解析は済んだだろうか」
「はい、例のアナグラムを読めるように並べてみましたが、不思議なことに私たちではそれを読み上げることができませんでした」
「What?」
「驚く気持ちもわからんでないがの。多分、コイツはお主以外では発動しない特殊な文字なんじゃないかと思うのじゃ。何故そんなことがわかるのかっちゅーのは説明できんがのぅ」
「なるほど。では、栞くん。その文字を見せてくれないか」
と空気を読んで現れた黒板に栞くんがチョークで文字を書いてみせた。
黒板には「belphegor」と書かれた文字が示された。
「べれっふぇごる?」
文字が読めた自分に対して驚きの声が上がるのも束の間、自分以外の皆さんは、この文字の正しい読み方を何故か知っているものの、伝えられないでいるもどかしさに不満顔である。
なので、みんなの口パクから読み取った発音でこの文字を読んでみるが、いずれも不正解で、何も変化がみられない。
と。
「このアンポンタン」
誰かが足早に横切る際、自分の頭を教会の鐘で殴りつけてきた。
鐘の音で消え入りそうではあるが、どこからかリコーダーの音が聞こえてきた。
(結婚はなぁ、人生の終着点やでぇ)
誰のつぶやきかわからんが、自分に対してつぶやいているようにも思えた。
「鐘、笛、終着点」
突如降ってわいたイベントに、鐘の一撃で朦朧としている頭が答えのヒントを導いてくれた。
「それを英語と難しいヤツはそのままで言え」
「ベル、フエ、ゴール」
「、を取れ」
「ベルフェゴール」
ペカーッと黒板に記された文字が急に光った。
光はこの場のみを照らすだけではなく、全方位に向けて、一斉に飛び散っていった。
「アントン」
「何だい、ハルカ」
「涙出てるよ」
あの光を見てから、急に涙が出てきた。何故かは分からない。だが、どことなく懐かしさが込み上がった。それは自分だけではなく、アイシャ、マーラ、レミ、栞くんに同様の反応があった。
「どういうことだ」
自分の問いかけに対し、あふれる嗚咽でかき消したのがマーラだった。そして、その嗚咽から拾ったかぎりのマーラの使命は、ナナシことベルフェゴールの子孫の保護だそうな。だが、抵抗勢力によってその保護は打ち切られた。マーラはベルフェゴールにとってはパートナーの一人だったが、世間一般的なマーラは悪そのものの一つである。その悪がどこの種族か不明だが共同体を見守り続けている。共同体が成長したら、大いなる悪の尖兵となって、我々に不利を悪をもたらすであろう、討ち取らん! てな感じで、討伐を掲げた者たちによって、マーラは長い間、地下の祭壇に封印された。
「聡子様は全体的な物事の監視者でした」
アイシャにとっての先祖ともいうべき聡子という名のオートマータは、世界の成り行きを見守るシステムとして存在していた。
当然、守護を担当していたマーラの封印も周知しており、他のパートナーを動員させて、抵抗勢力との抗争に当たらせたが、抵抗勢力側に神の子がついた時点で事態は不利の坂を転がり始めた。
「神の子?」
「アントン様は、以前夢の話をされていました。その中で、ローブをまとった中性的な人物のことを言っていました。彼こそが神の子なのです」
「ふーん。じゃ、神は?」
「ベルフェゴール様が遠い昔、倒しています」
「普通、封印とかだよね」
「人間が神を押さえつけるのなら封印ですが、ベルフェゴール様は元神ですから、神と神の決闘に従い、敗北者を倒し、永久に復活されないよう魂を無に帰しました」
「ご先祖様、スゲー」
「ふふふ。アントン様にもその血が流れているのですよ」
へー。用意された鏡の全身像で見渡す限り、ご先祖のオーラみたいなのを感じないなぁ。
「じゃあ、何でご先祖様はナナシに?」
「ベルフェゴール様の呪い『コロセズ』は、ラノベ界の神もとい勇者製造元を破壊することは出来ましたが、存在そのものすらも殺すことは出来ませんでした。そこを運命神と名乗る者から『神の命運を変えて、君の望みをかなえてあげよう。ただし、君は名前と関わった者たちとの記憶を失う』という取引を持ちかけられました」
「よく応じたね」
「目の前で宿敵があっさりと存在を消しましたから。もちろん、ベルフェゴール様も作為や演技のセンは疑っておいででした。ですから、伝手を頼って宿敵の生存反応を徹底的に調査してもらいました」
「そして、契約成立か」
「ええ、その後はご存知の通りです」
「でも、誓いは立てられたね」
「はい。ベルフェゴール様の復活に伴い多くのパートナーズの方々も息を吹き返します。世界は再び動き始めます」
「世界が動く?」
「そうだな。立ち話も何だぁ。オレのプライベートルームで話をしようじゃないか、アントン」
突如光が自分たちを包み、その光がゆっくりと消えるや、自分たちはパーティー会場のような室内に移動していて、グラスを片手に中央の壇上の人を見上げていた。あとで知ったが、移動した場所は、タギリロン。ベルフェゴールのホームのような場所らしい。
「まずは、このオレを復活させてくれた末裔のアントンに感謝する」
壇上の人ことベルフェゴールは自分に対して、グラスを傾け、茶目っ気な表情で、まず自分による復活の言葉の再現に感謝してくれた。
次に、思わず見とれてしまう数人の美人さんから感謝のハグをしてもらった。
アイシャ曰くご先祖様のパートナーたちは皆神さまになった人たちだそうで、ただのハグなのに、何とも言えない温かみを感じた。感謝の気持ちが心にじかに伝わるのだ。
「うへへ」
対するこちら側は身に余る幸せから鼻の下が伸びていたようで、ハルカから今回初の最大クリティカルな平手を喰らった。我に返るには充分すぎた。
「うむ、いいパンチだ」
音といい、威力といい、数人の誰かが平手打ちの出来具合をほめていた。
「喰らった奴は、マジで痛いぞ」
「それはベルフェゴール、お前が悪い」
「そうですよぉ、当初の8人では飽き足らず、旅先でケンカ売ってきた種族を取り込んで48人にまで増やすんですからぁ。クズの極みですよねー」
ご先祖様が美少女2人に言い負かされていて、タジタジである。
言い返さないで文句を受け止めるあたりが、血なんだろうか。
「確かに血は繋がっているわね。ホラ、キスがあんなにも好きなんだから」
ご先祖様は、年齢差とか種族とかそういうのを気にしないようで、美少女2人のあとに幼女、エルフ、ダークエルフ、妖艶な美人、聡明な美人、そして神々しい美人とキスを続けていった。ちなみに、神々しい美人とのキスが一番長かった。
「私たちも負けないわよ」
とハルカが対抗心メラメラ燃やして、唇を重ねてきた。
ただの立食パーティーのはずが、急に桃色空間一色になった。無関係者の居心地の悪さは相当だと思う。ごめんなさい。
一通り、互いの挨拶が済んだ後、ご先祖様は今後のことを聞いてきた。
「生き返って、自分の第2の故郷となった異世界でふんぞり返っている爺様をコロコロさせたら、表稼業でもやろうかな、と」
「具体的には何を?」
「冒険者ですよ。この世界、レベルで一定の価値観が決まる面倒くさいシステムが鬱陶しいですけれど、低レベルでも冒険したっていいじゃないですか」
「ちなみに、レベルは?」
「8です」
「ああ、なるほどね」
「何ですか?」
「ああ、いやいや、それ8じゃないから。インフィニティ、わかる?」
「∞ですか?」
ご先祖様はゆっくりと頷いた。しかも、意地の悪そうな笑顔だ。
「キスで何もかもが上手くいく現象を見て、不思議に思わなかったか?」
「思いましたけど、何故なのかがわかりませんでした。かといって、だれかれにも話せるないようじゃないですし」
「まぁなぁ。ま、そんなワケだから、お前の住む世界がレベルでお前を縛ることは出来ない。存分に旅をして、見聞を広め、ついでに立ちふさがる理不尽と立ち向かって、勝利して欲しい」
「最後のは一体何ですか?」
「自分の時代にあらかたのルールは撤廃させたが、いまだに強くくすぶっているモノがある。いわゆるモテる者の”独占のルール”だなぁ」
「は?」
「生まれつきイケメンで育ってきて、周りの女の子が言い寄ってくる環境にあると、その一定数にどうしようもないバカが出来上がるんだ」
『イケメンのオレが全てを支配し、あらゆる女をこの手に集めてやるぜ!』
幼女が声マネを披露して、ご先祖様サイドの人たちがツボにはまったらしく笑いが止まらない。
「そうそう。ラノベ神作成の最強勇者ケマレック、懐かしいなぁ」
「ケマレックとは?」
「なぁ、アントン、オレを見てお前はどう思う? イケメンか?」
「いえ。胡散臭いです」
「でも、美人なパートナーズがいるよね」
「はい。非常に不思議なことですよね」
「非イケメンにしては、な。まぁ、なれそめの話はおいおいするとして、ブサメンが美人を娶るのは悪か?」
「相思相愛でしたら、問題ないかと」
「そこまでの美談は難しかったが、そこそこに心を寄せ合う状態までは持ってこれたと思う」
「でしたら、自分は反対しません。反対するということは自分の否定にもなります」
「だなぁ。お前も老け顔だ。ん? 何だ意外と歳食ってるな。じゃ、若いころはパッとしない顔だったろ」
「モブ顔でしたからね。でも、ハルカがいました」
「お姉さんも寝てなかったら、その隣にいたかもよ」
「私だって、出会いが早かったら……あ、でも胸の上にいたころも幸せでした。いつも心音が聞こえていて、温かくて」
またもご先祖様サイドから、「おおおおーーーーっ!」というどよめき。
「結構結構。で、ケマレックだが、ヤツは『美人の存在は、すべてイケメンのためにある』と主張した。はじめは受け入れられていたよ。美人はこぞって奴の元になびいた。
だが、美人が妊娠するとケマレックの愛情は冷めた。お腹が大きくせり出すのは美しくないから、という屁理屈をこねて、ハーレムから追い出した。抵抗する者は一切の逡巡なく斬り殺された。
その中には国の未来を背負って送り込まれた王女などがいたが、一切の容赦はなかった。
当然、送り込んだ国の態度は硬化して、戦争が起きた。
国と勇者の戦いだったが、勇者ケマレックは神の現身で、実際には神と国の戦いだった。
世界を創造した神に人がかなうはずもなく、いくつかの国が滅んだ」
「質問いいですか?」
「何かな?」
「妊娠したらダメなら、妊娠しなかったら寵愛を受け続けられたのですか?」
「いや、ある一定レベルの鮮度を求めていたと聞く。鮮度が落ちたら外されたそうだ」
「クズですね」
「だろお。48人と深い関係になる方がまだ愛があるよな」
「ちなみにご先祖様は、どうやって48人も?」
「ここにいる8人とその他の何人かは、別のアプローチだけど、この世界に生まれ、勇者の寵愛を受け、捨てられた種族の残りの人数は、『子供が欲しいです』とか『子供の顔を見て幸せをかみしめたい』とか言ったら、コロッと落ちたかな」
「まさかのチョロイン発言」
「失礼な。愛の告白の過程で家庭の話が出てきてもおかしくないでしょう。まぁ、結局はこどもの顔が見れなかったけどね」
「封印されましたからね」
「そうだな。でも、君のおかげで帰ってこれた。みんな、記憶を取り戻し駆けつけてきてくれたし、赦してくれた。子供たちのケアはこれから時間をかけてやっていこうと思う」
「それが、ご先祖様の今後の活動ですか」
「そうだな。アントンを助けるのも、その一環だ」
「理不尽の話、引き受けます」
「ありがとう」
自分はご先祖様とハグをかわした。自分同士がハグしているようで不思議な気分になったが、ご先祖様も苦笑していたあたり、同じ考えに至ったらしい。
―
今、自分と、つながりのあるメンバーたちが手をつなぎ、元の世界へと戻れるよう気持ちを一つにしているところだ。だが、なかなかうまくいかないでいた。
原因ははっきりしている。栞くんだ。
栞くんは自分が好きではない。むしろ、向こうの世界に好きな人がいて、失意の底に沈む感じでこちらにやって来た。
全員が生き返るにはみんなの気持ちが一つにならないといけないのだが、このままではいつまでたっても平行線である。
栞くんを外す案が出てもおかしくはないが、自分が反対するのがわかっているのか誰も言おうとはしなかった。だが、当の本人にはバレバレで、何度目かの失敗のあと「ご迷惑をおかけしました」とだけ言い残して、走り去った。
自分は栞くんを追いかけた。
彼女は学者肌だ。なので、体力がない。
スタミナはすぐ底をつき、200mほど走ったところで追いついた。
「連れ戻しに来たのですか?」
「まぁ、その判断は君に任せるけれど、思ったことを言っておこうかな、と」
「何ですか?」
「うん。栞くんは好きな人を強く思って手をつなげればいいんじゃないかなー、と思ってね。活動力が愛であるならば、別に対象が自分限定じゃなくてもいい気がしたからさ、教えておこうと思って後を追った」
栞くんがポカンというか唖然としていた。そう云えば、普段は自分が間抜けなことを言うや、栞くんがぴしゃりと常識的なことを言って、話をまとめるのがいつもの光景だ。それが逆になると、とっさの言葉が出てこないようである。まぁ、そういうこともあるよね。
てなわけで、踵を返そうとしたら、袖口をつかまれた。
「何かな?」
「初めて出会ったときのこと、憶えていますか?」
「自分がツナサンド食べていたときだったから、じーっと睨みつけられてたなぁ」
「眼鏡がなかったのですから、本人かどうかの確認に手間取っただけです」
栞くんが顔を真っ赤にして反論した。うむ。いつもの栞くんだ。
「だったねぇ。それで?」
「見た目もどんくさい私をどうして信じられたのですか?」
「いや、どんくさくないって。あの時、ほこりまみれの君にハンカチを貸したよね。そして、君は自分の目の前でほこりをぬぐった。あの時の素顔に自分、ドキリとした瞬間があった」
「欲情してたのですか? 当時13歳でしたよ」
「ご先祖様なんて自称9歳と付き合ってるからねぇ。この辺は血かなぁ」
栞くんが納得と呆れの混じったため息を吐いた。なんだかなぁ。
「今の私はどうですか?」
「忌憚のない意見を言うならば、押し倒したい」
「ハルカさんのみならず他の人たちとのあとが怖いですよ」
「栞くん、人を好きになるってのは、とても理性では管理しきれない」
「ケダモノ」
栞くんがすかさず、鋭いツッコミを入れた。
なんだろう。栞くんにこう侮蔑されると身体の血が騒ぐ。それなりの関係を持ったら、きっと踏まれてもむしろ喜んでいる自分が想像に難くない。
「わかりました。アントンのことをもっとよく知りたいので、キスしてください」
「わかりません。向こうの世界の好きな人のことはどうしたの?」
「アントンは、私がほかの誰にも見向きされなかった頃から好きだったのでしょう?」
「腰さえ動けば、危なかったねぇ」
「だったら、今の彼、今の私しか見てない。でもアントン、ずっと前から私を見ていた」
「狙っていたとも言い換えられるよ」
「ワザと嫌われる発言をしても無駄です。アントン、私の唇を奪って」
んー。何か抵抗できない独特の雰囲気が栞くんにはあって、そのままムチューとキスしました。で、自分の悪い癖というか、なし崩し的にあれやこれややって、翌日、ハルカにこっぴどくビンタを喰らいました。いつもの2倍強の威力はあったと思います。
―
「レベル∞、発動!」
翌日、ほっぺたの紅葉をそのままに、手のひらで繋がれた絆が巡り巡って自分に帰っていくのを肌で感じながら、自分の中のリミッターを外した。
リミッターの外れた力をどう説明すべきだろうか。
それでもわかりやすく説明するならば、普段の限界を超えて、大食いに挑んだ後の、こみ上がる体調の変化? ご先祖様曰く、完全にその力をモノにするには、いわゆるゲロを吐きたくなるあわや寸前一歩手前の状態を踏みとどまり、力をムリヤリ飲み込み、胃袋にまで押し戻し、完全に素早く体内消化させて、みなぎる力が身体中を一回りすれば完了とのことだ。
8から急に∞にまで、あらゆる能力が向上したことによるデメリット……例えばレベル酔いとかどうなるのかな、と思っていたが、デメリットを打ち消す効果のあるメリットもまた同時進行で展開されているらしく、リミッター解除のときのゲロ吐き寸前のあの頃が一番苦しかっただけで、あとは、何事も平常というかいつも通りだった。
自分は目をつむり、元の世界に戻った後のことをイメージした。
とはいえ、さきほどまで色んなことがあって、イメージ像がなかなか掴めずにいた。
「しっかりしなさい、アントン」
「帰ったら、デートしましょう」
「それはお姉ちゃんが先よ、アイシャ」
「まぁまぁ。デートよりもまずは、お風呂が先ですわ」
「だったら、オレが率先して背中を流すよ」
「ニャ! ニャらレミは一緒に湯船で歌を歌うニャ」
「アクアさん、ビールは冷えてるかのぅ」
「ワタシ、枝豆「冷奴じゃない?「スイカでしょ「ナイター中継「花火の用意もしておく」
「皆さん、まずはこれでしょ。『ただいま』」
などなど、何だかいつもの平和な日常がすんなりイメージできた。
ギルドから帰るときは、アクアの洋服店に直行で、裏口から入り、足を拭き、アクアと2、3の挨拶をして、晩御飯のメニューを聞き、風呂場に向かうがてら、今でくつろぐメンバーに一声かけて、風呂入って、飯食って、ヌフフ。
「もう、アントンったら!」
一番まずい想像が顔に出ていたらしい、最後の〆はやはりハルカだった。
気分を一新したのち、本気の力をみんなの手のひらを通して、行使した。
次の瞬間、元の世界に戻っていて、ジェノの姿に憑りついたじっちゃんが狼狽していた。だが、そこは組織のボスともいうべきか、独特の嗅覚で自分の変化に気付き、落ち着きを取り戻したじっちゃんは目を光らせた。
事前にカナタお姉ちゃんに教わった通り、目全体が光る前に目のクマあたりが光るのを見計らってから、鏡のように光を反射するサングラスをはめた。
特技がまさかの不発に終わったじっちゃんが焦る。カナタお姉ちゃん曰く、じっちゃんの特技は不発に終わった場合の反動もとい身体的硬直が長いらしく、勝負を決めるのならその瞬間を狙えと言われた。
「レベル∞奥義、射撃武器一斉射撃」
自分はもとより、ハルカや栞、マーラ、5人嬢、アクア、ルビー&レミ、そしてアイシャの手持ちの一斉射撃をじっちゃんに喰らわせた。
じっちゃんがどこでレベルを上げ、ステータス値を最大限にまで引き上げたのかは知らないが、自分にはそんな彼らの努力をあざ笑う、ステータス無視の直接物理ダメージを負わせる力がある。さらに、インフィニティ限定効果なのか、それがメンバーたちにも適用されて、じっちゃんは何もできずにジェノの肉体をミンチに替え、とどめの火炎放射で炭に、ハルカの浄化魔法でまっさらな灰になって、大地に埋められた。これが自分だけの攻撃適用だったら、致命的な肉体損壊ダメージのあとの驚異的再生能力が発動して、堂々巡りのはずだった。そうならなかったのは幸いだった。
インフィニティは、かけられた呪いですら打ち砕くようだ。
さすがは無限大。何でもアリだ。
この世界がレベルにこだわるのなら、∞には逆らえない。
じっちゃんの意識が、埋め立てられた場所からにじみ出てきて、復讐を宣告したが、自分が「滅しろ、ゴミクズが」と宣言したら、意識そのものがはじけ飛んだ。
何時ぞやのご先祖様のときと同じである。
自分たちの記憶からじっちゃんの思い出がみるみると消えていく。
ご先祖様と違い、じっちゃんは何も残さなかった。だから、その思い出が消えていくことに何の感傷もなかった。それは、じっちゃんの娘であるカナタお姉ちゃんのあっさりとした表情からもうかがえた。
なにはともあれ、我々は帰ってきた。帰って来たんだぁぁぁぁ!!
2014/10/07 加筆修正と漢字の間違いを訂正。
2014/10/26 設定との食い違いによる加筆修正。