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ヤミとカゲ  作者: まいまいഊ
-宵闇に降る雪は、ときに微睡み-
99/100

98・故郷の思い出。

「……仇は取ったよ」

 眼前には大地に芽生えた一つの樹がそびえ立っている。グイの故郷を見守る樹は、変わらずにそこにあった。

 根元には子供の頃に刻んだ傷がある。グイはそれに手を触れた。

 もう何を刻んだのか朧にしか見えなかった。


 楽しかった思い出を刻んだこの傷も、いつかは消えてしまうだろう。

 しかし、グイは覚えている。


 グイは目を閉じた。


 今もまだ降り積もる優しい雪。


 全てを覆い尽くす純白の魔法。



 雪の積もった白い大地。

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