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ヤミとカゲ  作者: まいまいഊ
-暁闇の世界は、ときに現れ-
3/100

3・幸せの記憶。

 日差しは柔らかく、地上を照らしている。海からの風がどこからか、樹華の香りを運んできた。

 木で出来た人家が見えてきた。小さな懐かしい集落だ。

 

 グイは一歩踏み出した。

 柔らかい土に肢跡がつく。集落は、太陽の光に包まれているように見えた。

 もう一歩、踏み出した。

 肢元の泥の大地に、新しい芽が輝いている。

 グイは、手を伸ばしそれに触れようとした。

 

 しかし赤い水滴が滴り落ち、命を塗りつぶした。世界に赤いものが現れ始めた。

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