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バタフライエフェクト

「何っ!?殺されていただとっ!?・・・それは確かなのかルパード・・・・どこでだ?」

「この村に来る途中の農道の路外に馬車ごと転落していて調べたのですが全員死亡していました」



あれから2時間ほど待ったがいくら待っても来ない例の影武者さんを不審に思った

オーヴァンさんが若い騎士の方に馬を走らせ調べに行かせたんだけど・・・

どうやら想定外の事態が起きてしまったようだ。

お店の外で会話しているので内容はこちらに聞こえてこないが、何か良くない事が

起こっているのは何となくわかる。


「まったく!何をしているんだ!素人じゃあるまいし・・」

「しかしどうします小隊長?ライゼン様に連絡を入れて代わりを用意してもらいましょうか?」


「あの隊長・・・。」「?・・・どうした?ルパード、何か言いたい事があるのか?」

「それが・・・その・・体が・・・で・・・」


お行儀悪いと思いつつも何となく耳を澄ませて会話を聞いてみたが、やはり店の外の

会話は声がくぐもって聞こえて良く聞き取れないな。

調べに行ってくれた若い騎士さん、ルパードさんが青い顔をして小隊長に話している。

その会話の最中二人は私のいる店の中をチラチラと気にする素振りをしているんだけど

何だろう?私に知られたらまずい事だろうか?


私は見るでもなく見ていると段々とオーヴァンさんの顔が怪訝なものになっていく。

そのまま彼は唇に指を当てて難しい顔でしばし考えて込んでいるようだった。

やがて覚悟を決めたような顔で店内に入ってくるなりツカツカと私の方に歩んできて

ガバっとすごい勢いで頭を下げてきた。


「申し訳ございませんプラーニャ様!少し足止めしてしまいましたが、ここから予定通り

北のオルトリンデに向かいます。ただ大きな街道ではなくあまり整備されていない道を

通りますので馬車がかなり揺れると思いますがご容赦頂けますか?」


「え、ええ。それは構わないのですけれど、ここで影武者さんと入れ替わる予定だったのでは?

私せめて一言お礼とご挨拶をと思っていたのですが・・・。何かあったんですか?」


「ちょっとしたトラブルがあったようですが問題ありません。ただこれ以上足止めされると

予定より遅れてしまいますので彼女を待たずに出発する事に致しました」


「そんな・・・。私の身代わりになる方なのです!もう少しだけ待つことはできないのですか?」


「申し訳ございませんプラーニャ様、私も貴女を無事に送り届ける任務がありますので

お気持ちはわかりますがこれ以上遅らせることは隊を預かる者として・・・」


「そう・・・ですか。わかりました、これ以上我がままを言ってはご迷惑ですね

では出発する事に致しましょう」


些か納得はいかないが何かトラブルがあったのであればこれ以上我がままを言っても

迷惑をかけるだけだ。そう自分に言い聞かせて、もやもやする心を落ち着かせた。


そうして食事を済ませた私達は方向を変え一路北へ。

言われていた通り大きな街道を逸れあまり整備されていない小さな農道を通る。

あまり道幅も広くなく路肩に落ちてしまえば間違いなく大事故になるだろう。

シェルビー以外の騎士達は馬車ではなくそれぞれの愛馬で前後を固めてくれているが

道の悪い農道でも難なく馬を乗りこなしている。流石だ。


私はと言えばガタゴトと細かい揺れが続く車内は暑い上にお尻にも厳しい環境で正直しんどい。

私は気を紛らわせるためにシェルビーにさっきのオーヴァンさんの件を聞いてみる事にした。


「ねえシェルビー、さっきのオーヴァンさん達の様子変じゃなかった?何かあったと思うの

だけれど貴女は何か聞かせられてるんじゃないの?」


「いえ、私もプラーニャ様とご一緒に店内にいましたし事前に何か聞いているようなことも

ありませんでした・・・・ただこんな農道を走る予定では無かったはずなのですが・・・」


彼女の様子からどうやら嘘を吐いている訳では無さそうだ。

でも予定に無い農道か・・・。予定を変更せざるを得ない何かがあったと考えた方が

良さそうね。窓の外から彼らの様子を伺うと少しだけピリピリした空気になっている気もするが

私の考え過ぎだろうか?


まあ現時点で何の情報も無い私にはこれ以上考えても無駄に不安が増えるだけね。

でも不安と言えば・・・もう一つある。

ゲームでは意地悪公爵令嬢プラーニャの出番は本来断罪が終わった時点で終わりなのよね。

東の地に追放されて非業の死を遂げる意地悪な貴族。

ゲーム本編ではそれで終わるただの端役で、これ以降は本編に出てこないのだ。


なのに今私はゲームとは違い東から進路を変え北に向かっている・・・。

いわば本編とは別の所でシナリオとは違う行動を取っている事になるし、恐らくこのまま

北に無事に着けば最悪な未来にはならないのかも知れない。

だから当面の危機は一応は回避できたように思える。・・・でも。

この行動によって何か物語に影響が出てしまうのではないか?

という不安が付き纏っていた。

そうバタフライエフェクトのようにちょっとした変化から巡り巡って大きな波のように

私を基点として影響を及ぼすのだとしたら・・?

・・・いえ、これこそ考え過ぎね。


「どうしたんですかプラーニャ様。さっきから何だか難しいお顔をしておいでですが。

あっもしかして酔いましたか?さっきからずっと揺れが激しいですものね。

もし具合が悪ければ・・・」

「いいえ、シェルビー気遣いありがとうね。でもちょっと考え事をしていただけなの」


「そうですか・・・・そうですよね。色々ありましたもんね。元気出してくださいね

人生色々ありますけど生きてさえいればきっといつの日か生きていて良かったと思える日が

きっときますから」


何か盛大に勘違いさせてしまったようだ。

いや、確かにその事もそうなのだけれど出来るだけ考えないようにしていたのだ。

まあこの子なりに最大限気遣ってくれたのだろう。きっと不器用だけど優しい子なのだ。

私は「ありがとう」とだけ言って、無理やり笑顔を作って話を変える事にした。


本当にいつかそう思える日がくるといいな。

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