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誓い

「もう大丈夫です。お祖父様、取り乱してしまって申し訳ございません」


お祖父様は、私が泣き止んで話が出来るようになるまで辛抱強く待ってくれた。

日を改めようと提案もして頂いたのだが、私の僻地出立は明日だと告げると

眉間に皺を寄せ悲しそうな顔で私を抱きしめてくれた。


「さてプラーニャ。一人旅立つお前に辛い現実を突きつけるようで非常に

心苦しい所ではあるが、改めて今回の件に関してお前に話しておかねば

ならぬことがある。」


そういうとお祖父様は私の右手をごつごつとした大きな両手で包み込むように

握ると、真剣な表情で私に意思確認をする。

私は佇まいを直し、お祖父様の手に左手を重ねてコクリと深く頷いて見せた。


「お祖父様、このプラーニャ逃げも隠れも致しません。この度のわが身の

不始末、私の生涯をかけて受け止める所存ですわ。

ですからどんな言いづらい事でも遠慮なく仰ってください!」


「・・・・わかった。強くなったねプラーニャ、儂はお前を誇りに思うぞ」


お祖父様はにっこりと笑いながらそう言うと、私の手をポンポンと優しく

叩いてから、立ち上がると机の上から一通の手紙を取り出し私の座る

テーブルの上にそっと置いてからパンっと一回柏手を打ってから両手を擦り合わる。

お祖父様がいつも大事な事を話す前にする癖だ。


「さて、ユークリッド辺境だったか。近年流行り病で人口が激減し食料が不足、

生き残った若い働き手は食うに困って難民化し、今やほぼ廃村と化した呪われた地だ。

そんな過酷な場所に大事な孫娘を黙って見送るほど儂は老いてはおらん」


「お祖父様?一体何を・・・?もう私の処遇については国王に・・」


私がお祖父様への問いかけを言い終わる前にお祖父様は人差し指を立てて私を制止した。

そして一拍置いてからその人差し指をそのまま下げ今度は置いた手紙の上でトントンと

叩いて見せてから話を続けた。


「今回の件どうもきな臭い動きがあってな・・・。今はまだ話せんが

このままお前を王の言う通り僻地に送るという事は看過できん」


「きな臭い動き・・・?」


「うむ、そこでだプラーニャ。お前は遠い北の国にあるオルトリンデ連合国に

亡命してもらいたい。そこでしばらく身を隠しておきなさい」


「オルトリンデ?あの獣人族が治める北国ですか?しかし私は国王によってすでに

東の果てへの僻地追放が決まった身、事が露呈するば公爵家としても一族の不始末として

何らかの罪を問われる可能性がございますわ。私は良くても

これ以上公爵の看板に泥を塗る訳には・・・」


「心配には及ばん。国王には表向きお前がユークリッドへ向かっていると

思わせる事が出来るよう明日までには手配しておこう。オルトリンデに着いたら

この手紙をとオルトリンデ国王に渡しなさい」


執務机から大きな丸めた羊皮紙を持ちだし私の前にあるテーブルに広げ出した。

それはこの国を含めた周辺国まである地図だった。

私がオルトリンデへ亡命する事はお祖父様にとってもう確定事項のようだ。

お祖父様は昔からこういう強引なところがある。

ただそういう時は決まって判断はいつも的確で最良の結果を生み出すので

いつしか周りの人達も黙って付き従うようになっていった。

かくいう私もその一人なのだが。


「ではこれからお前が行かなければならないオルトリンデについて少し話しておこう。

オルトリンデ領はここ首都シュナイダーより北へ、馬で七日七晩も移動した所にある

『北の交易都市アンバサダー』よりさらに北へいった所にある極寒の地だ」


お祖父様はそう説明しながら広げた地図を指でなぞりながら場所を

指示さししめしてくれる。お祖父様の指は中央と呼ばれている首都シュナイザー

からするすると北に伸び、大きな山脈を越えて小さな印のある場所で

止まりそこをトントンと叩いて見せた。


北方のオルトリンデ連合国・・・か。前世のゲームでも出てきた場所だから

もちろん知っている。物語ストーリーの中盤に訪れる北の要所だ。

帝国軍がある物を狙ってオルトリンデに攻め込んできた所に、その報せを聞いた

主人公達が駆け付け戦闘になる場所だ。

そのある物というのが物語上かなり重要になるキーアイテムで・・・。

ってあれ?・・・その重要なアイテムって何だっけ?

・・・おかしいな。あんなにやり込んだゲームなのに何故か思い出せない。


「正直生きるだけでも過酷な土地だ。そんな所に大事な孫娘を送りたくは無いが

流行り病が蔓延する東の果てよりは何倍もマシだ。

それに彼の国は周辺国では唯一我が国にも帝国の侵略にも屈していない独立国。

万が一にもお前を探し出して害する輩は存在しない」


「事情はなんとなくわかりました。ですが大丈夫でしょうか?獣人族は我々人族を

毛嫌いしていると聞いた事があります。受け入れて貰えるかどうか・・・。

もちろん罪人である私に選択の余地などないのですが」


「お前は何も心配しなくていいよプラーニャ。全部儂に任せておきなさい。

それに獣人族は義理堅く一度仲間と認めた者にはとても情が厚く頼りになる者らだ

きっとお前の事も受け入れてくれるだろう」


オルトリンデか・・・。確かにこのままユークリッド辺境に出家すればゲームの

シナリオ通りだと疫病にかかり若くして病死する未来が待っているだろう。

だからいくら過酷な環境であっても、受け入れるしか道は無い。

ただ少し気になるのだ。ゲームではこんな展開は無かった。


プラーニャはゲームだと聖女の命を奪おうとした悪役として出てくるが、序盤で

その役目を終えるともう物語には絡まない、所謂モブキャラ扱いだ。

悪役にふさわしく追放された遠い東の地で病死とだけ記載されているだけのはず。

でもお祖父様のこの提案でもし生き残る事が出来たのなら・・・やり直す事が

出来るのかしら?

もしその道があるのならバッドエンド(あくまでプラーニャ視点だが)を回避

できるように手段は問わずに全力で生きよう!私の前世の知識をフル活用して。

情けないけどそれが当面の目標ね。

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