表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

魔女の隠れ里

「おはようございますプラーニャ様。よく眠れましたか?朝食できてますよ」

「おはようシェルビー。もう起き上がって大丈夫なの?」


「お陰様でもう立ち上がれる程度には回復致しました。多分エスメラルダ様に

処方して頂いたお薬が効いたみたいです」


彼女は本当に体調が良さそうで、テキパキと食事の準備をしてくれている。

食卓に並ぶのはライ麦パンにベーコンか、それに山羊の乳だろうか?

部屋全体に良い香りが立ち込めていて思わずお腹が鳴ってしまいそう。

でもエスメラルダさんの姿が見えない。彼女まだ寝てるのかしら?


「エスメラルダさんはまだ寝てるの?」

「いえ、あの方は用事があるとかで朝早くに出かけられました。

戻るのはお昼くらいになるそうです」


「そう・・・。じゃあせっかくだしありがたく頂くわ。オーディン、

あなたの分も用意してくれているみたいよ」


彼女に昨晩の話をもう少し詳しく聞きたかったのだけど、いないのであれば

しょうがない。すぐにでも探しに行きたかったが

せっかくシェルビーが用意してくれた朝食を食べないのも勿体ないので

ありがたく頂く事にした。

トーストされたライ麦パンは公爵家で食べていた白パンと違い柔らかくは

ないが独特の風味があってこれはこれで私は好きだ。

焼き立てのベーコンも塩見が利いていて食欲を掻き立てるし、山羊の乳は絞った

ばかりなのか新鮮で濃厚な喉越しだ。


「ご馳走様。びっくりするくらい美味しかったわ。シェルビーが作ったの?」

「ええ、でも美味しいのは素材が良いからですね。こんな場所にこんな食材が

あるなんて驚きですよね」


確かにそうだわ。この食材を一人で調達できるものかしら?

この森にはエスメラルダさん以外にも住人がいるのだろうか。

うーん早く森を出てオーヴァンさん達の無事を確認したいしちょっと

彼女を探しに行って見ようかな。


「ねえシェルビー。エスメラルダさんはどこに行くって言ってたかわかる?」

「あ、はい。家の裏側から北の方に向かって歩いて行くのは見ましたが・・」


「そう、じゃあ私ちょっと彼女を探しに行ってくるわ。オーディン!一緒に

来てくれる?あなたの鼻が頼りなの」

「え?では私もご一緒させて頂きます!準備してくるので少々お待ちを」


「でもあなた病み上がりでしょう?本当に大丈夫なの?」

「モンスターの出る森でプラーニャ様一人で行かせられません」


そう言うとシェルビーは自分の寝ていたベッドの脇から装備を取り出し

手早く着替えてきた。

まだ包帯をしている状態の彼女を連れて行くのは少々心配だが、罪人の私が

勝手に一人で出歩かせるのも彼女の立場からすると難しいか・・・。

申し訳ない気持ちになりながらも、黙って帰りを待っていては

時間が無為に過ぎてしまう。

オーヴァンさん達が心配というのもあるが、お祖父様からの密命を

受けている私としても早くこの森から脱出しないと・・・。


家を出るとオーディンがさっそくフンフンと鼻をならし地面を嗅いで

彼女の匂いを辿ってくれている。

オーディンの先導に従って私達も霧が少し出てきた森の中を進んで行く。


「もしかして匂いで彼女のいる場所がわかるんですか?賢い犬ですね。

森の中で出会ったんでしたっけ?」


「うん、彼には何度も助けられたわ。今もだけど。ちなみに犬じゃなくて

狼よ。ほら凛々しい顔立ちに骨太な体格でしょう?でも大丈夫。見かけと

違ってとても優しい子なのよ」


狼と言われて少し警戒した表情を浮かべたので一応断っておいた。

確かに狼と言えば家畜を食べる人間の天敵だ。

シェルビーの反応としてはこれは普通なんだろうけど、オーディンは

私の命の恩人だ。シェルビーとも出来れば仲良くやって欲しい。


10分程森の中を歩いていると開けた場所に出た。

そこには小さなライ麦畑と家畜小屋があって遠くに何人かの人影が見える。

集落だろうか?食材はここから調達していたのね。

私はシェルビー達に「行って見ましょう」と声を掛けライ麦畑の中を進んだ。

程なくしてエスメラルダさんの後ろ姿が見えたので声を掛けた。


「あら?あんた達来たのかい?ゆっくりしていれば良かったのに」

「いえ、ちょっとお話したい事もあったので・・・ってこの子たちは?」


ライ麦を収穫したり、家畜の世話をしたりと忙しそうに駆け回っている

人影の正体・・・。一見すると”人”っぽいんだけど・・・

背丈は私の半分程しか無いし何より彼らの顔には”目や鼻が無く口だけ”だった。

一見するとホラーだけど何故か全く怖さは感じられない。

集落の人かと思ったけど彼らは一体何者なんだろう?


「ああ、この子達かい?この子達は私が造った”魔導生物ホムンクルス”だよ」

「ホムンクルス!?って私見たのは初めてです!本当にいるんだ・・・」


シェルビーが驚くのも無理はない。私も見るのは初めてだ。

王都の宮廷魔導士ですらも理論だけで実際に造るのは現代の技術では不可能だと

されている究極の魔法生命体とも言われているのだ。


「いくら狭い農園と言っても私一人で維持管理は出来ないからね。

でも結構魔力を消費するから一般の人が使役するのは難しいかもね」


なんてことないみたいな顔をして言ってるけど、これ王都の魔導士が見たら

腰を抜かすと思うんだけど・・・。

っていやいや、ホムンクルスに驚きすぎて本来の目的を忘れるところだった。

私は彼女に話をしに来たんだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ