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魔女の事情

「改めて申し訳なかったねプラーニャ。この子が重傷だったから急いで連れ

帰ったんだけど、まさか連れがいるとは思わなくてね」



食事を終えた私達はこれまでの経緯をエスメラルダさんに話していたのだが

私もいる事に気づかずにシェルビーを保護した事を謝られた。

確かにかなり危ない目にはあったがシェルビーの命を救ってくれたのだから

私としては感謝こそすれ恨むようなことは何もない。

それに弱っていたオーディンを助ける事も出来たしね。


「とんでもないです。それよりこちらこそシェルビーを助けてくれて

ありがとう御座いました。あのままだったら私はきっと彼女を救えなかったわ」


「すみませんご心配をお掛けして・・・。本来私がプラーニャ様を

お守りしなくてはならない立場だったのに」


何だかみんなでお互いに謝ってちょっとだけ気まずい雰囲気になってしまった。

でもさっきまでエスメラルダさんが振舞ってくれた食事はどれも温かく

とても美味しくて和やかな空気だったのだ。

こんなに若いのにこんなに美味しい料理を作れるなんて感心してしまう。

私は気まずい空気を変えるために話題を変えた。


「ところでエスメラルダさんはどうしてこんな場所に住んでいるんですか?

・・・ってごめんなさい。失礼な言い方をして。

でもここはモンスターも多くとても危険な場所でしょう?

どなたか一緒に住んでる方はいらっしゃらないのですか?」


「確かにこの森は凶悪なモンスターがゴロゴロいる危険な土地だ。

でもね、ここは前からこんな感じじゃなかったのさ。昔のこの森は妖精の住む

森なんて言われてそれはそれは美しい場所だったんだ。

私はそんなまだ美しく平和な森だった頃に存在していた集落で生きてきた」


妖精の森・・・そうだったのか。でもゲームではそんな裏話無かったはず・・・。

本当に私の知っているゲームの世界なのか自身が無くなってくるわね。

それに氷壁の魔女はこの森の出身だったのね。

氷壁の魔女エスメラルダ・・・・。

ゲームでは老婆の姿の大魔女、この世界では少女の見た目の魔女。

出てくる時期、出てくる場所、容姿の違い、この食い違いは何なんだろう?


「森はこんな呪われた場所になってしまったが、ここは私の故郷だからね。

色々な思い出のあるこの土地をどうしても離れがたくてね」


「そんな美しい場所がどうして・・・?」


「うーん、その話をすると長くなるからまた今度ね。

今は二人とも疲れてるだろう?もう夜も更けて来た。今日はもう寝なさい。

ベッドならプラーニャの分もあるから案内するよ」


もうそんな時間だったのね。

確かに今日は色々ありすぎてもうクタクタだわ。意識すると凄く眠い気もするし。

色々謎は残るけど今日はお言葉に甘えて休ませてもらおう。


私はエスメラルダさんに案内されて2階の空いている部屋を使わせてもらう

事になった。部屋の扉を開けるともう真っ暗で時間の経過を感じる。

エスメラルダさんが蝋燭に火を着けてくれて部屋のシルエットが

ぼんやりと浮かび上がる。

あまり使われて無さそうな部屋だけど、良く手入れされているらしく

小奇麗に整理されている。


「狭いけど自由に使ってくれていいから。寝巻はベッドの横にあるよ」

「何から何までありがとうございます。助かります」


彼女がそう言って去ってからさっそくベッドに身を投げ出した。

ああ・・・ふかふかで清潔な寝床で寝れるなんて何日ぶりかしらね。

いつの間にかオーディンがベッドの横にいて、お座りをしている。

この子には今日何度助けられたか。

「おいで」というと彼は尻尾をブンブン振りながらベッドに顎を乗せて

私を見つめてくれる。

その姿が可愛くてフフっと笑いながらその顔をもふもふと撫でてあげると

いっそう尻尾が揺れる。


オーヴァンさん達は大丈夫だろうか?

あの最後に見た巨人・・・あんなのに彼らが勝てるとは到底思えない。

どうにして無事に逃げ延びていて欲しい。

シェルビーもきっと内心心配だろうな・・・・。

明日にでもこの森を出よう。迷いの森から簡単に出られるかはわからないけど

エスメラルダさんに案内して貰えばきっと出れるよね?


そんな事を考えながら私は泥のように眠った。


その夜私は夢を見ていた──

霧の立ち込めた深い森・・・。この森には見覚えがある。

ここは・・・魔女の森?ああ・・・なんだかすごく寒い。

気付けば私の吐く息は白くて手もかじんで痛いくらい。


光が射してこない昏い森の中に私一人だけいる状況に酷く心細さを感じる

カタカタ震えながら森の中を歩いていると、奥の方にぼんやりと光が見える。

その頼りない光源に向かって、まるで光に導かれる虫のように歩き出した。

足もとは泥に塗れていて中々前に進むことが出来ない。


それでもハァハァと息を切らせながら進むと、ようやく光の元へ辿り着いた。

そこだけ木々の間から光が差し込んでいて少しだけ安心する。

そこには遺跡があった。

随分と年月が経っているのかかなり風化が進行しているようだけど

それでも朽ちずに建っている石で出来た遺跡。

「知っているわこの遺跡・・・・!」


恐る恐るその遺跡に足を踏み入れる。

長い通路には所々に苔が生えていて、天井からは水滴がポトリポトリと

垂れてくる。

迷路のように分岐している通路を迷いなく進んで行く。

そうして辿り着いた最奥には今にも動き出しそうな女性の彫像があった。


やっぱり!・・・そう思ってその彫像に近寄ろうとしたところで目が醒めた。

「今の夢・・・そうだ。思い出した!この森には・・・」


ガバっと起き上がって布団を撥ね退けると、オーディンがお座りをして

こちらをずっと見つめていた。

「オーディン・・・早起きね。あら?あなたちょっとふっくらした?」

痩せこけていた彼の体は昨日餌を貰えて肉が付いて来たのかすこし健康そうな

見た目になってきていた。良かった。

でもすごい回復力ね昨日の今日で。野生の力って偉大ね。


ってこんな事している場合じゃなかったわ。

早く着替えてあの遺跡の事を調べなくちゃ!

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