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旅は道ずれ余は情け

「俺達はライゼン様の護衛で戻ってきていたんだが・・・」

「貴女こそどちらへ?買い出しというには少々大荷物なようですが・・・」


驚いた。まさか2人とも戻っていたとは。

何年ぶりだろう。3年ぶりかしら?もっと?

懐かしい顔ぶれに少しほっこりしてしまうが、今は思い出話に花を咲かせている

場合では無い。今はプラーニャ様の元へ一刻も早く駆け付けてお世話しなくては!


「二人ともごめんなさい。積もる話もあるけれど私は急ぎの用事があるの」

「そうなのか?だったらしょうがないが、今きな臭い動きがあるようだから

お前も出かけるなら用心して行けよ」


「きな臭い動き?」


「ああ・・・どうもリーレ伯爵とゴドルフィン公爵が密会を繰り返していてな・・

どうもプラーニャさ・・・」

「リンデマン、それ以上は極秘事項ですよ」

「おっと、そうだったな」


リーレ伯爵とゴドルフィン公爵ですって?

その二家は昔からベントハイム家と確執があっていつもラーズ様の邪魔ばかり

していると聞いている。また良からぬ事を考えているのだろうか?

それに今プラーニャ様って言い掛けたわね。

これはちょっと詳しく話を聞きださなくては行かなくなったわ。


「イングヴェイ、リンデマン、わたし達親友よね?」

「なんだよ藪から棒に」

「親友だったら隠し事はするべきではないと思うの」

「駄目ですよアリス。いくら親友と言えど、この件はライゼン様より硬く

口留めされてますので」


「お願いよイングヴェイ!プラーニャ様に関わる事なら知っておきたいの。

私はこれからプラーニャ様の元へ向かうつもり。だからもしお嬢様に危険が

迫っているなら私には知る権利があるわ!」


「プラーニャ様の元へ?アリス貴女、お屋敷の仕事はどうしたのですか?」

「辞めたわ。私はプラーニャ様の専属メイドですもの。あの日あの方に救われた日から

一生仕えると誓ったんですもの。例え地の果てでもお供する覚悟よ。

貴方たちは違うの?」


二人は私の言葉に顔を見合わせながら少し困った表情をする。

実は彼らもお嬢様に拾われた口だ。私と同じ孤児。

彼らの両親は10年前の帝国との戦争によって犠牲になった。

行く場を失った彼らをプラーニャ様が公爵家の騎士団預かりとして保護して

もらったのだ。だから私と似た境遇の彼らなら、私の気持ちをきっと

理解してくれるはず。


「ふ──・・困りましたね。貴方はプラーニャ様の事となると昔から

強情ですから。実は私達も今からプラーニャ様の元へ向かう所でして・・・

貴女も一緒に行きますか?」

「おい!いいのかよイングヴェイ」


「勿論ライゼン様には内緒ですよ」

「さらっととんでもない事いいやがるなお前は」


「あなた達もプラーニャ様の元に?一体何故?」

「まあ、ここで立ち話で話せる内容でもありませんので一緒に行くなら道すがら

話しましょう。どうしますか?」

「もちろん行くわ!足手まといにはならないから安心して!」


リンデマンがやれやれと首を振りながら大げさに手を開いてポーズする。

何にせよ彼らに同行出来ることになったのは渡りに船だ。

道中は目撃例は少ないながらもモンスターと遭遇する危険がある道のり、

同行する仲間は多い方がいい。

そんな訳で私達三人は早々に準備を済ませさっそくお屋敷を出ようとしたら

後ろからメイド長のローズ様が声を掛けてきた


「アリスさん、やっぱり行くのね・・・相変らず一途ね貴女は」

「メイド長・・・申し訳ありません。何度も止められていたのに。でも一刻も早く

お嬢様の元へ向かうのがプラーニャ様の側仕えである私の責務ですので」


「いいのよ、こうなる事は何となくわかっていたから。だから貴女への餞別を持って

来たのよ。ぜひ受け取ってちょうだい」

「餞別?」


そう言ってメイド長はパンパンと手を叩くと、後ろから下働きの下男2名が台車に

乗せた大きな白い布の被った物を私の前に運んできた。

何だろうとメイド長を見ると、ニッコリ微笑んでコクリと頷いた。

恐らくこれが私への餞別なのだろうけど・・・随分大きいな。

下男が布をバッっと取ると純白の大きな盾とバルディッシュと呼ばれる

長い柄の斧が姿を現した。


「この純白の盾に斧に刻まれた薔薇の意匠・・・これって・・・」

「はい、我がローズ家が誇る白薔薇騎士団正式武装スノーホワイトです」


「ま・・まさかこれを私に!?」「貸してあげるから持って行きなさい」


正直驚いた。餞別って言うから菓子折りか何かだと思ったらまさかあの装備とは!

メイド長の出自が由緒あるローズ伯爵家の二女だったとは聞いていたが

だからといってあの精鋭騎士団と名高い白薔薇騎士団の武装なんて、

いくらその血筋の者であっても外部の人間には中々出回らないと

聞いた事がある。

それはあまりにも美しすぎるデザインもさる事ながら強力な魔法が

練り込んである魔導武装は非常に希少だからなのだそうだ。


「ありがとうございます。大切に使わせていただきます!」


「私には過ぎた物だったからいいのよ。それに武芸の心得がある貴女が使った方が

きっとその子も喜ぶはずだもの。その時が来たら遠慮せず使いなさい」


私はメイド長に深々とお礼をして「行ってきます」と言って馬に乗り込むと

「いってらっしゃい」と優しく微笑み手を振って見送ってくれた。

いつかこの恩は必ず何らかの形で返そう。


そうして私達三人はベントハイムのお屋敷を出発した。


──(お嬢様待っていてください。今参ります!)

ここ最近ずっと妙な胸騒ぎがしていて夜中変な時間に目が醒めるようになった。

それがお嬢様の僻地追放が決まってからというものずっと心がザワついて止まらないのだ。

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