表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/17

一難去ってまた一難

私が元の場所に戻ってみるとシェルビーと馬は忽然と姿を消していた。



「そ・・・そんな・・・シェルビーー!!シェルビーどこ?返事をして!!!」

確かにこの場所のはず・・・・目印にしていた苔むした大きな岩もある。

彼女が目を醒まして私を探しに行ってしまったのだろうか?

いやでもシェルビーは傷もそうだが真っ青な顔をして明らかに貧血状態のはず。

馬に乗る事すら困難なはずだ。


だとしたら・・・・まさか魔物に!?

慌てて周辺を確認するが特に荒らされた形跡などは無い。

何か手がかりでも・・・・あっ・・・馬の足跡がわずかにあるわ・・・。


「これを追っていけばもしかしたら・・・って考えている場合では無いわね」


慣れない場所を彷徨い歩いて正直疲労困憊ではあったが何か行動しないと

状況は悪化するだけな気がして焦燥感が気力を後押ししていた。

ただそのわずかな希望も捜索開始からたった5分でへし折られる事になるなんて

まったく想像もしていなかった。


「足跡が・・・・なんて事・・・!」


唯一の希望だった馬の足跡が急に途絶えてしまったのだ。

私はみっともなく這い蹲って地面を見るがどこにも見当たらず背中に

嫌な汗が伝う。

数分・・・探したが・・結局見つけられなかった。

こんな辺境のいわくつきの森でたった一人取り残されたというその現実に

心の中を絶望感が満たしていく。

段々と日も落ちてきてすでに周りが暗くなってきているこの状況。

おまけに馬も装備も失われたので水も食料も足も無いというこの状況。


──私はこの短期間で2度も人生詰んでいる状態に陥ってしまっていた───


その後失意の中、私は少しの間呆然としてその場を動けずにいたがやがて諦め

重い身体を引きずりながらさっき見つけた洞窟に戻って来た。

もうその頃には日が沈むギリギリであのまま留まっていれば危なく道に

迷ってしまうところだったが、何とか辿り着けて良かった。


ただ洞窟内部はすでに真っ暗で私の下手くそな火魔法だけが頼りだ。

その火魔法も私の魔力が尽きてしまえば真っ暗闇の中、

孤独に一夜を過ごすことになる。それを想像しただけでぞっとしたので

洞窟内に何か燃やせるものを探すことにした。

狭い洞窟内だったが幸い枯れ木が少しだけあったのでかき集める。


「でもこれだけじゃあっという間になくなってしまいそうね・・・」


このわずかな枯れ木に着火してしまえばすぐに燃え尽きてしまうだろう。

だから私は一旦洞窟を出て手ごろな薪になりそうな枝を探しに出ることにした。

外はもう日が完全に落ちきっていてどこからかなカラスの鳴き声だけが

ギャアギャアと叫んでおり不気味さを掻き立てている。

さっきまで薄かった霧もかなり濃くなってきているようで視界も悪い。

もう怖くて怖くて目から涙が零れ落ちそうになる。


でもここには私が泣いても慰めてくれる優しいメイドもいなければ、

助けてくれる執事もいない。

自分で何とかしなくちゃと心を奮い立たせ急いでそこらにある手近な濡れた枝を

拾い集めていく。

霧が常に掛かっていそうなこの森に乾いた枝なんてないのだ。

一生懸命濡れた枝を抱えきれないくらいに集めると服がビショビショに

なってしまい急速に体温を奪っていく。


「早く戻らないと・・・・」

パキッ・・・パキッ・・・ガサガサ・・・・


突然の物音に私の心臓がドキリと跳ね上がる。

咄嗟に木の傍にある藪の中に身を隠して音のした方向の様子を伺っていると・・

(いた!!ゴブリン?いや・・あれは・・あの色はグレーターゴブリン!?)

1・・2・・・5,いや6・・!?

かなりの数の凶悪なゴブリンが獲物を探すように森を闊歩していた。

(しまった・・・夜になって夜行性のゴブリンが姿を現し始めたんだわ)


あくまで前世の知識だがグレーターゴブリンは通常のゴブリンやホブゴブリンとは

一線を画す強力なゴブリン族のエリートだ。

普通のゴブリンの身長は成人男性の身長の半分ほどしかないが、奴らはその倍ほど

もあり凶悪な片刃刀まで持っている。

私は息を殺しそのまま藪の中で時が停まったかのように身じろぎもしないよう

努める。

さっきから冷や汗と心臓の鼓動の音がうるさい。もう私の心臓の音が奴らに

聞こえるんじゃないかと本気で思うほどだ。

すると奴らの中の一匹がクンクンと鼻を鳴らし始める。


(まずい・・・・私の匂いに気づかれた?・・・お願い気づかないで。。)

震えながら祈っていると一匹がギャアアアァァァァと急に喚き散らし思わず肩を

ビクリと震わせる(見つかった!?)

藪の中からそっと奴らの様子を伺うと私のいる方向とは別方向に走り去っていく

グレーターゴブリン達。何か別の獲物でも見つけたのだろうか?

それでも警戒を解かずに暫く隠れていたが気配が無くなったので、また集めた枝を

音を立てないように慎重に拾い集めてそのまま洞窟に戻って来た。


「ふーーーー・・・本気で死ぬかと思ったわ・・・・」

思わずそうぼそりと呟いてからヘナヘナと地面に座り込んでから大きく息を吐く。

あそこで見つかっていたら間違いなくあの世に旅立っていただろう。

運が良かった。。手がまだ震えているし心臓もまだバクバク言っている。


しばらくしてようやく落ち着きを取り戻すと、濡れた服によって体温を

奪われたせいか思い出したかのようにクシュンっとくしゃみが出る。

「そうだった。早く火を着けて温まりたいわ」

目が暗闇に慣れてきたとはいえ、真っ暗な暗闇にいるのも怖い。


さっそく火魔法で洞窟の中にあった少ない乾いた枯れ草と枝に火を着ける。

フーーと息を吹きかけると暗かった洞窟内にようやくまともな灯りが照らされて

少しの安堵。

けどこのままだとすぐに燃え尽きてしまうので、拾ってきた濡れた枝を火のすぐ

そばに置き乾かしておく。

煙に目をやられたりもしたが手を翳して低下した体温も少しずつ戻りつつある。


1時間ほど焚き火の管理をしていくと濡れていた枝から少しずつ水蒸気が出て

水気が抜けてきたので、次々と火の中にくべていくとパチパチと音を激しく

立てながらも燃えてくれたので一安心だ。

私の身体は今日一日酷使したせいか疲れ切っていて横になりたかったが、

ゴツゴツとした地面では横になることも出来ずに体育座りで”うとうと”としていた。


「シェルビー・・・あなたは今無事なの?・・・今どこにいるの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ