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召喚した勇者がクズでした。魔王を討伐して欲しいのに、勇者が魔王に見えてきた。助けて  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)
第3部:駆除の決断期

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第16話「王都炎上」

地下神殿には、薄暗い光が満ちていた。


床に描かれた巨大な魔法陣が、淡く発光している。複雑な文様、古代文字、幾何学的な図形――全てが完成していた。急ピッチの作業だったが、魔道士たちは不眠不休で仕上げたのだ。


魔道士長エドガーが、魔法陣の最後の部分を確認している。白髪の老人は、深い目の下のクマを浮かべていた。


「これで...できる限りのことは」


エドガーの声は疲労で震えていた。宰相ヴァルクが、階段を降りてくる。


「ご苦労だった」


ヴァルクは魔法陣を見渡した。巨大で、美しく、そして――不完全だった。本来なら一ヶ月かけるべき準備を、数日で終わらせたのだ。


「今夜、決行する」


その言葉に、魔道士たちの表情が引き締まった。今夜――ついに、その時が来る。


地下神殿の奥には、反勇者派のメンバーも集まっていた。しかし、騎士団長ベルナールの姿はない。昨夜の戦闘で重傷を負い、療養中だ。


代わりに副団長エドワードが指揮を執っている。三十代の真面目な騎士で、ベルナールの右腕として長年仕えてきた男だ。


「宰相閣下、兵士たちは配置についています」


エドワードが報告した。ヴァルクは頷く。


「しかし...」


エドワードは言葉を濁した。


「勇者を本当に抑えられるのでしょうか」


その疑問は、誰もが抱いているものだった。ヴァルクは、エドワードの肩に手を置く。


「抑えられなくても、時間を稼ぐ」


「十分間だ。それだけあれば、儀式は完了する」


十分間――それは短いようで、長い時間だ。勇者たちと戦いながら、十分間も持ちこたえなければならない。


ヴァルクは魔法陣を見つめた。この魔法陣に、全てが賭けられている。


頼む...成功してくれ。


同じ朝、城の一角にある勇者たちの部屋では、三人が集まっていた。


ハル、レン、ミカ。昨夜、城で暴れた後、一旦部屋に戻っていた。しかし、誰も眠れなかった。


ミカは窓辺に座り、外を見ている。


「マジ最悪」


ため息をつく。


「帰りたいのに、帰らせてくれないとか」


レンは床に座り込み、拳を握りしめていた。


「ぶっ潰すしかないな」


「王も、魔王も、全部」


ハルは、ベッドに座って考え込んでいた。


「でも...俺たち、何が悪かったのかな」


二人が振り向く。ハルは首を傾げている。


「だって、助けてたじゃん。村の人とか」


「そうだよね」


ミカが同意する。


「あたしたち、悪いことしてないし」


レンも頷いた。


「王が頭おかしいんだよ」


部屋の隅には、クロウが座っていた。昨夜、レンに突き飛ばされて負傷している。肋骨が痛み、呼吸するのも辛い。しかし――黙って三人を見ていた。


気づいていない...本当に。


クロウは、その事実に絶望していた。三人は、本当に自分たちが何をしてきたか理解していない。村を壊したことも、人を殺したことも――全て、「助けるため」だったと信じている。


コツコツとノックの音。


扉が開き、フィリアが入ってきた。目が赤い。泣いていたのだろう。


「勇者様方...」


フィリアの声は震えていた。


「王が今夜、何かを企んでいます」


「今夜?」


レンが立ち上がる。フィリアは頷いた。


「はい。地下で、何か大規模な儀式を」


「阻止しなければなりません」


ハルも立ち上がった。


「じゃあ、王様と話し合おう」


「話し合い?」


レンが笑った。


「ぶっ飛ばすだけだろ」


三人が部屋を出ていく。フィリアも後に続いた。


クロウは立ち上がろうとしたが――肋骨の痛みで動けない。


「待て...」


しかし、その声は届かなかった。扉が閉まり、足音が遠ざかっていく。


クロウは、床に座り込んだ。


もう...止められない。


昼、謁見の間には緊張が満ちていた。


レオニス王が玉座に座っている。その周囲には、副団長エドワードと数十名の騎士が完全武装で控えていた。全員、剣を抜き、盾を構えている。


しかし――誰もが理解していた。


勇者には、勝てない。


謁見の間の扉が、ゆっくりと開いた。


ハル、レン、ミカが入ってくる。フィリアも一緒だ。


レオニスは、娘の姿を見て心が痛んだ。しかし――もう後戻りはできない。


「...来たか」


レオニスの声は、低く抑えられていた。


「王様、話があります」


ハルの声は、驚くほど軽い。まるで友達と話すかのような調子だ。謁見の間という場所にも、王という立場にも、何の敬意も感じられない。


「聞こう」


レオニスは答えた。


「なんで俺たちを追い出そうとするの?」


ハルは首を傾げている。本当に理解できないという表情だ。


「追い出すのではない」


レオニスは立ち上がった。


「帰すのだ。お前たちの世界へ」


「同じだろ!」


レンが一歩前に出た。騎士たちが一斉に剣を構える。しかし、レンは気にしない。


「俺たち、まだやりたいことあるんだけど」


「やりたいこと...?」


レオニスの声が震えた。


「破壊か?殺戮か?」


「ひどい言い方だなあ」


ハルが苦笑した。


「俺たち、助けてるだけなのに」


その言葉が、レオニスの心を抉った。助ける――この子は、本当にそう信じているのだ。


「助ける...」


レオニスは玉座の階段を降りた。


「お前たちのせいで、何百人が死んだ」


「それって、仕方なくない?」


ミカがあくびをしながら言った。


「強い魔物と戦ったら、周りも壊れるし」


レオニスは、言葉を失った。仕方ない――この子は、そう言った。何百人の死を、「仕方ない」で片付けた。


「お前たちは...」


レオニスは拳を握りしめた。


「何も分かっていない」


「分かってないのは王様でしょ」


ミカが反論する。


「あたしたち、頑張ってるのに」


口論が始まった。しかし、それは会話ではなかった。互いの言葉が、全く噛み合わない。まるで、違う言語を話しているかのようだ。


ハルが手を上げた。


「王様、そんなに怒らないで」


手のひらに、光が集まり始めた。


レオニスの顔色が変わる。


「待て!それは――」


「防衛魔法」


ハルは笑顔で言った。


「王様たちを守るよ」


「全員伏せろ!」


エドワードが叫んだ。しかし――遅かった。


パン屋「麦の穂」では、トーマスが息子と昼食を取っていた。


簡素な食事だ。パンとスープ、それだけ。最近、店の経営は厳しい。増税と、勇者騒動による混乱で、客足が減っている。


しかし――生きている。それだけで良い。


「父さん、勇者様は?」


息子が尋ねた。トーマスは、スープをすくう手を止めた。


「...分からない」


最近、自分の中でも勇者への信仰が揺らいでいる。かつては、神の使いだと信じていた。しかし――城で起きている騒動、破壊の噂、そして昨夜の異変。


何かが、おかしい。


しかし、それを口に出すことはできない。勇者を疑うことは、この国では――禁忌だから。


その時だった。


轟音。


店全体が激しく揺れた。食器が棚から落ち、床で割れる。天井から埃が降ってきた。


「地震か!?」


トーマスは立ち上がった。しかし――これは地震ではない。


窓の外を見ると――。


城から、光が放たれていた。


それは巨大な球体となり、空を覆っていく。白く、眩しく、そして――恐ろしい光だった。


「何だ、あれは...」


トーマスは、その光景に釘付けになった。


光の球体が――爆発した。


謁見の間では、ハルの手から光が解き放たれていた。


それは一瞬で膨張し、部屋全体を満たす。騎士たちが悲鳴を上げ、床に伏せる。レオニスも、玉座の影に身を隠した。


「やっべ」


ハルが呟いた。


「ちょっと強すぎたかも」


光が爆発した。


衝撃波が謁見の間を襲い、壁を吹き飛ばす。天井が崩れ、瓦礫が降り注ぐ。騎士たちが叫び、逃げ惑った。


そして――光は城を超えて、王都へと広がっていった。


トーマスの店に、衝撃波が到達した。


窓ガラスが一斉に割れ、破片が飛び散る。


「伏せろ!」


トーマスは息子を押し倒し、自分の体で庇った。爆風が店を襲い、棚が倒れ、商品が散乱する。


数秒後――。


世界が静かになった。


トーマスはゆっくりと体を起こした。息子を確認する。


「大丈夫か?」


「う、うん...」


息子は震えていたが、無事だった。


トーマスは窓の外を見た――そして、息を飲んだ。


王都の北側が、消えていた。


建物が吹き飛び、瓦礫の山になっている。炎が上がり、黒煙が空を覆っていた。まるで――巨大な隕石でも落ちたかのような光景だ。


「何が...起きた...」


トーマスの声は、震えていた。


城下がパニックに陥っていた。


人々が叫び、逃げ惑う。破壊された建物から、負傷者が這い出してくる。子供の泣き声、大人の悲鳴、崩れる建物の音――全てが混ざり合っていた。


トーマスは店から出た。息子の手を強く握る。


「大丈夫だ。俺がいる」


通りには、他の店主たちも出てきていた。隣の商人マルクが駆け寄ってくる。


「トーマス!無事か!」


「ああ...お前は?」


「店が半壊した。でも、生きてる」


二人は、城の方を見た。


城からは、まだ煙が上がっている。そして――遠くから、叫び声が聞こえてくる。


民衆が集まり始めた。恐怖と困惑に満ちた顔で、互いに囁き合っている。


「何が起きたんだ?」


「勇者様が...」


「いや、王が攻撃を...」


そして――ある民衆が叫んだ。


「勇者様が...私たちを攻撃している...?」


その言葉が、波紋のように広がっていく。


「まさか...」


「でも、あの光は...」


「勇者様の魔法だった...」


これまで盲目的に勇者を崇拝していた民衆が――初めて、恐怖を感じ始めた。


もちろん、一部の熱狂的な信者は違った。


「勇者様が裏切られた!」


「王が悪い!」


「勇者様を守らねば!」


しかし――多くの民衆は、沈黙していた。


トーマスは、息子を抱きしめた。


「父さん...勇者様は...」


息子の声は、震えている。トーマスは答えられなかった。


ただ――。


「...分からない」


「でも、俺たちは生きている」


「それだけで良いんだ」


遠くで、神殿が見えた。勇者を祀る神殿――それも、半壊していた。屋根が崩れ、壁にひびが入っている。


そして、神殿の前に立っていた勇者の像が――倒れて、粉々になっていた。


城内、謁見の間は惨状だった。


壁が崩れ、天井に大きな穴が開いている。床には瓦礫が散乱し、騎士たちが倒れていた。何人かは動いているが、多くは意識を失っている。


レオニスは、玉座の陰から這い出た。


体中が痛い。頭から血が流れている。しかし――生きている。


「陛下...」


エドワードが駆け寄ってきた。彼も血を流しているが、立っている。


「被害は...」


「分かりません。しかし...」


エドワードは、崩れた壁の向こうを指差した。


「王都が...」


レオニスは立ち上がり、そちらを見た。


王都の一角が――炎に包まれていた。


「くっ...」


レオニスは拳を握りしめた。


謁見の間の中央では、ハル、レン、ミカが平然と立っていた。三人とも、傷一つない。


「あれ、やりすぎた?」


ハルが首を傾げている。レンは笑っていた。


「すげー威力だったな」


ミカはあくびをしている。


「で、王様は?」


その時――。


「やめろ!」


声が響いた。


謁見の間の入口に、クロウが立っていた。肋骨を押さえ、痛みに顔を歪めながら。それでも――立っている。


「クロウ?」


ハルが振り向いた。


「大丈夫?怪我してるじゃん」


心配そうに近づいてくる。しかし、クロウは手を上げて制止した。


「俺の心配はいい!」


クロウの声は、涙で震えていた。


「お前たちが...お前たちがやっていることを理解しろ!」


「何が問題なんだよ」


レンが不機嫌そうに言った。


「俺たち、悪いことしてないし」


「悪いことをしていない...?」


クロウの目から、涙が溢れた。


「村を壊し、人を殺し、国を滅ぼしかけて――」


声を振り絞る。


「それでも、悪いことをしていないと言うのか!」


ハルは、困った表情になった。


「でも、俺たち、助けようとしてたし」


その言葉が――クロウの最後の希望を砕いた。


クロウは膝をついた。


「頼む...やめてくれ...」


しかし――三人は理解しなかった。


ミカが近づいてくる。


「クロウ、疲れてるんだよ」


「休んだら?」


クロウは、床に手をついた。


届かない。何を言っても、届かない。


理解してもらえない。


この子たちには――何も。


クロウは、絶望の中で泣いた。


夕方、王都の郊外に影が現れた。


それは大軍勢だった。数百名の兵士、そして魔術師たち。しかし――彼らは人間ではなかった。


魔族だ。


先頭に立つのは、黒いローブを纏った若い男――魔王ゼファルだった。


「陛下、王都が...」


側近が、前方を指差した。ゼファルも見ている。


王都の一部が、炎に包まれていた。黒煙が空を覆い、遠くからでも破壊の規模が分かる。


「始まったか」


ゼファルは、馬を進めた。


「急げ。もう時間がない」


魔王軍が、王都に向かって進軍していく。


王都に近づくと、逃げ惑う民衆が見えてきた。彼らは魔王軍を見て――さらにパニックに陥った。


「魔王軍だ!」


「終わった!」


「逃げろ!」


悲鳴が上がる。しかし――魔王軍は、民衆を攻撃しなかった。


ゼファルは、民衆を避けるように進路を取った。


「攻撃するな。道を開けさせるだけだ」


魔王軍は、静かに民衆の間を通り抜けていく。


民衆は困惑した。


「攻撃してこない...?」


「どういうことだ...」


トーマスも、その光景を見ていた。隣のマルクが呟く。


「魔王が...民衆を攻撃しない...?」


二人は、信じられないという表情で魔王軍を見送った。


魔王軍が城門に到着した。


城門は既に破壊されており、瓦礫が散乱している。中からは、叫び声と破壊音が聞こえてくる。


ゼファルは馬を降り、城内に入った。


広場には――レオニス王が立っていた。


血を流し、鎧は破れている。しかし――背筋を伸ばし、剣を握っている。


「来てくれたか、ゼファル」


レオニスの声は、疲労で掠れていた。ゼファルは頷く。


「遅くなった」


二人は、互いを見た。そして――頷き合った。


周囲の騎士たちは困惑している。王が――魔王と。


エドワードが前に出た。


「魔王軍は味方だ!」


その言葉が、広場に響く。


「共に戦え!」


騎士たちは、一瞬躊躇した。しかし――もう選択肢はない。


人間と魔族が――共闘する。


前代未聞の光景だった。


城の広場で、両軍が勇者たちと対峙した。


ハル、レン、ミカが中央に立っている。その周囲を、王国軍と魔王軍が取り囲んでいた。


レンが笑った。


「人間と魔族が仲良しこよし?」


「面白いじゃん」


レンが地面を蹴った。


一瞬で、魔王軍の兵士の前に現れる。その速度は、目で追うことができないほど速い。


拳が振るわれる。


兵士たちが、次々と吹き飛んでいく。魔族の兵士は人間より頑強だが――レンの拳の前では、紙のようなものだった。


「くっ...」


ゼファルが魔法を放った。黒い炎が、レンに向かって飛んでいく。


しかし――。


「邪魔」


ハルが指を鳴らした。光の壁が現れ、魔王の魔法を相殺する。


「魔王って、こんなもん?」


ハルは首を傾げている。


レオニスが剣を抜いて前に出た。


「やめろ!」


しかし――。


「はあ、面倒くさい」


ミカが指を鳴らした。小さな光の矢が、レオニスの剣を弾く。


レオニスはバランスを崩し、膝をついた。


戦闘が激化していく。


王国軍と魔王軍が、必死に勇者たちと戦う。しかし――それは一方的だった。


騎士たちが次々と倒れる。魔族の兵士も吹き飛ばされる。城がさらに破壊され、瓦礫が降り注ぐ。


ミカが、退屈そうにあくびをした。


「もう帰りたい」


「この世界、つまんない」


ハルも頷いた。


「だよね」


戦争状態になっているのに――勇者たちは、退屈そうだった。


ゼファルが、レオニスの傍に立った。


「これでは...勝てない」


レオニスも理解していた。どれだけ戦っても、勝てない。


「儀式を...」


レオニスは立ち上がった。


「今すぐ始めるしかない」


「了解した」


ゼファルも頷いた。二人は互いを見る。


「これが最後だ」


エドワードが叫んだ。


「全軍、撤退!」


「地下へ誘導しろ!」


騎士たちと魔族の兵士たちが、勇者を引きつけながら後退していく。少しずつ、地下への階段に向かって。


夜が深まっていく。


王都は――廃墟と化していた。


パン屋「麦の穂」では、トーマスが息子を抱きしめていた。


店は半壊している。窓ガラスは全て割れ、棚は倒れ、商品は散乱していた。しかし――屋根はまだ残っている。


外では、まだ戦闘が続いているようだった。轟音が響き、地面が揺れる。


「怖いよ...」


息子が震えている。トーマスは、その頭を撫でた。


「大丈夫だ...」


しかし――本当は、トーマス自身も怖かった。


空を見上げると、月が見える。


美しい満月だった。しかし――その下で、世界が壊れている。


トーマスは、息子をさらに強く抱きしめた。


レオニスは、地下への階段を降りていた。


後ろからは、まだ戦闘の音が聞こえる。エドワードと騎士たちが、必死に時間を稼いでいるのだ。


ゼファルも後に続く。


「これで終わらせる」


レオニスが呟いた。ゼファルは頷く。


「ああ。世界を守るために」


二人は、地下神殿に到着した。


そこには――完成した魔法陣が待っていた。淡く光を放ち、魔力が渦巻いている。


ヴァルクが待っていた。


「陛下...」


「始めよう」


レオニスは命じた。ヴァルクは深く頭を下げる。


魔道士たちと魔族の魔術師たちが、魔法陣の周囲に集まった。数十名の魔力の使い手たち。人間と魔族が、肩を並べている。


かつてない光景だった。


ゼファルが中央に立った。


「世界を守るために」


魔道士長エドガーも、魔法陣の前に立つ。


「準備完了です」


レオニスは、階段の方を見た。


上からは、まだ戦闘の音が聞こえる。エドワードたちが――命を懸けて、時間を稼いでいる。


「待っていてくれ」


レオニスは呟いた。


「必ず、終わらせる」


ヴァルクが、魔道士たちに合図を送った。


魔道士たちが、詠唱を始める。


古代の言葉が、地下神殿に響き渡った。


魔法陣が、強く光り始める。


儀式が――始まろうとしていた。

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