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その4 貴女の誇らしいひとになりたい。

■ブライダル学園の贄婿


★その4 貴女の誇らしいひとになりたい。



 贄嫁、贄婿は、ひいては彼らを伴侶とするあやかしは婚姻について何を学ばなければいけないのか。

 それは正直、身も蓋もない言い方をすれば『種族による』。


 ではここ、『ブライダル学園』で僕たちは何を学ぶのか。

 それは『常世』で暮らしていく上での常識、そして人界の一般常識など。

 つまりは夫婦の交流がスムーズに進む為の異文化交流の基礎を僕たちは学んでいる。


 それぞれの家が学ばなければいけない要素は、謂わば個人課題だ。

 僕のようなイレギュラーの贄婿なんて政治的な勉強、そして絶対に未咲様をお守りする為の、元々の那須島家の人間としての護身術の修行などやることは山ほどある。


 きっとどの家の、どの婚約者たちも苦労している。

 とはいえクラスは賑やかだ。仲も良いと思う。


 贄嫁や贄婿の制度が特殊だから年齢にばらつきはあるし、この学級だと贄婿は僕しかいないけど、まあまあ上手くやれていると信じたい。


「よう、木折。おはようさん」


「あ…… 藻玉(もだま)様、おはようございますっ」


 登校して、未咲様が女子グループの輪に駆け寄るのを見届けたところで、背後から肩を叩かれた。


 クラスメイト 月秋(つきあき)藻玉(もだま)様だ。

 妖狐族にして常世でも指折りの名家出身の藻玉様は、この学級だと僕とは別の意味で特殊な存在だ。

 藻玉様は、未だに贄嫁を迎えていない。

 しかし当てがないわけではないらしく、人界に運命の相手がいるそうで時期を見ているそうだ。

 その運命の人、とやらの話をしている時の藻玉様は本当に楽しそうで、幸せそうで。


 ちら、と女子のご学友と雑談に興じる未咲様を見やる。

 未咲様の本質を表した、可憐な笑顔。


 ああ、僕も。

 未咲様にとって誇らしい、彼女の笑顔を引き出せる男になれたら。

 そんな望みを現実にすべく、気合いを入れ直して今日も精一杯過ごそうと僕は決めたのだ。

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