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おにぎりカフェいろは  作者: 瑞谷樹梨
16/21

ねこちゃん

タイトルが思いつきませんでした。

何か良いもの思いつきましたら変更します(ペコリ)



私は猫。

「ねこちゃん」って呼ばれてるわ。

きっとそれが私の名前。


今は大野さんちの倉庫の屋根の影でくつろいでいるところ。

ここは日差しも風通しもちょうど良くて居心地が良いのよ。

ここには木もいっぱいあって爪研ぎに事欠かないし、鳥や虫もいて遊べるし、お気に入りの場所のひとつよ。


ここには昔から通ってるんだけど、ここの人間と慣れあったことはないわ。

私って隠れるのが上手なのよ?

音もたてずに高いところに登れるし、走れるわ。


ここの人間が嫌いってわけじゃないのよ?


猫を好きな人間もいれば、そうでない人間がいるってことぐらい知ってるの。

ごはんも何もくれない人間もいるし、私を見ただけで何か投げてくる人間もいるのよ。

猫って案外、大変なのよ…


この庭で見かける人間は優しそうに見えるけど…どんな人間かわからないじゃない?

幸い、私には毎日ごはんをくれる人間がいるから、お腹が空いて空いて困ってるわけじゃないし、余計な接触をして面倒なことになるよりは、こうしてお気に入りの場所で静かに昼寝してるほうが良いのよ。


だけどね、最近ここはカフェになったらしいの。

昔と違って知らない人がよくいるから、ちょっと落ち着かないわね。

でもカフェに来る人間に見つかったこともないわよ。

このまえ、昼寝しに来たらいっぱい人間が庭にいたから、私はそっと後退りをして違う寝床に行ったの。

私って静かに優雅に動けるのよ。


あら?いつもごはんくれる人間の声が聞こえる気がするわ。ちょっと見に行ってみましょう。

偵察は大切なのよ。


そっと店の中を覗いたら私にごはんくれる人間がいたわ。

何してるのかしら。

何か食べてるみたいだけど私にもくれるかしら。

あの人間がごはんくれるのは朝と夜なのよ。

まだまだ夜までには時間があるし…くれるっていうなら食べてあげても良いのに。


くれるかしら?

私がここにいるってわからないかしら。

小さく鳴いてみる?


「ブニャ」


あ!私に気づいたわ。

あの人間ならわかってくれると思ったわ。


わ!人間がいっぱいこっち見てる!

ごはんをくれる人間だけで良いのに!

逃げなきゃ!


私はサッと華麗に身をひるがえして、夏みかんの木に登ったの。

この木は大きい幹や枝で安定感あるし、葉っぱもたくさんあるから隠れやすいの。

…この木になってる青い実はなんだか嫌な匂いがするから、いつもは登らないわ。

でも今は緊急事態だからしょうがないの。


ガラリと戸が開いて人間が出て来た!


「おーい!猫ちゃん!おいでー!」


餌をくれる人間が呼んでる。

出て行ったほうが良いかしら?

でも他にも人間がいっぱいいるんだもの…。


「小出さん。猫ちゃんいる?」


あの人はこの家の人間。


「どこかにはいると思うんだけどね!」


この人が私にごはんくれる人間。


「私達がいるから出てこないのかもしれないわねえ」


大きな帽子かぶってる人間もたまにごはんくれるわ。

あのヒラヒラリボン…飛びつきたい…いえ!我慢よ!



「子猫のころに病院連れて行ったら怖かったのか怒ったのかわからないけど、逃げちゃってね!家には入ってこないんだけどエサは食べに来るんだよ!」


「だから地域猫みたいになってるのよぉ。近所の人はみんな小出さんの猫だって知ってるから、寝床やエサをあげてるのよぉ」 


「あのブチの猫ちゃんは昼間はお父さんの物置によくいるわよ。夜はわからないけど」


「夜はうちのアパートの郵便受けのとこに置いてある小屋にいるよ!今どきは犬も猫も家の中で飼うもんだってのは私でも知ってるんだけどね!家の中に入らないんだよ!あの子は!」


「まあ。病気や怪我が心配ね」 


「捕まえられると良いんだけどね!言いたかないが年寄りには無理な話なんだよ!とんだ放蕩娘だ!ほら!猫ちゃん!ここにオヤツ置いとくから!」



器に入った何かを置いて、人間は中に入って行ったわ。


置いて行ったものが何が気になるけど、少しだけ待って…


もう誰もいないのを確認してからヒラリと木から美しく飛び降りた私は、その器にそっと近づいたの。


何をくれたのかしら?


まあ!!これはササミじゃない?

私、ササミ大好きなの!

ごはんくれる人間はいつもカリカリっていうものをくれるの。

あれも美味しいけどササミは格別なのよね!

しかもまだ茹でたてね!あったかいわ!



…美味しい…今日は良い日だわ。


◇◇◇


「食べてる食べてる」


「がっついてるね!ササミがお気に召したようだね!」


「ちょうどササミときゅうりのあえもの作ろうと思って茹でてたんです。味付け前で良かった」


「ここでエサやっちまったら居着くかもしれないよ?」


「良いですよ。外を出歩く猫は心配だからエサで慣れてもらって…捕まえられると良いですね」


「チャンスがあったらそうしてくれるかい?」


小上がりの窓からそっと覗いてる紗代子、夏実、田中さん、小出さん。

猫ちゃんに気づかれないように小声で話してます。


見られてるとは思いもしない「猫ちゃん」は満足気に毛繕いを始めました。


ご来店ありがとうございます!


今日はちょっと短いです。ワタクシ雨に弱くて…。


次回更新は15日(金)を予定しております。

…頑張ります!


またのご来店を心からお待ちしております。

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