表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/16

11

 セイルは森を抜け辿り着いたジェインの家を、睨み据えるように見つめていた。

 辿り着いた――、着いてしまった、と言うべきか。

 懐にしまった()()を、服の上からぎゅっと掴む。

 彼がジェインと逃げたとなれば、どこに行くかなど考えるまでもない。人を寄せ付けない結界が張られているのならば尚更だ。

 しかしセイルは、再びこの地に足を踏み入れられてしまった。二度目からは誰でも入れるのだろうかと訝しむ。

 動く人の気配はない。そのことを確認しながら、セイルはその家へと歩を進める。

「……開いてる」

 扉には鍵がかかっていなかったのか、何の抵抗もなく開いた。中へと足を踏み入れるが、やはり誰もいない。

「……ぅ」

「ッ!?」

 微かな呻き声にセイルは、バッと振り返る。

「あ……」

 そこには、ソファの上で仰向けに寝転がる人影があった。

「…………、」

 酷い顔色をしている。口の端には乾いた血がこびりついていた。

 離れていた時間は一日にも満たない。にもかかわらず、彼はあまりにも変わり果てていると感じた。

 どうしてこんなことになってしまったのだろう。

 セイルは血のついた頬に手を伸ばしかける。だが、そこに触れる寸前で手を止めた。

 自分にはやらねばならないことがある。

「どうか、お許しを……」

 セイルは、懐に隠し持ったものに手を伸ばした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ