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「お前、その身長とか顔気にしてたのか?なぁ?童顔の幼児体型の成人女性の春奈ちゃん。」


 そう言われると春奈さんはぐぅの音も出ない様子でこくんっと一つ頷きながら、俯いたまま手近にあった投げナイフを朱雨さんすれすれの壁に投げた。


 その様子に朱雨さんは避けながらも結衣さんと一緒にゲラゲラと大笑いし、雪奈さんは懐かしそうな表情をし、ウェルリさん?は吃驚した様子で雪奈さんにコアラの様にしがみついた。


 斯くいう私も手近にあった投げナイフに驚いていた。

頭の中は、なんで手元にあるの!?!?銃刀法違反……いや、ここは春奈さんの家?の中だし、違反にはならないのか……いや、でも……といううだうだとした言葉が羅列し、ぐるぐるとトグロを巻いていた。

そして、出した結論が″ここは世紀末なのかもしれない″という物だった。


「たはははっ!!!お前なぁ!!おれよりも酷い成長状態とはいえ、そんな気にするこたねぇよ!!!あー腹いてぇ。」


 その言葉に同調する様に結衣さんも「そうね。気にする事ない……やっぱ笑い堪えるの無理!!!普段完璧超人気取ってる癖にそういう変なとこ気にするのやっぱ面白いわ。と言いながら、嘲笑い気味に爆笑していた。


 その様子に春奈さんは怒りながら、朱雨さん達に飛び蹴りをすると、朱雨さんは顔に直撃したのか所謂何も見えねぇの様な顔のクレーターを作り出した。


「兄貴と姉貴もうっさい!!!!人のコンプレックスを揶揄って爆笑しやがって……クッソ腹立つ……!!!!仕方ないでしょ!?厚底履かないと友達とも並んで写真撮れないし、年相応に見えないせいで王女とも思ってもらえずに街中を偵察してるだけで、ロリータコンプレックスの人間にべたべたべたべたナンパされるんだよ!?場合によっては正太郎コンプレックスの人間も寄ってくるし……兎も角!!こっちには気にする以外の選択肢が与えられてないんだわ!!!!」


 そう声を荒げて春奈さんが二人に対していうと、雪奈さんとウェルリさんがどうどうと怒れる動物の気性を抑える様に春奈さんを宥めた。

そんな時に一瞬なんでかわからないけど、二人はなんで、こんなに宥めるの上手いんだろう……と脳裏に走った。

二人は春奈さんの友人なんだから付き合いも長いんだろうとすぐに結論は出てしまうのに、不思議だと思ってしまった。


「あー久々に大爆笑した。やっぱ、ストレス溜め込んだ時は笑うのがいいな。」

「まぁ、そこは人によるけど、同感よ。」


 そう結衣さんと朱雨さんの二人が、顔を突き合わせてにこにこと笑うと、春奈さんは苛立った様に二人を睨みつけた。一瞬お二人に向けられた表情には羨望が混じっている様にも見えて、驚いた。


 そんな風にしていると、医務室のドアがガチャっと音を立てて開き、その向こうにいたのは怒った様子の藍髪緑メッシュの人と眠そうだけど、少し困った様子のミルクティーの様な色合いの髪にスケッチブックを持った人だった。

二人は寝巻きなのか色違いだけど、柄はお揃いのパーカーとショートパンツを履いていた。


「夏希〜!!!冬李〜!!!兄さんと姉さんがボクを虐める〜!!!」


 うぇーんと泣き真似をしながら、春奈さんは二人に抱きつこうとするのを華麗に避けられ、ひでぅと声を漏らしながら床に倒れ込んだ。


「お前ら……今何時だと思ってんだよ!!さっさと黙って寝ろ!!!!めっちゃ騒がしいんだよ。なんで、騒いでる声が2階にある俺の寝室まで聞こえてくんだよ。おかしいだろ。」


【そーだそーだ。安眠妨害反対】


 そう藍髪緑メッシュの人は医務室にいる人全員に説教する様に声を出し、ミルクティーの女性は文字の書かれたスケッチブックを掲げた。

ミルクティーの女性と目が合うとサラサラとスケッチブックに文字を書き、藍髪緑メッシュの人に見せた。

それ読んだのか、私の紹介をし始めた。


「春奈が拾ってきた子供。名前・出身地ともに不明で今春奈が開発途中の森で春奈のお姉さんが見つけてきたらしい。」


 その声にふぅんとでと言いたげな様子で、ミルクティーの女性はスケッチブックに文字を書き始めた。

書くスピードや手際の良さ、それに加えて字の丁寧さに驚きながら、拍手を送りたい気持ちを抑える。


ミルクティーの女性は私に近づくと先程書いた文字を私に見せてきた。


【アタシ、白雪冬李。姓がしらゆき、名前がとうり。

種族とかの影響で声が出ないけど、耳と目は良いから、声は聞こえてる。てか、アンタ、文字読むの好き?】


 と書かれた文字を読むと私は笑い「うんっ!!大好き!!あ、私は無錡メリアって言うの!!冬李さんよろしく!!!」と答えた。

すると、冬李さんは眠いせいなのか少しキツめな美人な顔を柔らかくした。


【そう、やっぱり。アンタアタシが文字書いてるの見てすっごいキラキラした目してるからわかりやすい。】


そう書かれた文字を読んでいると冬李さんに頭をわしゃわしゃと撫でられた。

その横で春奈さんが「このまま暁斗も起きてくれないかな〜!!」と言っていたが、藍色緑メッシュの人に「アイツが来たらそれこそもう徹夜パーティになっちまうだろ。」とツッコまれていた。


【夏希は自己紹介しないの?】


と冬李さんに尋ねられた藍色緑メッシュの人はうぐっと言う声を出しながら、はぁと一つため息をついた。


「俺は白芽夏希。表向きはこの国の国王してるけど、実際は春奈の影武者してるだけだからな。他所では言うなよ。」


そういうと、影武者という今の時代では聞き馴染みのない言葉に感情が跳ねた。それを感じ取ったのか、春奈さんは穏やかな顔をしながら「そーそー。実際はボクがこの国の土地買って、防壁とかなんなら作ったりした王女だけど、見た目が見た目だし、年齢も若いからさ〜舐められやすいんだよね〜夏希に表に出る業務頼んでんの〜」


そう言いながら、にへへっと笑う春奈さんは同級生の子の様で少し親近感が湧いた。


「へぇ!!影武者……!!本でしか見た事ないけど、本当にいたんだ!!!」


そうはしゃいでいると結衣さんと朱雨さんが目を逸らしている事に気付いたが、それから気を逸らす様に春奈さんが様々な話をしてくれた。


「影武者って言ってもね、ボクの代わりに死ね〜ってわけじゃなくて、ホント舐められないためにやってるだけだから、みんなからしたらボクの方が影武者に見えるかもね?」


「お前が影武者だったら、相手の方が先に死ぬだろ。ほぼ不死身で体術とか武器の操作もお前のが慣れてるだろ。」


夏希さんにそう言われて、慌ててしぃー!!と口元で静かに!のジェスチャーをする春奈さんはどう見ても王女様という庶民からしたら天上の存在には見えなくて、とても親近感の湧く人だった。


「ボクはか弱い乙女で通ってるの!!!そんな不死身とか体術とかに慣れてるゴリラだと思われたらどうするの!!」


そういうと夏希さんと朱雨さんはその様子を見て鼻で笑った。その態度を見て、春奈さんは眉間に青筋を立てて。


「ボク、何か面白い事、言いましたァ?」


と言いそれに対して、夏希さんは「事実を捻じ曲げようとする春奈に対して笑ってんだよ。どこのか弱い乙女が26cmくらいの厚底履いてアクロバティックサラサラみたいな動きすんだよ。」と言い


朱雨さんは「おれらの中で随一で才能ある癖に何言ってんの。お前は乙女じゃなくて悪魔の仲間だからな。ある意味」と言うと、二人に向かって春奈さんは顔面にパンチを入れた。


そして、二人はというか朱雨さんは再びなんも見えねぇの様な状態になり、そんな状態の夏希さんを冬李さんはひどく心配した様にワタワタしていた。


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