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両極端の薄くガラスの膜を貼った様な空気感にひびを入れたのは結衣さんと朱雨さんが横なっていたとは別に一つだけ異様な程に膨らんだベッドから這い出る様に出てきた片目を前髪で隠している茶髪の女の子だった。


「ん……ふぁ……え……!?」


起きたばかりなのか隠れていない方の目を擦り、枕物に置いていたのか緑色のフレームのメガネを掛けて、状況が見えてくると、途端に怯えた様な表情をしながら、何かを探す様に辺りをキョロキョロと見回した。


「あ……せっちゃん……!!」

そして、雪奈さんを見つけてぱぁっと星が瞬く様に顔つきを明るくし、抱くと雪奈さんの耳元でこしょこしょとなにかを耳打ちすると雪奈さんは口を開けて大きく笑っていた。


「ふはっ……あぁ〜!!無理無理!!ウェルちゃんってば、人見知り激しいんだからぁ!!!」


「わ、笑わないで……だ、だって、わ、わたし……今まで怖い人にしか会ってなかったから……」


そう二人で笑いじゃれ合う様子は仲良しな友人である事を言葉を使わずとも表している様で微笑ましい気持ちになった。

それは朱雨さんと結衣さんも一緒なのか少し微笑みながらもお互いの顔を突き合わせていた。


だけど、春奈さんだけは嬉しそうでも、少し複雑そうな表情で唇を噛み締めているのが少し気になった。

少し様子を見ていると、気付いたのか表情を変えて仄かに笑って少し背筋が凍った。


表情を変えるのなんておかしくはないし、そこだけなら背筋が凍るなんて様子にならない筈なのになんでだろう……


そう悶々と悩んでいると茶髪の女の子が雪奈さんの背中に隠れながら、近づいてきた。

近づくと雪奈さんは茶髪の女の子の後ろに行き、とんっと背中を押した。


すると驚きながらも、目を合わせようと努力はしているのかふよふよとどこか焦点の合わない瞳でこちらを映し出した。


近づいた事によって、顔立ちの全貌がわかると白い輪っかの浮いた緑の瞳はどこか神秘的な様子で病的なまでに白い肌は酷く庇護欲を擽った。


じーっと見ていたからか、女の子は怯えた様に吃りながら口を開いた。


「あ、あ、あの……ここら辺じゃ見ない形……あ、いや、えっと……ここら辺じゃ見ない……か、顔立ち?してますね……」


そういうと直様怯えて謝り、雪奈さんの後ろに隠れてしまった。私は気になって、女の子の方に近づくと女の子はそれに合わせて距離を置いた。


「わたし、無錡メリア!!!ねぇ、その目、綺麗だね!!!」


勇気を出して、声を張り出して女の子にいうとびくっと女の子は身体を震わせて身体を縮め、目をギュッと瞑り、雪奈さんの服に指を沈ませた。

その様子はお母さんに隠れる幼稚園児などの小さい子の様で五尺五寸程の背丈ではあるものの小動物らしさがあった。


「ぁ……ありが……とうございます……

わ、わたしは……ウェルリです……」


そう怯えながらもか細くすぐに折れてしまいそうな大きさで応答してくれたウェルリさんに私は嬉しくなって、ウェルリさんとぐるぐる雪奈さんの周りを回ると雪奈さんの目をグルグルと回っていた。


「こらっ!雪奈ちゃんが催眠術に掛かってるみたいになってるでしょ〜君らは一旦、落ち着きなさい!!」


そうくすくすと笑いながらも止める春奈さんに合わせる様に「私は……眠くない」と言葉を発する雪奈さんに対して、ウェルリさんは今にも土下座をし出しそうな程に凄い勢いで謝りながら、雪奈さんの肩を掴んで揺らし始めた。


「ちょっ!!?ダメだよそんなに揺らしちゃぁぁ!!!揺さぶられっ子症候群になっちゃうよ!?!?


慌てた様子で止めに入る春奈さんに結衣さんと朱雨さんは頭を抱えてため息をついた。


え……揺さぶられっ子症候群って2歳くらいまでのじゃないの……?雪奈さんってそんな若いの……?


私がそんな事を思っていると結衣さんが慌てる春奈さんの肩をトントンと叩きながら、「春奈、揺さぶられっ子症候群に過敏に反応し過ぎ。あの子は最低でも貴方よりは、年上に見えるんだし、そんなに怯える事ないんじゃない?」と言って、嘲笑を含んだ声色で春奈さんを止めた。


春奈さんは結衣さんに言われると少し怒った様な表情をしながら、ぐるぐると目の回っている様子の雪奈さんを結構心配そうに見つめて、再び行こうとする。

それを結衣さんと朱雨さんが一緒に止めていた。


そんな様子を見ながら、私は春奈さんに先程考えていた疑問をぶつけた。


「あの揺さぶられっ子症候群って2歳とか頭の座らない子供とかによく起こる病気?なんじゃないの?雪奈さんってそんなに若いの?さっき、結衣さんが貴方よりは〜って言ってたけど……」


「いやいや!!!!揺さぶられっ子症候群って意外と危険なんだよ!?高い高いするだけでもめーっちゃ怖いんだからねぇ!?そーれーに!!!!死ぬ危険性もあるんだから、何歳でも気をつけないといけないでしょ!!あ、あと、ボクは雪奈ちゃんよりも年上!!!あーもう!!姉さんのせいで勘違いされちゃったじゃん!!!」


そう興奮した様子で言う春奈さんは苛立ちからか頭を掻きながら、ジトっとした目で結衣さんを睨みつけた。

その様子をじっと見つめた朱雨さんはため息をつきながらそれでいて、冷めた様な目をしながら、春奈さんにゆっくりとした声色で尋ねた。

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