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藤髪の人が掃除に行ってから数時間経っても帰ってくる様子がなくて、少し心配になったのかそわそわと浮き足立っていると藍色緑メッシュの人が来て、手を引いて、掃除してると思われる部屋の前までやって、そろーっと扉を開けた。


二人で部屋の中身を覗くと藤髪の人は楽しそうに写真の入ったアルバムを眺め、開いた扉に気づいたのかかつかつと靴音を立てて藍髪緑メッシュの人とわたしに対して、アルバムの写真を指差し「ねぇ!! 見てよぉ!! ボクの弟可愛すぎない!? 」と興奮した様子で見せつけてきた。


その写真を見てみると赤色と緑色の虹彩に水色の髪でもみあげだけ紺色の髪の笑顔を浮かべる少年と赤色と緑色の虹彩に水色髪にインナーカラーに紺色の入った少女が映っていた。二人共藤髪の人と同じ瞳をしていて、顔もよく似ていたが弟…?妹…?と言われると藤髪さんの髪色などやその纏う雰囲気は一切似ていなくて、疑問に思った。


「…常日頃から思ってたが、その写真の二人は本当にお前の弟なのか? 目の色や面影しか合っていないように見えるんだが……」


少々言いづらそうに頬をかきながら尋ねる藍髪緑メッシュの人に対して藤髪の人は軽く笑いながら「やだなぁ! そりゃそうでしょ〜!!! 血縁だからってボクのクローン体や同位体な訳ないじゃん!!! 正真正銘、かわいいかわいいボクの弟だよ!! くりくりとしたアレキサンドライトみたいな瞳にもちもちの柔肌でねぇ〜髪の毛はボクも何回も手入れしてあげたんだよ〜!! それでね____」と饒舌に語り出して、そのマシンガンの様な口振は止まる事を知らなかった。


ハイテンションでペラペラと語り続ける藤髪の人に堪忍袋の緒が切れたのか藍髪緑メッシュの人は「さっさと片付けしろ!!! 」とブチギレてしまった。

目の前で喧嘩が始まるとあわあわと慌てふためくわたしを横目に藤髪の人は「あはは!! ボク、飽きちゃった!! 」と言って、そのままダンボールを複数個持ってどこかに行ってしまった。


藍髪緑メッシュの人はイライラした様子で頭を掻きながら、わたしに向き合い、足の傷を見ると「お前は今日医務室で寝ろ。」と言って、手を引いて医務室と書かれたクッキーのような柄のプレートの掛かった部屋の戸を開けた。


医務室で軽く手当をしてくれて案内してくれた事に感謝して、「あ、ありがとうございました!! 」というと「明日、個人情報の聞き取りするから、今日はゆっくり寝ろよ。」とぶっきらぼうに答えてそのまま出ていってしまった。


白いベッドに横なろうとすると、横のベッドには先程助けてくれた緑髪のお姉さんと紺髪の人がいた。

どことなく、藤髪の人と纏う雰囲気が同じで吃驚しながらも、「あ、あの、さっきは助けてくださってありがとうございました…!!! 」と感謝の言葉を述べた。


すると緑髪のお姉さんはふいっとそっぽを向きながら「別に、私が勝手にやっただけ。」と照れながら言うとその頬をツンツンと突きながら「素直じゃないな。」と言いながら紺髪の人は笑っていた。


「あ、名乗んのが遅かったな。おれは朱雨だ。気軽に朱雨とでも呼んでくれ。」


「…漣結衣。気軽に結衣って呼んだちょうだい。」


そう言いながら、二人は同じ様に笑いながら「で、お前/アンタの名前は?」と同時に尋ねて来た。


「わ、わたしは無錡メリアっていいます!!! 朱雨さん、結衣さん、本当にさっきはありがとうございました!! 」


と言うと朱雨さんはあ。っとした様子で再び「えーっと、藤色の髪のヤベェ厚底の奴見たよな? 飽き性でよく笑う奴。あいつの名前聞けたか?」と尋ねて来た。それに対して聞いていないと答えると朱雨さんも結衣さんも頭を抱えていた。


「あー、アイツまた猪突猛進したのかよ……」


そう言いながら頭を悩ませる朱雨さんに対して平然とした様に「またテンションアゲアゲモードなんでしょ。あの子のあの精神は私にはわからないわ。」と突き放す様な口振りで言っていた。

仲が悪いのかと思い、慌てた様子で二人を見つめていると此方の目をじっとみて結衣さんはふっと軽く笑った。それは水の滴る紫陽花の様に綺麗だった。


その綺麗な顔に見惚れていると突然バンッ! と大きな音を立てて扉が勢いよく開かれた。


「大丈夫だって〜ほら、ボクって史上最強に可愛くて、すっごーく強いんだからさぁ〜!! 」


「御託はいいから飲んでってば!!! このままじゃ、テンションサゲサゲモードに突入しちゃう! 」


「イヤだよぉ!!!! ボク、肉料理の次の次くらいにあの薬達嫌いなんだよね〜!! それに、テンションサゲサゲ…なんだっけ? のボクも最高に可愛いからオールオッケー!!! 」


そう言いながら、二人で医務室に入ってくると藤髪の人はこちらに気づいたのかにこやかに手を振ってぴょんぴょんと飛び跳ねる様に軽い足取りで近づいて来た。


「やっほ〜!! あ、姉さん達もいたんだ〜足大丈夫? うわ〜痛そ〜!! ここはいっちょ、ボクが効き目抜群の治療薬作ってしんぜよ〜!!!! 」


そんな風にケラケラと笑いながら饒舌に話すその仕草は活発であー気分が上がってるんだな? という印象を持った。


はぁ…とため息をついて結衣さんが「やめなさい。それはいずれ貴方の体を蝕んでしまうのよ?」と諌めるが、それに対して藤髪の人はイライラした様な顔を見せ、奥歯や拳を握り締めるとにっこりと笑って此方を見た。


「あ、言いそびれちゃってたんだ!! ボクの名前は春奈!! 誰よりも可愛くて誰よりも強い最強の……最強のなんだろ? あっはは!!! 忘れちゃった!!! まぁ、ボクの最強さは損なわれないからね!! 気軽に春奈って呼んでねぇ!!!! ボクの名前は生涯刻まれるから、キミも脳髄に刻んどけよ〜!!! 」


上機嫌に言いながら、わたしの頭を撫でたり、話を聞こうとしたりと活動的で人懐っこい印象を持った。もっとーと、わたしの話を聞こうとする後ろから錠剤と水を持った水髪の少女がやってきて、春奈さんに飲ませると、此方の方をちらっと見て「私は漣雪奈だよ。」といい、飲ませると此方の方に顔を向けて「改めて、私はお兄ちゃん公認の天才マジシャン!! 因みにこの三人とは兄弟関係はないよ!! 」と満面の笑みとハキハキとした声で喋り始めた。


春奈さんと同じく元気で活発な性格だと思うのだが、どこか二人共似て非なる者の様な印象を持ってしまった。


「うへぇ……ボク、この薬嫌い……」

「お前って、苦手な物あったんだな」

「そうだよぉ……やっぱり、ボクらのこと何も知らないんだね。」


そんな会話がよそで繰り広げられているからか、医務室の空気は楽しげな空気と陰鬱・殺伐とした空気の両極端に包み込まれていた。


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