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第六十一話

文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。


 いよいよ準備が整い作戦の決行当日となった。アザレアは先陣を切るフランツに声をかける。


「フランツ、必ず生きて戻って下さい。(わたくし)も、死ぬ気はありません。必ず生きて戻りますから」


 フランツは頷いて微笑んだ。


「わかりました、約束いたします」


 そしてその場の全員の顔を見渡す。


「では、行ってきますね。皆さんもご無事で」


 そう言って一礼し、結界石と大量の粒子無効魔石、治療を施す魔石を持って、結界の外へ向かい歩きだした。


 フランツが通る場所は、結界石の作る結界の虹色と、粒子無効魔石の効果でキラキラと輝いていた。アザレアとカルはその背中が見えなくなるまで見送った。


「フランツも危険だが、君だって命をかけて奈落を塞ごうとしているんだ。それを忘れてはいけないよ? さぁ、部屋の中へ戻ろう」


 そう言ってアザレアの肩を抱き、室内へ戻るよう促した。


 フランツが出発してまもなく、第二部隊が後を追うため集まっていた。その中にコリンを見つけ、驚いて声をかける。


「コリン、今回の作戦に参加するなんて知りませんでしたわ」


 コリンは照れ臭そうに頭を掻いた。


「俺も君の役に立ちたくてね。これぐらいしかできないが、参加することにしたんだ。君が安心して外へ行けるようにルートを調べてくる。君は自分の安全のことだけを考えて行動して欲しい。じゃあ行ってくるよ」


 と早口で言うと、外へ向かっていった。


 アザレア一人の力ではない。皆の協力があるからこそ成せるのだ。そう思うと一層気の引き締まる思いだった。


 第二部隊が結界外に出てから、しばらくしてヒュー先生が声をかけてきた。


「時間的に出発するなら今だね、先発隊の魔石の効果が一番出始めたころだと思う」


 そして、アザレアたちの顔を見る。


「君たちなら大丈夫だ。己の力を信じて、頑張れ」


 そう言ってカルとアザレアの肩を叩いた。アザレアとカルは顔を見合わせて頷くと、笑顔で言った。


「行ってきます!」


 そして、手を繋いで結界内から外へ出た。


 虹色の結界の外へ一歩出ると、フランツと第二部隊が設置したであろう魔石が、奈落に向かいずっと並べてあり、その周囲が眩しいぐらいに無効化された粒子で光っていて、張られた虹色の結界に反射し、まるで光の街道のようになっていた。


 幻想的な景色だがその道を一歩外に出れば死が待っている。光の街道の外からは絶えず金属の擦れるような音や、人の叫び声のような風の音が聞こえた。


「皆の努力を無駄にしないように、早く行こう」


 カルはそう言うと、アザレアの手を引いてその中を進んで行く。途中、粒子量を魔石で測定している第二部隊の数人が安全確認をている姿が見えた。


「クリア!」


「こっちもクリア!」


 その姿を見て、アザレアはフランツは大丈夫だろうか? コリンは? と二人のことを思って不安になった。


 それに気づいたのかカルがアザレアを励ます。


「大丈夫、彼らはきっと無事だから。それに僕らが一番の目標としているのは君の安全だ。だから君はとにかく自分のことを考えて。いいね?」


 そしてしばらく歩いて行くと、前方にひときわ輝いている場所を見つけた。その中心を見ると、人がいるのに気づいた。


 目を凝らすと、フランツとコリンがそこに立っていた。アザレアは二人に駆け寄る。


「二人とも無事でしたのね、良かったですわ。それにしても魔石を設置したのに何故まだここにいますの?」


 そう言うと、カルが答える。


「二人とも君の側にいたいのだろう」


 フランツとコリンは頷く。そして、フランツが


「アザレア様、今は側で貴女を守らせてください」


 と言い、コリンは


「俺は君の護衛だ、ここから絶対に離れない」


 そう言った。カルはアザレアを見つめる。


「アズ、これは私たちの我が儘だ。だが、そんな私たちの意思も尊重して欲しい」


 そう言われて、反対できるはずがなかった。


「では、見守っていてください」


 と頭を下げた。


 アザレアは吸い込まれそうな闇を湛えた奈落を見つめると、まずは奈落をスキャンしてその構造をしっかりと確認した。


 やはり思っていた通り奈落は時空の歪みで、時空に穴があいてしまっている状態なのがわかった。そうとわかれば、問題はアザレアの魔力量でそれが塞げ切れるか、だ。


 幸いにも先陣を切ってくれたフランツやコリンたち、サポート役のカルのお陰で(わたくし)の魔力は全て奈落を塞ぐことに使えそうだ。


 それに日頃からヒュー先生に言われ特訓を重ねてきた。


 いける。


 アザレアはそう思った。その瞬間から、アザレアは全魔力を奈落を塞ぐことへ集中し始めた。


 奈落に魔力を注いでも、全く手応えはなく巨大なブラックホールに、力が全て吸い込まれてしまっている感覚だった。


 しばらく、そうしているとカルが後ろで驚きの声をあげた。


「信じられない、奈落が塞がっていく!」


 フランツはアザレアに叫ぶ。


「駄目だと思ったら、すぐに中止して下さい!」


 奈落が塞がり始めた辺りから、周辺の景色が歪み始め、所々虫食いのように景色が抜け落ちたかと思うと、その向こうにサイデュームの王宮や城下町など関係ない景色が現れたりし始めた。


 そして、突然の凄まじい突風と共に金属の曲がるような音、誰かの低い叫び声が奈落から聞こえ、その場は混沌とした状態となった。


 何とか踏ん張り魔力を放出し続ける。フランツやコリンは立っていられず地面に這いつくばりながら、かろうじて吹き飛ばされそうな状況を耐えている。


 その中でカルは唯一立ち上がり、アザレアの方へ歩いてくると背後から、力を送っているアザレアの手を支えるようにつかむと言った。


「アザレア、頑張れ。私はずっとこうしてそばで支えているから」


 アザレアは、カルがいると思うとそれだけで力が湧いた。歪み、霞んで見える奈落の縁を見つめ、必死でその空間の穴を閉じるため力を送り続けた。


 そして、奈落があと少しで閉じようとしたとき、奈落の穴から目映い閃光が走り、アザレアは意識を手放した。

誤字脱字報告ありがとうございます。

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