33.静かな余生
ここからは、ソフィア様の専属侍女の私エマがお話ししたいと思います。
オルヴェンヌ公国は、ソフィア様とシルヴァン様によって、さらに豊かになっていきました。
まず、お二人は、お二人が出会った思い出の場所である、図書館もお造りになりました。オルヴェンヌ公国にも国立図書館が出来たのです。読書がお好きなお二人は、だいたいの時間をこちらでお過ごしになりました。
そして建国前からの改革によって築いた国家の基盤や産業は、しっかり機能を果たしました。
大学のおかげで、国民の識字率は格段に上がりました。国立図書館が完成したことで、国民は情報をたくさん得ることが出来ました。なんと、国民は新しい事業を次々に自分たちで作り出すことになるのです。
建国の際の女大公様のお言葉どおり、国民に助けられながら、より良い国作りに成功することになったのです。
また、懐中時計は、シルヴァン様が見立てた通り、装飾品として高位貴族紳士の中で流行となりました。
服飾品も、結婚式で着用したコートはもちろんのこと、オルヴェンヌ産の礼装を身につけることが、各国貴族のステータスになったのです。
ソフィア様とシルヴァン様は、必ずオルヴェンヌの産業品を身につけ外交に出向き、目を引く美しいお二人は自らが広告塔となりました。こちらから営業をかけることなく、各国から商人がオルヴェンヌへと商談にやってきました。
国民は平民が多いままではありましたが、産業品の価値や、国民の知性や品位から、オルヴェンヌの国民であるということもステータスとなり、隣国の貴族に嫁がれる平民のお嬢様も多くいらっしゃいました。
お二人が結婚して一年の間にはある程度の基盤を作り上げたこともあり、その後のソフィア様は、普通の貴族令嬢や貴族婦人のように、お茶会や庭園の散歩や刺繍、読書などを嗜み、穏やかな生活を送っていらっしゃいました。その傍らには、常にシルヴァン様が寄り添っておられました。2人は出会ったあの時のように、いつも見つめ合い、微笑み合い、静かで優しい日々を送られていました。
後にお二人は3男2女という5人のお子様に恵まれ、いつまでも仲睦まじくお過ごしになりました。
ちなみに私は、夫となったフレデリック様と共に、オルヴェンヌ家に仕え続けております。
私たちの馴れ初めですか?こちらは、お恥ずかしいお話しではありますが、機会がございましたら、お話できればと思います。
私も大好きな方々に囲まれて幸せな日々を過ごしております。
では、皆様、ごきげんよう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当初は、3~5話くらいで完結するつもりで書き始めたのですが、思っていたよりもスケールの大きな話になってしまいました。
作中にあったように、エマとフレデリックのストーリー「穏やかな恋に導かれ。」(N3584HY)を短編にて掲載(11月25日17時)予定です。https://ncode.syosetu.com/n3584hy/
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