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大賢者の魔法喪失  作者: 夜見風花
魔物たちとの邂逅編
33/33

何者

 ノルンは僕たちなど意に介することなく、手元の文字を目で追った。


 暇なので周りを見渡していると、あることに気づく。


 この部屋……食料がない。彼女はどうやって暮らしていたのだろう?

 食料を生み出す魔法は発見されていないのに。


 何か他の魔法……いや、想像もできないな……。


 そもそもこの外観が古びた塔に、少女が幽閉されていること自体が異常事態なのだ。

 彼女が気を許してくれるようになってから聞くと良いだろう。


 ノルンは随分と僕たちに不信感を抱いているようだが……彼女の様子や予想できる状況を考えると、仕方のないことなのかもしれない。


 早く心を開いてくれるといいな……。



「……読み終わった……最後の一冊」

「この本……全部読んだってこと……? この文字も読めるの?」


 

 本棚を漁っていたマリーナが驚いた様子で問う。

 その手に握られた本には、僕にも読めない文字が記されていた。


 

「それ……昔の文字。解読した……幸い、時間はたっぷりあったから」


 ノルンの発言に対し、ルセウスさんは疑問で返した。


「…………失礼を承知の上で聞く。お前、何歳なんだ……?」

「もう、覚えてない。数えることすら面倒になるほどに……ずっとここにいるから。本のおかげで退屈はしなかったけど」



 沈黙。ここにいる、ノルンを除いた全員が同じことを考えている。

 彼女は……一体何者なんだ……?


 生存に食事を必要としない上、不老とは……この世の摂理を覆した存在ではないか。


 これまでの歴史で大勢の天才たちが願い、しかし成し遂げられなかったことを。この少女は無意識に……しかもそれがどういうことを示すのかにすら気づいていないのだ。

 

 この子が王国に引き渡されれば……実験などの被害に遭いかねない。


 マリーナが優しい口調で問いかけた。


「君は自分がどうして閉じ込められていたのか分かってるの?」

「私の魔法が……恐れられたから」


 ノルンは俯いている。僕たちが信用に値するか、自分のことをどれだけ話してもよいか、考えているのだろう。



 しばらくの静寂を破ったのはマリーナだった。


「……とにかく、行こうよ! メルラスのいる──北の果てへ」

「マリーナの言うとおりだ。それと、これから戦いは更に過酷になっていくだろう。連携が取れやすいように、それぞれのできることについて話し合わないか?」



 彼の提案に、僕とマリーナは頷いた。ノルンは無表情でこちらを観察している。

 品定めされているようで……落ち着かない。



「じゃあ俺から行こう。俺はグリッド・ルセウス。魔素を動かし風を起こすことができる。物を押し出したり、切断したり空を飛んだり……汎用性が高い。創造魔法は『風の便り』といって、魔力を通じて口に出さずとも会話ができる」



 風魔法の有用性はこれまでたくさん見てきた。長い射程、安定した攻撃速度。頼もしい。

 

 次に、マリーナが口を開いた。


「私の名前はマリーナ・ヘラル。魔法は、光と高速の性質を持つ雷。魔素を雷に変化させて対象に落としたり、性質抽出で物、例えば矢を高速で飛ばしたりできるよ。創造魔法は、一度魔力を込めた物を手元に持ってきたり戻したりする『雷引き』」



 雷魔法はかなり攻撃性に長け、それでいて支援性能も高い。彼女の雷を纏った身体強化は、他の追随を許さないほどだ。


 また、『雷引き』のおかげである程度の荷物を削減できている。



 今度は僕の番のようだ。


「僕はアンリ。使えるのは炎魔法。爆発で物を削ったり、なんでも灰にするまで燃やしたり……性質は光と熱で、暗闇を照らしたり、光を出さずに物体を破壊したりできる」


 

 我ながら、炎は最も攻撃に特化した魔法だと思う。火傷を伴う攻撃は対策の難しいものだ。


「私は言わないから」



 ノルンは帽子を深くかぶりこんで言った。


「構わないが……自衛ができるかだけ教えてくれ」

「あなた達の手を煩わせるつもりはない」

「そうか。だが、危ないときはいつでも言えよ」


 ルセウスさんは心配そうに言った。強がりだと思っているのだろう……その目は、娘を見る父親のように優しい。



「保護者ぶらないで」

「……悪い」


 ノルンの冷たく、鋭い視線が彼を突き刺したことで、ルセウスさんは少し落ち込んだように見える。  


 これからこの子と一緒に……上手くやっていけるだろうか?

読んでくださる方には本当に感謝しかありません。

ありがとうございます。

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