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02話 ダンジョン製作

 森との境目を歩く。

 立ち止まっては森を観察する。特に変わった木や植物はない。名前はわからないが、よく見るようなものだ。

 10分ほど歩いて後ろを振り向けば、平野にぽつんと生えた木が見える。


「ちょっと離れてきたな」


 夢だとは思っているが不安はある。独り言が増えているのも不安のあらわれだろう。

 それでも夢であると思い込み、俺はどんどん前に進んでいった。


 30分ほど歩いただろうか。

 先にはまだ平地と森の境目が続く。


「うぉっ!?」


 足を止め、すぐさま森側に駆け込み、木にへばりつくように隠れる。

 木の陰から顔を少しだけ出して、進んでいた方向に目を向けた。


「野犬……じゃないよなぁ」


 距離にして数百メートル先。

 犬のような動物が二匹連れ添って森から出てきた。

 離れているので正確な大きさはわからないが、とにかく大きい。

 近所の人が飼っていた大型犬よりも大きそうだ。

 形はハスキーのようで、犬よりはむしろ狼といった方が正しいかもしれない。


「あんなのに咬まれたらショック死しそうだぞ……」


 背中に汗が垂れるのを感じる。

 腕や喉元に咬みつかれることを想像してしみ、身震いしてしまう。


「やっぱり元いた場所に戻るか……」


 咬みつかれれば夢から覚めそうな気がするが、失禁してしまいそうだ。

 32歳にもなって、寝小便は黒歴史どころの騒ぎじゃない。


 他にもいるかもしれない。

 周囲に注意を払い、木に隠れながら移動して元いた場所を目指した。



 夢でも怖いものは怖いと、足早に木のある場所に戻ってきた。

 戻ってきた場所は平野のど真ん中。

 こんな場所で襲われては逃げ切れないと、今は木の上にいる。

 子供の時以来なので20年振りくらいに木登りをしたが、案外体が覚えているものだ。

 すらすらと登れ、太い枝の上に座っていた。


 手元にあるのはタブレットと青い石。


「この青い石はダンジョンコアって呼ばれるやつなのかな?」


 ダンジョン物にありがちなやつだ。

 もちろん、俺の勝手な予想である。

 コアからは何もわかりそうにないのでポケットに入れる。

 見るならタブレットだと、落とさないように注意して開いた。


 タブレットの画面には、説明や設定などの項目がない。

 これでは完全なクソゲーだ。

 ただ、昔のゲームはこんな感じだったなと笑ってしまった。

 ゲーム内に説明などほとんどなく、説明書を読んでもわからないことが多かった。

 詰まったところは友だちと話し合って、ゲームの攻略を進めたものだ。


 画面の上からの項目を確認していく。


 まずは魔物召喚の項目を見る。

 それぞれに基本種のようなものがあり、最低で200pt、次は800ptと上がっていく。

 手持ちは980ptになっている。魔物召喚にはポイントが心もとない。

 そもそも魔物なんて、召喚した途端に俺が襲われそうだ。

 

「初期の1000ポイントも酷いもんだな」


 次に魔石を見ていく。

 種類は光、火、水、氷、風の5種で、それぞれ極小、小、中、大、極大と大きさも5種だ。


「光の魔石だったら光るってことか?」


 光の魔石は極小でも200pt。

 ダンジョンの明かり代わりに使うのだろうか。


 次に見たのは宝石・武器の項目。

 宝石はエメラルドやルビー、ダイヤモンドとよく聞く名前だ。

 ただ、一番低いptのジルコニア(小)でも10000pt。

 宝石と武器が一緒の項目になっているので、武器は宝箱に入れるものなのだろう。

 武器はショートソードなど、ゲームでよく見るものが並ぶ。

 宝石と同じく、武器の使用ポイントも高い。


「次は……あんまり興味ないかな」


 トラップ/ギミックの項目を見る。


「落とし穴、落石、火炎放射器……」


 落とし穴にも剣山を設置できたりと、殺傷能力のあるものばかりだ。

 これには落ち込み、ため息が漏れる。


「なんか疲れていたのかな……」


 働いていた時は忙しかったものの、それなりに充実した日々を過ごしていたつもりだった。

 職を失ったことで、精神が不安定になっているのだろうか。

 これが夢であれば、これは自分が考え出したものだ。


 もうトラップの項目は見たくないと、食料の項目を開く。


「すぐに食べれるものは果物関連か」


 パンや米はなかったが、種もみ関連は充実している。

 そのまま畑を作れば農業もできそうだ。

 しかし農家の子供なれど、手伝ったことはほとんどなく、農作業の知識はあまりない。


 最後の雑貨/その他の項目を見る。

 ショッピングサイトかと思えるほど様々な品が並ぶ。

 仕事で忙しく、買い物といえばショッピングサイトを使っていた。その影響なのだろうか。


 雑貨は見るだけでも楽しく、ひたすら眺め続けた。




「そろそろやばい気がしてきた……」


 雑貨の項目をずっと見ていて、体感で数時間が経っていた。

 腹もずいぶん空いてきている。

 太陽が沈みだし、周囲は薄暗くなってきている。


 これはいくらんでもおかしい。

 夢にしては長すぎる。


「とりあえず……寝るか」


 雑貨/その他に建物の項目があった。

 城や塔なんてものがあるが、ポイントがまったく足りない。

 今の手持ちで選択できるのは、500ptのあばら屋だけだ。


 あばら屋を選択すると、画面に注意喚起が出た。


「ダンジョン範囲を選択してください、か」


 この辺りのマップになるのだろうか、画面上に地図が出る。

 地図に映る一本の木。それをタップした。


「これで中心決定かな? 範囲は最大でいいだろ」


 画面には、ダンジョン範囲を決定しますか? 『はい』『いいえ』と表示される。


 迷うことなく『はい』を押した。

 そのままあばら屋を選択すると、設置場所の選択画面が出る。

 木の隣りの場所を指定する。


 家は靴のように小さくない。

 指定した場所を見ていると、地面からズブズブと音を立てて、あばら屋が浮かび上がってきた。


 地面から建物が生まれたのだ。

 現実では絶対にありえない。


「やっぱりこれは夢の中だな」


 木から降り、家の扉に手をかけて開ける。

 中には何もない。床板もなく、土間そのものだ。

 隙間からは風が入り込む。

 寒くはないが、このままでは寝られそうにない。


「夢の中で寝るって変な感じだ」


 布を20ptで交換し、俺は布を布団代わりに眠りについた。

 隙間から入っていた太陽の光りもなくなり、周りは暗闇に閉ざされた。

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