第五章
やっぱ一週間で終わるのは無理だったな!色々ゴタゴタでごめんなさい!1か月以内で終わらせます!
「えっ???」
これは……どういう…こと?
今の時刻は13時18分。
私の視線はパソコンの画面を見つめたまま、固まった。そこに表示されたのは、某掲示板のスレ。
タイトルは…『【速報】Vtuberの秋野小花中の人、セクシー写真流出』
……
いや本当にわけがわからない。自分はそんな写真撮った覚えないですけど!
このスレは常連の【ハッピリー半被】さんからツイッターのリプで送られて来たもの。向こうもこれを見て結構戸惑っていたみたいが、確証を得るために連絡して来た。
…落ち着こう、まずは落ち着こう。
混乱から抜け出すために、両手で自分の顔をパンパン叩いた。
スレの内容を見てみると、そのスレ主が露出の多い写真と露骨なLINEメッセージのスクショをアップしたのがすべての発端みたい。一応ツイッターでもそれを転載している人もいるが、秋野小花ってそんなに人気あるVTuberではないし、発信源のスレでも、叩く人より「誰?」って聞く人の方が多かった。
「不人気に救われてるねえ…」幸か不幸か、それは確かなことである。
「ご連絡ありがとうございます。この件私は本当に関係ありません。写真の一部にはモザイクなどもついていて顔も確認できない状態ですが、私ではありません。それは保証します。」
とにかく心配して連絡してきた【ハッピリー半被】さんに返信して安心させよう。
「また、そのスクショのLINEアイコンも私のじゃありません。
この件、もしできたら、ファンの皆様にも伝えて欲しいです。」
うう…困ったなぁ、まさかこんな不人気VTuberもデマを流されるとは。まだ大ごとにはなってないが、ここで何とかしないと…
そう思ってるだけで、目がくらくらし始めた。
昔の高校生活を思い出す。
きっかけは何だったのかは分からなかったが、いつの間にか噂を流され、気が付いたら学校の皆から遠ざかれた。
それがどんどんエスカレートして、鞄や持ち物を窓から捨てられることも…っダメダメ。
今はそんなのを考えてても仕方ない、もう過ぎたことだ。
私は立ち直る!立ち直らないと!普通の生活に戻ると決めたんだ!
一瞬の眩暈から自分を奮い立たせている最中、その気持ちに応えるように、
『ピンポン』と、ツイッターからまた通知が届いた。【ハッピリー半被】からのDMだ。
大手のVTuberたちは迷惑メッセージを懸念してDM拒否にしてますが、私にはあり得ないことなので、いつもDM可能な状態に設定しています。
「DMで失礼します。
スレであげられた写真は一部加工をされていますが、少々弄って画像検索ツールにかけたら、あっさり出処が見つかりました。関係のない他人の写真だという証拠があればこばなちゃんの無実が証明できると思います。
まだ大ごとになってないうちに、こちらでなんとかスレ内で片付けられるかも。」
はやっ!こうもあっさり解決してくれるの?!助かった助かった!
「ありがとうございます!本当に何を言ったらいいのか…
小花にできることがあったら気軽に言ってください。」
「いえいえとんでもない。」
返事もはやっ!
「ただし、手口がとても子供っぽいことから、多分昨日の荒らしの人かと推測。
誹謗中傷で警察に相談するのもできるので、そこはこばなちゃんの判断に任せます。」
なるほど、昨日のあれか……
「でしたら、急ですが今夜18時に配信しちゃいます。潔白の証明とこの件に関していろいろ…話していきたいと思います。ツイッターでお知らせを書いておきますね。」
「OKです。ではそれまでに何とか沈静化させてみます。」
「本当に助かりました!配信の時に感謝の意を込めて、また改めてお礼を言います!」
「あ…この件に関しては、あえて自分の名前出さないでほしいです。あくまで一人のファンとして。」
「わかりました!本当に本当に、感謝感激あめあられです!」
……
意外。
とても意外。
どう言えばいいのか。勝手に起きてて勝手に解決した…みたいな?
ととっ、とにかく、このまま解決してくれるのなら助かる!まずは今晩の配信の告知をしないと。
慌ててツイッターのつぶやき画面を開いて、キーボードをカタカタ鳴らす。
『不人姫もついに炎上?!突然の配信、今夜18時!枠を確保!』
……うう…ふーん。
もっとマジメな告知をしたかったが、なぜかこういうフレーズしか思い浮かばない。
もしかして私って、結構メンタル強い…?
ツイッターで取材と称して2日ぶりの更新だが、女子のいじめについて人に聞いた程度だけでした。
生々しさを出したいが、読んでる人が傷ついたらまずいから…とかで悩んだ。
でもニートを書いてる時点で自分はすでに満身創痍だが!
いつものツイッターURL:https://twitter.com/OlympusTarbot