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「で、さっきの事は本当なの?」

 鬼気迫った顔で玲奈が聞いてくる。

「本当の事だと思うよ。」

「ふーん。」

「まぁまぁ。お姉様も多分分からない事だらけでしょうし、そんなに機嫌を悪くしなくても……。」

「別に普通よ。」

「既に普通じゃない気がするっすけどね。」

 玲奈は僕の状況に納得がいってないみたいだ。

「私のご飯一口あげるから機嫌直してよ。ね。ほら、あーん。」

 僕が食べていたイチゴと生クリームのサンドイッチを玲奈の口元をへ運んだ。

「そんなんで私の機嫌が直るはずが……。もぐもぐ。」

「やっぱり機嫌悪かったんすね。」

「お姉さまのサンドイッチ……。羨ましい。」

「ふん。」

「ちょっとは機嫌治ったみたいっすね。」

「よかった。」

「あの……。なんかごめんなさい。私のせいで何かあったみたいで……。」

 雨宮さんは物凄く申し訳なさそうにしていた。

 僕的には、こちらの事情に巻き込んでしまったみたいで凄く申し訳ない。

「別に貴方が悪い訳じゃないのよ。こちらこそごめんなさい。」

「せっかく関われたことだし、皆も雨宮さんと仲良くしてあげてね。新しい生活で分からない事だらけだと思うから。」

「お姉さまがそういうなら……。」

「自分は別にいいっすよ。雨宮さんよろしくっす。」

「あ……。よろしくお願いします。」

「玲奈もお願いね?」

「しょうがないわね。これからよろしく。」

 皆優しくてなによりだ。僕の自慢の友達たち。

「ねぇ……お姉さま?」

「ん?なに?どうしたの?」

「私にも一口もらえないでしょうか?」

「なに?そんなにお腹空いてるの?紬にしては珍しいね。食べていいよ。」

 サンドイッチが乗っているお皿を紬の方に動かす。

「お姉さまそうじゃなくて……。」

「え?」

 サンドイッチ食べたかったんじゃないのかな。紬甘いの好きだし。

「一花。そうじゃなくて、一夏に食べさせて貰いたいのよ。」

「えへへ……。」

「ああ、そういう事……。」

「お姉さま、お願いします。」

「そう言われたら断れないね……。いいよ。ほら、あーん。」

「あーん……。」

 紬が目を瞑ってサンドイッチに口を開けて近づいてきた時、僕の手からサンドイッチが消える。

「あーん……。ってあれ……?お姉さま……?私のサンドイッチはどこに……。」

「あはは……。」

「二人共ずるいっすよ。自分を差し置いて一夏にあーんしてもらうなんて。だから、これは自分のっす。」

「あー!!!凜ったらずるいですよ!私が食べさせて貰うはずだったのに!!」

「抜け駆けしようとした罰っすよ。」

「ねー!私の返して―!ねー、凜ったらー!」

「もう食べちゃったっすもん。返せないっすよ。」

「ねー!早く口から出して―!」

「いやいや……。もう食べちゃったすよ……。吐いてほしいの……?」

「もうそれでもいいからー!」

「それはやめとこうよ……。ほら、紬。食べさせてあげるから……。」

「お姉さま―!」

 紬が半泣きの状態で僕に抱き着いてくる。

「ちょっと近いってば……。ほら。」

「あはは。皆さん仲良いんですね。」

 僕たちの日常を見ながら雨宮さんは微笑んでいた。

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