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「おい、久遠と東雲。少し話がある。」

 ホームルーム後に先生から招集された。

「どうかしましたか?」

「んー。私も詳しい事までは知らないんだが、寮の部屋が変更されるらしい。」

「え?」

「なんで?」

「知らん。私も上から言われたら、従うしかしないし。久遠が部屋移動で、東雲の部屋には別の人が来ることになってるらしい。久遠は今日中に移動できるように荷物纏めておけ。」

「はい……。分かりました。」

「えぇー……。そんなぁ……。」

「お前たちは仲良かったからな。少し悲しい事件かもしれないが、我慢してくれ。その分他の時間に仲良くしてな。」

「しょうがないですね。仲良くしましょーね一夏!」

「うん……。」

 

 僕は別の部屋に移動する事になってしまった。お祖父ちゃんが何か言ったんだろうか。確かに男女が同じ部屋で過ごすというのはあまり良くないのかもしれないし。しょうがないかな。


 荷物を纏めていると寮の管理人が来て、新しい部屋に案内されることに。

「玲奈またね。」

「うんーまたねー。」



「ここの部屋よ。ゆっくり過ごしてね。」

「案内有難うございますー。」


 部屋で一人になってしまった。よくよく考えると、一人きりの時間って久々かも。寂しい感じはあるけど、これはこれで悪くはないかも。


 寛いでいるとコンコンとドアをノックされる。誰か来てるのかなと思ってドアを開けに行く。

「先生じゃないですか。どうしたんですか?」

「あぁ、急にすまん。色々急に事が進んでしまってな。」

「はぁ……。」

 部屋の移動の事だろうか。

「私もこんな急だとは思ってなかったんだ。」

「しょうがないんじゃないですか?先生方にも色々あるでしょうし。」

「そう言ってくれると助かる。で、なんだが。」

「はい。」

「もう一つ急な出来事がある。」

「どうしました?」

「転校生が来るんだ。」

「転校生?」

「そうだ。転校生だ。」

「それがどうしたんですか?私と何の関係が……。」

「その転校生ってのが、私のクラスの生徒でな。で、お前と同じ部屋になったんだ。」

「そうなんですか……。」

 一人の生活が始まると思ったけど、そうでもないらしい。お祖父ちゃんの計らいかと思ったけど、そうではなかったのかな……?知らない女の子と過ごすぐらいなら、正体を知ってる玲奈の方が良さそうだけど……。


「そうだ。その転校生ってのがコイツだ。」

「え?」

「あ、よろしくお願いします……。」

「よろしく……。」

 先生の裏からチョコンと隠れてた女の子が現れてきた。全然居たの気がつかなかった。銀髪の小さい可愛い女の子だった。


「ほら、自己紹介しろ。」

「えっと……名前は雨宮璃子って言います。」

「私は久遠一夏だよ。」

「ってことで、久遠の新しいルームメートだ。色々世話してやってくれ。雨宮も今日の所は自由に過ごしてくれ。じゃあな。」

「ありがとうございました。」

「分からない事があったら何でも聞いてね?」

「はい。」


雨宮さんと部屋で二人きりに。急な出来事なだけに緊張してしまうな……。


「あの、少しお話いいでしょうか?」

「どうしたの?」

「久遠さんって、この学園の理事長さんとお知り合いさんなんですよね?」

「え……?」

 なんで、その事を知ってるんだろう……。どういう風なリアクションを取るべきなのだろう。知らないふりをするのにも、タイミングを逃してしまった感がある。頷いても良いものなのだろうか。

「私の父親が知り合いらしくて、父親が無理言って転校させてもらったらしくて……。」

「そうなんだ……?」

 よく分からないけど、事情があるみたい。お祖父ちゃんも把握してることなら、別にいいのかな?

「そうなんです。前まで海外にいて、日本に戻ってきたときにどうしようかなって思っていたら、理事長さんが話をしてくれたみたいで。」

「なるほど?それなら、別に父親さんが無理言ってって訳でもないんじゃない?」

「それは……そうかもです。一応転校させてもらう側なので……。」

「そっかそっか。それなら、私も気合入れて世話してあげないとね。理事長の面汚しをするわけにもいかないし。」

「すいません。ご迷惑を掛けて。」

「いいよ。気にしないで。」

 お祖父ちゃんの知り合いの娘さんって思ったら親近感湧いてきちゃったな。

「改めて宜しく!」

 握手をしてみた。

「よろしくお願いします……。」

「分からない事とか、気になることがあったら何でも言ってね。」

「分かりました……。」

 理事長ともなると色々な事があるんだなー。知り合いを転入させるとか実際にありえる話なんだ。

「私も出来ることなら仲良くしたいしね。」

「気持ちは嬉しいのですが……。」

「どうかした?」

「私と仲良くするのは、ちょっと辞めた方がいいかもしれないです。」

「え、どうして?」

 知らない間に嫌われてしまう事でもしちゃってたのかな。

「実は私……。」

「うん。」

「男なんです。」

 え……?


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