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「大事なのはどうやって決めるかって事っすよねー。」


「その前にちょっといいですか?!」

「どうしたの?」

「二人共何気なくお姉さまとキスしてたんですよね?!」

「そっすね。」

「そうだねー。」

「私だけしてません!私も一度しておくべきではないでしょうか?

「それもそうかもね。私達は平等であるべきかも」

「東雲さんがそう言うならそれでいいっすよ。」


「じゃ、一夏。秋月さんとキスしてあげて。」

 まじか……。これからこういう事を避けていく予定だったのにな。


「柚、おいで。」

「はい……。」

「目を瞑ってて。」

「はい……。」

「いくよ。」

 柚の唇に軽いキスをする。


「はわわわ……。」

 柚は顔真っ赤になっていた。


「これで良かったのかな……。」

「皆おんなじ土俵に立てたって感じでいいんじゃない?一夏にとってはちょっと気の毒と言うか、あれかもしれないけど。」

「まぁ、全て僕が悪い事なんだけど……。」


「私は嬉しかったですよお姉さま!」

「そっか。」

 柚が喜んでくれてるのならこれはこれでいいかな。


「で、これからの話っすよ!誰が一夏と付き合えるかって事っすよ!」

「確かにそれは大事だわね。」

「興味あります!」


「まぁ、普通に考えると私でいい気がしてきたわ。一度付き合ってたわけだし。体も触ってもらってるし。」

「それは過去の話っすよ!関係ないっす!」

「そうです!大事なのは真実をしったこれからのことですよ!」



「分かってるわ。今の理論が通らないぐらいはね。一夏が誰かを選んでくれたら早いんだけどな。」

 急に矛先が僕に向いてきた。

「確かにっす。」

「お姉さまは誰か選ぶ気はないんですか?」


「うーん……。皆……かな……。」

「それはダメよ。」

「そうっす!誰か選ばないと駄目っすよ!」

「お姉さまがそう言うなら私は皆一緒でもいいですけどね。」


 柚は僕が何を言っても味方してくれるな……。

「まぁ、今すぐ決めれる事じゃないかもね。今日は一夏を止めれたって事だけで満足しましょうか。」

「そうっすね。本当にいなくならなくてよかったっす。」

「もうこんな事をしてはいけませんよ!絶対に私達に相談してください!」

「うん。ごめん。ありがと」

「今日の所は部屋に戻るとするっすね。また明日~!」

「また明日です~!」

「またね。」

 手を振りながら部屋に戻っていった。


「それにしても本当に良かったわ。一夏がいなくなってた事を想像するとぞっとするわ。」

「あはは……。今も今でぞっとする状況ではあるような気もするけどね。」


「考え方によってはそうかもね。私は何だか落ち着いた感じ。」

「落ち着いた?」

「最近私達の関係ギクシャクしてたじゃない。」

「まぁ、そうだね……。」

 僕の性別がバレてからは玲奈と距離を取っていたし、怯えていた。沢山あった日常会話も全然しなくなっていた。

 これからは前みたいに話せるって事でいいのかな。


「いてくれるのも勿論嬉しいけど、やっぱり仲良く話せるのが一番じゃない。」

 こんな僕に笑顔を見せてくれる。


「確かにそう思うよ。当事者の私が言うのもなんだけど、ここ数日間は生きた心地がしなかったな。」

「あはは。一夏はそうかもね。私はさ、正直な所別によかったんだよ。一夏が男でも。」

「え?」

「想像してなかったからさ、凄く驚いちゃって。驚いている内に距離がどんどん遠くなっちゃってさ。どうやって一夏と話をしたらいいか分かんなくなっちゃって。だから、一夏には悪いけど仲直りのいい機会だなって正直思っちゃった。」

「そうだったんだ……。」

 完全に嫌われたりしてると思ってたな。それ以外の事を思われてるなんて想像もしなかった。


「私も辛かったよ。」

「ごめん。」

「これからは皆の為にもいてよね。」

「そうだね……。こんだけ借りがあったらね。」

「一夏はここの学校楽しい?」

「楽しいよ。」

「えへへ。ならよかった。」


「気になってたんだけどさ……。」

「どうしたの?」

「私が彩巴って知った時驚いた?」

「半分半分って感じだったかな。勿論驚いたけれど、嬉しい気持ちとそんな気がしてたって感じが混ざったような感じだったかな。」

「そっか……。」

「でも、正直驚いてる。」

「だよね……。」

 そりゃ驚くよね。昔仲良かったし、男だし。


「うん。君に会えるかもって思ってこの学校に来たから。」

「え?」

 僕に会えるかもってどういうことだろう。女子校で僕に会えるはずないのに。


「普通に考えたら会えるはずなくない?」

「うん。分かってるよ。具体的な考えがあったりした訳ではないの。前に一度言ってるけど昔から彩巴君の事が好きだったのよ。」

「そう言ってたね……。嬉しいけど、実は私なんだよねって思って聞いてた。」

「あはは……。そうだよね。分かった今だと少し恥ずかしいな。」

 少しもじもじとしながら答えてくれる。


「でね、中学真面目に行ってなかったから高校から頑張ろうって思ってたのよ。」

「そういえば私のせいでぐれちゃってたみたいな事言ってたっけ……。」

「そうよ。全部一夏のせいなんだから。」

「ごめん……。」

「あの時は急にいなくなっちゃったから悲しかったなぁ。なんで急にいなくなっちゃったの?」


「家の事情で急だったからね……。私も驚いてた。」

「そうだったんだ……。嫌われてて何も言わずに行っちゃったのかと思ってた。」

「そういう訳じゃないよ。」

「なら安心したかも。でね、それでも私は好きだったんだよ。偶然高校どこに行こうかなーって調べてる時にさ、発見したんだよ。羽月理事長の名前を。昔に噂か彩巴君から聞いたのか忘れちゃったけど、お祖父ちゃんが理事長してるみたいな事を聞いたことがあったなって思って。私の中で大きな閃きがあって。ここの高校って彩巴君のお祖父ちゃんが理事長をしてる所なんじゃないかな?!って思って、ここの高校に進学しようって思ったの。」


「そんな理由が……。確信もないのに、よく進学しようって踏み切れたね。」

「他に行こうと思ってる所がなかったしね。唯一のやる気の源だったのよ。賭けとも言える判断だったかもね。」

「そう思う。」

「女子校だからさ、勿論会えるはずはないんだけど。そういう共通点を彩巴君を少しでも感じていたかったのよ。」


 何か僕が思ってたよりも少し重い話だな……。好かれてたのは悪い気はしないけど。



「そんな事があったから私としては君を逃すつもりはなかったのよ。」

「あはは……。捕まっちゃったね……。」

「どう?私の彼氏になる気になった?」

「いや……。」

「冗談よ。皆と約束したもの。」

「約束?」

「抜け駆けしないって。認め合える形で一夏をゲットしましょうって約束したの。助けてもらう時にね。」

「そんな約束が……。」

「そうよ。だから一夏は私たち三人の中から一人選ばないとだめなのよ。分かった?」

「はい……。」

「なら、よろしい!今日は寝ましょ。一夏も疲れたでしょ。」

「そうだね。そろそろ寝よっか。」

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