引きこもり虫とイチャラブ?
「神宮寺さん」
「はい?」
唇を合わせる。
「……」
「黙ってないであなたからもなさってください」
今は女嫌いを克服しようとしてるんですから。
私から一方的にキスしたら結局そこらの肉食女子と変わらないじゃないですか。
あ、すみません。急に。
今は神宮寺さんのお宅に上がらせてもらい、絶賛特訓中ですよ。
後ろに「カッコわら」とか付きそうだけど特訓ですよ。
「君は恥じらいを持ってないの?」
「持ってますよ。でもキスの一つや二つにどうして恥じらわなきゃならんのです」
「……うん」
黙らないでくださいこっちも困ります。
前なんかあなた私が息詰まる程の激しいキスしたでしょ?
あの後大変だったんですからね。吸われたせいで唇赤くなって麗子姉さんにじーっと見られたんですから。
何とか誤魔化せたけど。
それよりも。さあ。さあするのです。
え、肉食女子?
いいえ私は決めたのです。
訪問したら絶対神宮寺さんからキスさせると。キスさせてから読書すると。
平穏な読書ライフのために。だからさっさとしろー!!
「……はあ」
はやく。
「はい」
小さく音を立てて強く唇を押し当てられる。
そのまま舌をねじ込まれ……え、何故?
まあいいけどさ。欲求が溜まってたのかね。
「……はあ」
吐息が漏れる。息詰まってくるよこのキス。
小説では私みたいな息詰まる人を下手って言うんだろうけど実際きついからな?
時計をじっと見たまま一分。ようやく解放してくれました。
「凛音さん。この決まりやめない?」
「どうして?」
「一回すると今みたいに止まらなくなる。君が嫌になっちゃうよ?」
別に嫌にはなりませんよ。
だって興味な……ゲフンゲフン!
「嫌にはなりません。それより苦手なものを克服させた方がいいでしょう?」
「そう、かな? じゃあ」
うん? またキスするの?
で、結局それから押し倒されて吸われまくりだった。
「音ちゃん今日神宮寺さんとイチャイチャした?」
湯船に浸かりながら華ちゃんが言う。急だね。別にいつものことだからいいけど。
「したけど。読書もちゃんとしました」
「うんそこは聞いてない。女嫌いだから奥手っぽいけどそういうところはちゃんとしてるの?」
失礼だぞ華ちゃん。
後一人しかしたことないから違いはわかりません。
まずなんで華ちゃんの中では神宮寺さんはヘタレ認定されてるの?
ていうかどこでそんなの知った……あ、学校か。
「華ちゃんこそどうなの。佐藤くんから最近健くんの様子がおかしいって言われてるんだけど」
「え? 私は普通に一緒にご飯食べたり移動教室も行ったりしてるよ?」
「何か華ちゃんの話になると途端に顔を真っ赤にさせちゃうんだって。何もしてない?」
「するわけないじゃん。お咎めが恐ろしいから」
だよね。佐藤くんには今度そう伝えておこう。
まああの声音的に華ちゃんを疑いはしてなかったけど。
あ、そうそう私スマホを買ってもらいました。
家族の連絡先と、万が一に備えての佐藤くんの連絡先、それと神宮寺さんの。
これだけでまあ結構ぎっしり。
えーと……『華ちゃん曰くいじめはなくなってるようです。でも環境の変化もあって、熱を出してるかもしれません。もしそうなら御見舞に行きますので教えてくださいと、華ちゃんからの伝言です。早く元気になるといいね』
送信。
うおっ! すぐに返信来た。成程、この既読とかがついたら見たってことか。便利な機能だね。
でもそれでいじめが起こることもあるんでしょ。心ちっさいなー。
『熱はないらしい。大したことではないからほっといてくれと言われた。妹さんに謝っといてくれ』
もう測ったのね。それで無事ならいいんだけど。
そういえばこの前月海から『星色夜空』の公式スタンプだかをもらったな。
使ってみよう。
メールの着信音がなる……凛音さん? 最近連絡先は交換したけど彼女から来ることはそうそうない。
『執筆お疲れ様です。締切もありますでしょうが体調を崩さないように適度な睡眠を。おやすみなさい』
と、書かれた後に『星色夜空』の真理と亜美が仲良くベッドで寝ているスタンプを送ってきた。
彼女がこんなことをするなんて誰かに言われたのかな?
自分の意志だったら嬉しいのだけど。まあ仕方ないよね。
おやすみ。凛音さん。
「音ちゃん音ちゃん神宮寺さんから返信来た?」
「来たけど……え、何で知ってんの? 私華ちゃんに見せてないよね」
「だって音ちゃん環先輩のメールが終わっても打ってたもん」
バレてたか。
まあやましいことは言ってないけどね。にしてもスタンプは楽しいわ。拒否するやつとかないかな? それか仮病に使えるや……
「音ちゃん心出まくりだよ?」
「……さーせん」




