表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/49

引きこもり虫の兄弟姉妹

 扉を開けると即座に行く手を阻まれました。なんでやねん。


「麗子姉さん、邪魔。そんな上目遣いで神宮寺さんを見ない」

「後ろにキラキラオーラが見えます凛音。直視できないであります!」


 じゃあ見なければいい。とりあえずどけ。月海も離れんしゃい。


「ほらほら麗子ちゃん達ぃ。神宮寺さんをそのままにしたら迷惑でしょぉ? 戻ってきなさぁい」


 ナイス愛子姉さん。この人イケメンとかそういうのに惑わされないんだよね。

 すぐ上に同じくらい美形な兄さんがいるもんね。


「ごめんなさいねぇ神宮寺さん。うちの妹達が迷惑かけてぇ。どうぞ楽にしててくださいなぁ。お茶淹れてきますからぁ」


 くつろぐにもくつろげないと思うがな私は。

 こんな「凛音を選んだ人」的な好奇の視線を向けられたら。


「そういや神宮寺さんって正宗兄さんと同い年だな」

「そういやそうだね」


 吉宗兄さん急にどうしたのさ。まあそうだけども。

 あ、あれかな。吉宗兄さんは正宗兄さんのこと尊敬してるしそんな感じで神宮寺さんにも興味があるとか?

 やだ兄さんったらピュア? あ、そういうことじゃない? 謝るから睨まないで。

 まあそうだよね。イケメンで頭も良くて共通点多いもんねこの二人。

 ていうかそろそろ座らしてくれませんかね。いつまで隣で引っ付いているつもりだ月海。


「急に全員覚えろとは言いませんがとりあえず簡単に紹介していきますね神宮寺さん」


 家ごとに行きますか。

 まずは六条家。

 正宗兄さん。現在跡継ぎとしておじさん――六条四人兄弟のお父さん――の補佐をしながら経済学習中。よく愛子姉さんの愚痴を聞いてるそう。ストレス溜まるんだ姉さん。

 愛子姉さん。姉さん曰くやりたいことは見つからないらしく、正宗兄さんを支えるようなことをしたいらしい。後酒に弱い。変人かってくらい弱い。

 ちなみにこの二人。怒らせるとまあ怖い。温厚な人こそ一度怒ると怖い。私が中学の頃、いじめグループのリーダーの家庭をめちゃくちゃにした程。しかも涼しい顔で。なので絶対逆鱗に触れないでね、ここ重要。私達も加害者に同情するくらいなんだから。

 次は麗子姉さん。天真爛漫で月海の性格もこの人の受け売り。その小さな体――私と同じくらい――からは想像できないほどの力があってこの前は六条家を脅かすヤクザの所に一人で向かって全員病院送り。月海がデザイナー志望だとすると姉さんはヘアメイク? 系の職に着きたいらしい。

 で、最後は吉宗兄さん。私を抜いておくと一番クールで心情が読めない人。男女関係なく家族がいじめられてたら殴るね。前もそうだったでしょ? 喧嘩っぱやいからまこちゃんがよく止めてる。そして凶暴兄姉を見てきたせいで歯止め役にされてる。

 正宗兄さんを大尊敬してるから将来もそっち系じゃないかな?

 ところでこれでおわかりでしょうか。はい。

 六条家の面々は怒らせたらやばいです。

 おじさんも怖いから六条家全員を怒らせた暁には死ぬ――精神面で――と考えよう。

 ついでに宥める側にも被害が及ぶ。


 御子柴家。

 桃李兄さん。全然会話に出てこないところからわかると思うけど一番影が薄いです。「あれ、いたの?」って未だに言われるくらい。可哀想だけどその薄さを私は欲する。喧嘩の仲裁も任されてるね。無視されてるけど。

 月海。デザイナー志望で御子柴の跡取り娘。さっきも言ったけど麗子姉さんの性格をそのまま受けたものだからまあ面倒臭い。さばさばしてるし喧嘩を売るし買うし。そのせいで私よく睨まれてるんだよ。知ってる? いじめが悪化してるんだけど。

 風柳。大食漢で女子力高め。オネエではないけどね。彼は温厚だけど怒っても怖くない。てか怒ったところを見たことがない。目が笑ってないだけで怒鳴ったところは見たことない。ほとんど先に双子の姉・月海が片付けてるからね。


 根尾家。

 まこちゃん……真。吉宗兄さんと同い年で暴走しないようによく一緒にくっついてる。モテる華ちゃんに男を近づかせないようにいつも睨みを効かせてる。言ってみれば何かしらサポートしてるよね。この人も静かに怒る。

 私は置いといて。

 華……凛華。十人の中で末っ子。華ちゃんだけ何故かめっちゃ箱入りに育てたよね皆。まあ可愛いし危なっかしいし。だから華ちゃんはまだそういう……R指定系のことすら知らない。ドジっ子です。通称・三家のゆるキャラ。でも私のいなかった二年間で喧嘩が強くなっちゃった。

 こんなものかな? 十人って長いな。




 何十分かかかって馴染んだ頃。


「ねえねえ神宮寺さん。明日用事ないなら泊まっていかないここに?」


 月海。あんたここが他所の家だってわかってんのか?

 そりゃもう十何年の付き合いだけど勝手に他人を入れないでくれ。

 それに神宮寺さんは執筆と経営もしなきゃいけないのに。


「用事はないけど。いいのかい?」


 ないの!?


「え、ほんと!? まこちゃんいいでしょ? ねえねえ」

「父さんに聞いてみるけど。話からすると今日はこっちに泊まるの月海?」

「泊まる!!」


 何故誰も反論しない。

 華ちゃんもお客が来たと思って目をキラキラさせてるし。

 これじゃあ拒否しようとしてる私が悪者扱いじゃん。


「僕と愛子は用事があるからこれでお暇させていただくよ。神宮寺さん、また今度」


 ありゃ。忙しいのに来てくれたんだ。あざーす。

 いや、どちらかというと私もお礼を言われる立場じゃないか。

 ……ん? いやそうじゃないよ。

 ほんとに泊まらせる気なの皆。

 順応力高すぎでしょあんたら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ