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21 渚は今日から師匠となる

「で、先輩そのあとなんもなかったってほんとなんですか?」


「実はほんとなんだよこれが」


 翌日の放課後。

 今日は部活が休みだというのでこないだ話したところでもう一度渚と話していた。

 

 話している内容というのは……もちろんお察しの通り昨夜の出来事である。

 俺は昨夜起きたことを、事細かく渚に話した。

 

 そして聞き終わった後の第一声がこれ。


「先輩ってほんとに女子に興味ないんじゃないんですか? むしろそこまでいったら開き直れるレベルです」


「いやほんど、こればっかりは否定できないなぁ」


 ベッドに引きずり込まれた後、しばらく朱里さんの抱き枕にされた。





「んふふ~ついに直哉君も私のことを欲してきたのねぇ……んふふ~」


「ちょ、朱里さん‼」


 豊満な胸に顔を埋められて、若干息が苦しい。

 それに前よりもより濃く朱里さんのいい匂いが鼻孔をくすぐってきて……ノックアウト寸前である。


「直哉君ももっと自分をさらけ出していいんだよぉ? えへへ~」


 足と手で俺をロック。

 おかげで身動きが取れず、パニックを通り越して落ち着き始めていた。


「このままおやすみしちゃおっか。それとも……ほんとに、したい?」


 耳のすぐそばでそうささやかれる。

 朱里さんは大人の魅力を武器として俺に落としにきている。おそらく朱里さん自身も、これが一番効果的だということを分かっているのだろう。


 かすかな吐息が俺の顔にかかる。


「んふふ~私は幸せ~」


 あぁ、もうダメだこれ。

 

 理性が飛ぶ前に、俺はそのまま眠りについた。




「先輩ほんとおかしいですよね。私なら完全にレッツゴーしてますよ」


「れ、レッツゴー?」


「はい。大人の階段上がってます」


 ま、真顔で渚は何を言っているのだろうか。


「第一高校生にもなったらそれぐらい普通なんですよ? ただ色々と危険はあるので勢い任せはよくないんですが」


「は、はぁ」


 もう俺は話についていけなかった。

 

 結局色々と自分の想定外のことが起こってしまって、自分が朱里さんのことをどう思っているのか確認できなかった。余裕がなかった。


 だからこそ、それを相談しようと、恋のアドバイザーこと渚さんにお尋ねしているというわけだ。


「それで先輩は、お姉さんのこと好きだってわかったんですか?」


「……どうだろう。美人だなとは思うよ。それに大胆さだって俺にはないから魅力的だなと思うし」


「……先輩っていろんな観点から見ても高校生らしくないですよね。婚期間近の大人ですか?」


「みょ、妙に辛辣なコメントだね……」


 だんだんと渚の眼差しも鋭くなっている。

 そんなに俺はイラつかせるようなことを言ったんだろうか。


「先輩は高校生なんですから、少しでもいいなと思ったら付き合いたいでいいんです。相手から好きって言ってきてるわけですし」


「うーん……そういうもんかな」


「そういうもんです‼」


 どうにもがっつりいけない自分がいる。

 やはり渚の言っていることはどうにもしっくりこない。


「ちなみに話は変わるんだけど、渚は玲央に告白しようとか思わないの?」


「っ…………‼ そ、それは……」


 急に顔を真っ赤に染めて照れ始めた。

 ほんとに玲央のこと好きなんだなぁ。

 

 玲央がこのことを知ったらどうなることやら。


「ま、まぁ告白しようとは思ってます。でも……どうにも一歩が踏み出せないんですよ」


「自分勝手になるんじゃないの?」


 そう言ったら、すごいにらまれた。


「わかりました。私、玲央先輩に告白する方向で動きます」


「お、おぉ……」


「私は今日から先輩の恋愛の先生です。先輩の恋はどうにもむずがゆくてたまりません。私が身をもってあるべき姿を伝授します‼」


 渚は立ち上がって拳を力強く握りしめた。

 正直その提案は助かる。俺もちょうど恋愛について誰かから教えてもらいたいと思っていた。


「でも、そんな理由で玲央に告白してもいいのか?」


「何言ってるんですか。先輩に恋愛を伝授するのは玲央先輩に告白するついでですよついで。もとから、何年も引きずってるこの恋にかたをつけようと思っていましたから」


「……そうか。じゃあお願いするわ。そんでもって、弟子として応援してる」


「ドーンとこいです! お互い、最強のハッピーエンドを目指しましょうね!」


「おう」


 ここに、不思議な師弟関係が誕生した。

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