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14 美人なお姉さんは攻められると弱い

本日ラストぅ

 今週の土曜日。

 

 ババ抜きでズルをして勝利を手に入れた朱里さんとデートをすることになった。

 朝十時。家の前で待ち合わせ。


「おっはよ~直哉君っ!」


 俺が家を出ると、天真爛漫な朱里さんが待ち構えていた。


 健康的な白い肩が出ている白いトップスに黒のレースタイトスカート。それに深い青色の小さなかばんを背負っている。

 今日は暖かくなるという予報だったため、夏を想起させるような服装だった。


「そんなにじろじろ見て……そんなに可愛い?」


 こて、っと首をかしげる仕草も又男心を掴む。

 控えめに言って最高だった。


「そ、そうですね。よく似合ってると思います」


「そうじゃなくて……可愛いって言って欲しかったんだけどなぁ」


「……か、可愛いと思います……」


 直視しながらでは言えないので、視線を地面に落としながらそう言う。


「えへへ~そう? ありがとっ! じゃあいこっか!」


「ちょ……朱里さん⁈」


 朱里さんは俺の手を取って駆け出す。

 全く、このデートは休めそうにない。




   ***




「で、今から鎌倉に行くんですか?」


「そうそう。鎌倉は観光スポットが多いからねぇー」


 今、俺と朱里さんは江ノ電に乗って鎌倉に向かっていた。

 

 江ノ電は住宅街を走ることもあり、ある駅を境に車窓から海が見える。

 何度かこの電車に乗ったことがあるのだが、何度乗ってもそのきれいな景色に感嘆の声が漏れてしまう。


「うはぁーやっぱりきれいだなぁ」


 案の定、朱里さんが感嘆の声を上げた。


「ほんとにきれいですね」


 今日は運よく晴れたおかげで、海がより一層きれいに見える。

 太陽の光を反射してキラキラと輝く海は、今俺の隣のいる、目を輝かせている朱里さんとどこか似ていて、少しの間朱里さんを見てしまう。


「ん? どうしたの? そんなに私のことをじっと見つめて」


「い、いやっ……何でもないです」


「ははーん? さては私に見惚れていたな?」


「っ……‼ そ、そんなことないですよ!」


「必死だねぇ? まぁ直哉君も男の子だもんねぇ」


「く、くそう……」


 不覚だった。

 朱里さんは心底嬉しそうに俺のことをじっと見てくる。ニヤニヤもしている。

 俺は視線を合わせるのが恥ずかしくなって、視線をそらした。


「まぁこう見えて私今日は化粧ちゃんとしてきたんだー。どう? 私美人かな?」


「それは元からですよ」


 動揺のあまり口から零れ落ちた本心。

 自分がなんていったのかを気づいたころには時すでに遅し。


 朱里さんは口をぽかーんと開けたまま静止していた。


「……あ、朱里さん?」


 声をかけると、急にスイッチが入ったロボットみたいに動き始めた。

 と言っても、口を金魚みたいにパクパクさせて顔を真っ赤にしただけだが。


「な、直哉君そういうのを面と向かって言うなら事前申告してくれないと私でも恥ずかしいよぅ……」


「……す、すみません……」


 朱里さんがデレた。


 俺に抱き着いても、俺のベッドをクンカクンカしてもデレなかったあの朱里さんがデレた。

 朱里さん、攻められるのたぶん苦手だな。


 かといって、俺も攻めるのは得意ではないのでほどほどの手数で攻めよう……。


「も、もうすぐで鎌倉だねぇ……」


「まだ七里ヶ浜駅ですけどね」


「あ、あははは……」


 なんだこの気まずさは。

 ただ時折触れる腕が熱いことは間違いなくて、朱里さんは相当照れているんだなと思う。


「んもぅ……直哉君って意外といじわる?」


「そんなことないですよ。というか、朱里さんから聞いてきたんじゃないですか」


「いやぁまさか直哉君が積極的だったとはねぇ」


「別にそういうわけじゃないですよ。ただまぁ……本心なので」


「うぐっ……‼ お、お願いだからもうやめてください……」


 朱里さんの意外な弱点を発掘した。


 しかしこの攻撃は自分自身にも帰ってくるため、やはり多用はできない。


「今日はどんなところを回るんですか?」


 そう聞くと、ビクッとしたが立て直していつもの朱里さんに戻る。  

 やはり器用だな。


「今日は……鎌倉のオススメデートスポットを回ろうと思う! 大仏とか見てみたいし!」


「なるほど。小学校の時以来だなぁ」


「……直哉君の小学生時代、気になる。写真とか持ってないの?」


「持ってませんよ。というか、そんな爆弾を所持しているわけないです」


「小学生から目つき悪かったんだ」


「…………」


「わかりやすいなぁ直哉君は」


 そんないつも通りの会話を繰り広げていると、いつの間にか終点の鎌倉に着いていた。


 俺と朱里さんは、鎌倉の地に足を踏み入れた。




   ***




 二人の会話を聞いていた三十代男性にインタビュー。


――あの二人はどうでしたか?


「いやぁ初々しいですねぇ。私も若い頃はあんな感じで彼女とイチャコラしてましたよー」


――あの二人、あれでまだ付き合ってないんですよ


「えぇ?! そうなんですか?! だとしたらそれはもうラブコメかと」


――これ、ラブコメなんです


「ひぇぇぇ!!! 羨ましいな!! ほんと、お二人さん幸せになってくれよ!」


 以上、インタビューでした。


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ちなみにこの物語、六十話完結を目指しております

しかし、いつも予定通りにいかないんだよなぁ。だって、二人がイチャイチャしすぎるんだもん

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― 新着の感想 ―
[良い点] 責めに弱いのいいよね、ぐいぐい来るだけだとビッチぽくって嫌ですが、こうデレるとグッと来るものがある。 [気になる点] 作者様、地元民? 私は夏真っ盛りの時に子供と朝5時に江ノ島行って船で釣…
2020/05/15 08:31 退会済み
管理
[良い点] 年上のお姉さんいいですね〜ほんとに [一言] アオバ先生の作品で知ったんですが誕生日おめでとうございます!
[良い点] 最後のインタビュー?めっちゃ笑っちゃいました。 [一言] とっととくっつけばいいとおもいます。
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