懐古して改めて始める、改始
よく、昔の私は、
ノートに書くことで落ち着いていた。
だけど、、大半は日記としての機能を持たせていた。
不確実性のある物語を嫌った。
まして、純文学など…頭を悩ます怪物などと、
人の心を悩ませ、暗くさせる半狂乱に満ちた俗物と、
ダンボール箱から出てきたものは、
そんな過去を思い出させるように、
暗く憎悪に満ちた話が展開されていた。
当時の私の神経を疑うほどに
哀しみと無情さが辺りを襲う。
理不尽な現実、
ずるい奴が勝つ世界、
それを体現したかのように、
私の中の話は、
主人公はガス室で最後は処刑されて死ぬという
終わりであった。
天気は雨、悲しみを拭う水、過去を忘れ去るように流れる無情なる水で終わるのが、かつての私の終わりかただった。
当然、誰にも見せるつもりもない、話だった。
書いている人がいた、今はもう、いない人、
私の記憶にはあって、
この世界にはいない人、
けれど、彼らは生きている。
文の中で、残している。
孤独だ、創作は孤独、今はリレー小説なるものがあるけれど、
首を傾げる反逆者、
群れに従う烏合の衆、
大衆文学という恥を忍んで、
私は言われぬ意見を喉の中に押し殺して、
書いていた
当時の私、
今の私には書く気力がない、
されど、かつてのノートが、私の悔しさに満ちた文字が、
黒鉛の汚れが、芯に覗く、炎を思い出させてくれた。
文字数がなんだ、大切なのは己の心だろう。
内容がなんだ、大切なのは己の言葉だろう。
他の言葉なんて気にするな、目の前の一本道に目を向けろ、
空虚の中の言葉に惑わされるな。
苦労も知らない傍観者達の言葉なんて溝に捨ててしまえ。
漫画の中の勝負者が言っていたような言葉を私は真似ていた。
誰かに影響されるという事はない、
だけど、、漫画や創作物は私の心にいつまでも響かせる。
戦う力を思い出させてくれるのは、
人ではなく創作だ。
私は、少し、始めたい気持ちになった。
今はいない彼らの姿なき書斎を思い起こしながら、