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短編集 ホラー

イアイア はぴねす断章 ハッピーニューいあー

作者: 燈夜

 君は自室で夢を見ていた。初夢である。 

 さぁ、その夢とはいかなるものか。

 知りたければ再度目を瞑り給え。


 ◇ ◇ ◇


 その暗き偶像は淀んだ大気の中で幾万の夜を越えてきていたように、薄汚れた姿を君にさらしている。

 君がその像を手に取った途端、奇怪なフルートと低く唸るような太鼓の断続的な音の塊が君の頭に流れ込んできた。


 そして、君の頭の中には次のようなメッセージも明確に甦るではないか。

 そのメッセージとやらを書き出してみることにする。

 それは次のようなものだった。君は書き損じないようにそれを文章に起こす。


 汝に捧げる、この暗き唄を。

 汝が呼びし我の虚像を。

 我は待つ、暗き海の底で。

 我は待つ、深き谷の底で。


 幾千の夜を越え、幾千の唄を聴き我は待つ、この深き底の宮殿で。


 メッセージを文章に書き起こした君は、突如、激しい悪寒に襲われる。

 SANチェックをせよ。成功した君は1d3、失敗した君は1d6のSAN値を失う。

 また、このSANチェックにより一時的狂気に陥った君は壁に何度も頭を打ち付けて例のメロディを口ずさんでいることとする。君に聖ゲオルグの加護があらんことを。

 もちろん、夢の中ではなく寝台の横の壁にである。実際に実行せよ。


 ◇ ◇ ◇


 突如目覚め、寝台から飛び起きた君は額に冷や汗が流れていることに気づく。

 君は更に文章に起こすという、この狂気めいた行為を続けるだろうか?

 もし、続けるのであれば以下の情報を得る。続けないのであればここで退席扱いとなる。

 我が狂気の祭壇に付き合ってくれた君に感謝し、新年祝賀の祝いの言葉を送ってサヨナラとしたい。


 では、今だ付き合ってくれる君に、新たなる情報を送る。

 君は頭の中に響いてくるリズムの中から次のようなメッセージを受け取った。


 夢見るままにまどろみ至り、

 新年を賀して鍛えた剣を刷き続け、

 所持した剣を宮殿の四方に飾る。


 夢の中で飾ると良い。実際に君の部屋の四方に剣を書いた紙を張っても良いし、貼らなくとも良い。

 君は鍛えに鍛え、更に極限まで魔化された剣を腰に刷いているはずだ。

 この剣に名を与えてくれ給え。

 さぁ、剣に名を与えよう。魔を打ち払うその剣に名を、破魔弓ならぬ破邪の剣に名を与え、新年に相応しい、明日を切り開く剣としようではないか。

 

 さぁ、ページを捲り


 ◇ ◇ ◇


 《断章》はここで潰えている。

新年明けましておめでとうございます。

皆様の初夢はいかがなものだったでしょうか。

いづれにせよ、皆様のご健康とご多幸をお祈りします。


平成三十一年一月二日 燈耶

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