35話 白霜の応援演説者
キーンコーンカーンコーン
予鈴が学校中に響き渡る。
生徒たちが体育館の中にぞろぞろと入ってくるのがわかる。
生徒たちのざわつきが徐々に広がってくる。
俺の隣にはフウカがいた。
そして、白霜あかりが隣にいた。
昨日、あんなことがあった。
というのも、白霜あかりの中にいるミツオと呼ばれる。
ミツオは、とても人間を憎んでいるらしい。
無差別に人間のことを嫌っていた。
この白霜あかりの2重人格具合は恐ろしい。
普段は可愛らしい、ぶりっ子キャラなのだが、
「ねぇねぇ、祓野くん。どう?」
すんごい抽象的な質問を投げかけてくるが、特に申し訳ない感じがあるのが白霜はすごい。
このような発言をしてくる白霜。
「まぁ、自信をもって話そうとは思ってますよ。」
「それ、自信ない人の発言じゃんか。」
ぺちっ。
と、なぜか叩かれる。
昨日の面影みたいなものが俺の中にはあったのだが、
やはり彼女は2重人格のようだ。
なんとなく安心感を覚える。
「結局、応援演説はどうなった?」
「えーーと、ですね。私は悪魔なんでね。いろいろ人間ができないこともできるんですね。」
そう言うといきなり目の前に男が現れた。
「そいつは、影武者みないなものなの。」
その男が話すのと同時に、白霜も同じことを話している。
「おおー、すごいな。」
同時に話している。
これがあったらたしかに応援演説さがす必要はないな。
「でも、新起君にやってほしかったんだよ。」
可愛らしい上目遣いを使いで俺のことを見てくる白霜。
意図的にやっていることが理解できるので、気にはならない。
ただ、昨日のことがあったので上手く心は動かない。
「はいはい」
と、受け流す感じの反応がこの子には一番いいのだろう。
きーーんコーンかーんこーーん
とうとう生徒会選挙が始まる。
4人の中から、誰が選ばれるのか。
俺も頑張らなくてはいけない。
フウカを勝たせなくてはならない。
フウカの戦いが始まる。




