31話 フウカに何を思う。
いったい何がおきているんだろうか。
空歌フウカという、超人をめぐって、天使・悪魔・人間の勢力が争っている。
天使は、フウカの元神様だけの記憶を取り戻したい。
悪魔は、フウカの元大魔王の記憶だけを取り戻したい。
人間は、フウカがそのままの人間であることを願う。
このような大変な世界に俺はきてしまった。
なんで天国にいけなかったのかねー。
今になって1回目の人生への後悔が募ってくる。
もっと必死に生きればよかったのか
いったい何をすれば天国にいけたのだろうか。
1度目の人生は、普通に楽しかった。
友にもめぐまれ、勉強もし、毎日楽しく生きることができたはずだった。
だからこそ、天国でも地獄でもないところに連れてこられたのかもしれない。
ただただ、フウカと俺は出会ってしまった。
その事実が、こうも大きなものになろうとは。
「何、ぼっーとしてんのよ。」
「えっ!!」
フウカは俺に対して怒りの表情を見せている。
何やら、ぼーとしていたようだ。
「さぁ、行くわよ。」
もう時間はお昼の12時になっていた。
俺はフウカに連れられ、いつものように選挙活動につれられる。
食堂には人がたくさんいた。
人間がいることに俺は少しうれしくなる。
この前は、食堂のおばちゃんさえもいなくなっていたからな。
にぎやかな食堂がとてもうれしい。
そんな感傷にひたっていると、突然フウカが動き出した。
人ごみの中の食堂をかけ分け、中央へと移動する。
「皆さん、お昼の時間を使わせていただきます。」
丁寧に昼食を食べる生徒に気を使いながら、全員に声が届くように。
普通に食事中、大きな声で話す人間がいると邪魔である。
しかし、フウカは違った。
周りの人間は、フウカに応援を示す。
その応援は数人程度ではない。
圧倒的な応援がフウカに降りかかる。
その姿に俺はぼーと見つめるだけだ。
フウカは確かに、入学当初、俺と1か月話していない間に全校生徒と知り合いになった。
それは、人間に扮した神様を見つけるため。
フウカの夢は神様になることであるから。フウカは神様になるためには神様に習うのが一番の近道だという風に考えたらしい。
俺からすると信じられない光景だ。
フウカは信頼されている。
その姿に俺は今どのような感情なのだろうか?
自分でもわからない。
ただ、そこに居続けることはできなかった。




