30話 人間天使悪魔
俺の方がやばい状況だからな。
いきなり眠らさせたかと思うと、WHO(私フウカを押し倒す)とかいう意味の分からない団体に連れ去られてしまった。起きるとそこは、知らないところ。しかも、WHOの中には伊藤先生がいた。そして、そこにいきなり現れた悪魔。さらに、救世主の天使2人。
「人間はすべて消す。」
白霜あかりの悪魔化による暴走が起こっている。
俺と出会ったときは明らかなぶりっ子キャラだった。
見た目が可愛いというだけでなく、うわべ遣いであったり、もえ袖であったり、男子がすきそうなことを意識しているような女の子だった。
「ここは、私に任せて。」
「えっ」
大きな羽を身にまとい。天使の姿に身を包む三森あかね。
三森は、掌に上下の文字を書き、そして白霜に右手を向ける。
「ダテン・ミリ」
その言葉が放たれるとともに、白霜に向かって光が放たれる。
あまりの速さに目も負えなかった。
これが天使の力というものなのか。
人間には考えられないものだ。
「うぎゃーぁぁっぁぁっぁぁあああ」
その光は白霜にはなたれる。
神秘的なきらびやかな光、白銀の羽があたりに広がる。
「すごい・・・・」
思わず感嘆の声が漏れてしまう。
すごいすごいすごすぎる。
WHOの人間たちも驚くしかない。
「ね、すごいでしょ。うちの三森。」
今永がどや顔でこちらを向いてくる。いつもなら無視をするところだが、俺は思わずうなずいてしまう。
なにかの光包まれた白霜は、元の姿に戻っていた。
「大丈夫か・・・」
俺は白霜に近づく。いきなり襲われないかという恐怖に襲われつつも、悪魔の姿見をしていない彼女はなんとなく安心感があった。
「おい、白霜。白霜。白霜。」
「あっ、新起君・・・・」
目を覚ました。その姿は、いつもと変わらない女の子だ。
「私、なにを・・・・」
「あんたが、私たちを殺そうとしてきたんじゃない!!。」
丸は白霜に語気強く怒る。それもそうだろう、なぜなら命を危うく狙われたのだから。
それは俺もそうだろう。
「ミツオが姿あらわした?」
みつお?って誰だよ。と俺は思わず思ってしまった。
そんな名前の知り合いがいただろうか?。
いや、いない。
「誰だよ、ミツオって。」
「私の中にいる、もう一人の私だよ。ミツオってのは。」
うん?
不思議ちゃんキャラ発動中って感じか。いつもの白霜って感じがする。
もとに戻ったようではあるが.
白霜は、あたりを見渡す。
その眼は、天使、人間がいること、そしてフウカがいないということを確認しているようだ。
「フウカ様はいない。なら包み隠さず話しても大丈夫だね。」
白霜は胸に手をあて一呼吸をする。
「私の中には、私ともう一人ミツオという粗々しい気性の悪魔がいるの。いわゆる2重人格って奴かな。」
「悪魔のミツオ、どこかで聞いたことがある。人間への恨みをもった。悲しき悪魔というのをどこかで・・・」
今永なにか自慢げに語るのが癪だ。
俺の知らないことを、こいつは当たり前のように知っている。
「みなさんごめんなさい。わたしが何か悪いことをしたようで。」
「あんた、そうやって罪を逃れようとしてんでしょ。悪魔!!!」
少し落ち着いたかと思ったが、丸香澄は勢いよく白霜の胸ぐらをつかむ。
「私はあんた達、悪魔のことなんか信じないわよ!!!。悪魔なんて、この世の破壊しか考えてない。」
今までにない殺気。あの地味な丸香澄が怒りをぶちまける。
白霜は、一歩後ろに足を引く。それほどに怖さがあふれ出いる。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
丸香澄の真剣な表情に、俺も足がすくんでいる。
ただ、あのイケメンは違った。
「まぁ、そこら辺にしときましょー。」
今永は丸香澄の腕をとり、落ち着きを促す。
なにからなにまでイケメンだなこいつは。
「丸、まぁいいだろう。私たちの目的は悪魔を倒すことではない。」
そこに加勢して冷静さを促そうとする伊藤先生。
白霜から、丸の身体を離す。
「すみません・・・・」
あつくなったことへの反省を軽くつぶやく




