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25話 フウカの元神様、元大魔王

フウカについて語りながら、校舎の中を手当たり次第に歩きまわるが手がかりがない。

朝、校門で迎えた生徒たちはどこかな消えてしまった。

朝しっかりと授業をしていた先生たちも、どこかに消えてしまった。


もぬけの空状態。


とりあえず一周したようだが、誰もいない。

これだけ広い学校の中に誰もいないなんて……


「離れて!!!!!」


三森の叫び声が廊下に響く。

いきなりの声に何が起こったか脳は理解しがたい。


「えっ!?」


瞬時に反感を応することができなかった。

だから買うから!、俺のせいなのだろう。

やなかなねななかなかかか

一瞬にして光るものが、俺の頭を殴る。


バン!!!!


壁に俺の身体が打ち付けられる。


「いてぇーーーー。」

遅れて痛みが伴ってくる。これが普通のことなのだろう。

俺はただの人間ということを再確認するタイミングとなった。


「あなた、なに?」

俺の脳で何が起こったのかを処理する。

しかし、中々理解しがたいことが起こっている。

そこには、フウカがいた。


「お前たち、ここで何をしている??」


持ち前の見た目の良さを兼ね備えた存在。空歌フウカがそこにはいた。

しかし、話す口調、声のトーンなどがいくら違う。

その中でも一番は雰囲気だ。圧倒的に威圧感のある雰囲気をしている。


「あなたはフウカ様??」

「あぁ、そうだな。フウカの神様の記憶の部分を司る存在だろうか。」


フウカの神様の記憶の部分を司る存在?


「なに、ここに入ってきてんの??」


俺の目の前にいきなり、フウカの顔が現れる。

思わず逃げそうになるが、フウカが2人いることに対しての疑念が湧いてくる。

首を動かしながら向こうを見ては、こっちを見るを繰り返す。

そこには紛れもなくフウカが2人いる。


「こちらのフウカ様が神様であるならば、こちらの神様は大魔王の記憶をもつフウカ様でしょうか?」

「ほーーん、いかにも。見たことないつらだな、天使かなにかか?」

「はい。いかにも。」


2人のフウカは共に話し方に貫禄がありすぎて、俺は思わず身体が震え出してしまう。

この状況いったいどうする???

フウカはフウカでもフウカではない。

なにを言ってるんだ?


「ここは一体どこなんですか?」


俺は2人のフウカに向かって敬語できちんと話す。

我ながら恐れを抱いている。


「私らはいつもここにおるがな。」

「うん?そういえば、今日フウカの心が乱れていたといえばいたな。」


心が乱れていた。それはいかようのことか。

それって絶対に俺のせいじゃないか。


「それは、どのような感じでしょうか?」

三森も2人のフウカに対して丁重な質問をする。

天使の三森からしたら当然なのかもしれない。


「朝はいつも通りだったが、8時くらいかな。急に沸点が上がり感情を抑えられ無くなっていた。」


聞けば聞くほど俺は悪い気がしてきてたまらない。

絶対、朝俺が怒らせたせいじゃないか。

もとはといえばな、白霜が悪いんだ………

と言いたいが我慢しておこう。


「どうしたらいいでしょうか??」


俺は思わず声を震わせながらオドオドと聞いてしまう。

悪いことをしたという自覚があるからだ。

しかし、起こってしまったことは仕方がない。


「なぜ、私たちに聞く?貴様は何者だ??」


俺は恐る恐る2人のフウカに近づいていく。


「俺は、ただの人間です。」


ポクポク……………………


「人間がどうしたんだ??」


「俺はフウカに気に入られています。なぜかフウカにこきつかわれています。それが楽しいのか?苦しいのか?はっきり言ってわかりません。ただ、生きてるなって実感はあります。

俺は今、この瞬間を生きてるなって時間があります。」

「新起…………」


「ははははははははははーー!!!!!」

「お主は何を言ってるんじゃ??」


なにやら大爆笑をされている。何か恥ずかしいことを言ったようだが覚えていない。

ちょっと感情的になりすぎてしまったかな。


「貴様、なかなか面白い奴だな。はっはっはっ。フウカも通りで気にいるわけだ。」


フウカの大魔王の記憶が具現化したものに、笑われている。

しかも、なんで俺が気に入られる前提なんだよ。


「たしかに、面白い子だな。フウカが好きそうな子だ。」


元神様の記憶をもつフウカ。

2人のフウカにも気に入られてしまった。


「僕たちは戻れるんでしょうか?元の世界線に?」

「あぁー、戻りたいと思えば、戻れるよ。」


うん?

戻りたいと思えば、戻れる?


「どういうことでしょうか?」



「その言葉の通りですよ。戻りたいと願うのです。願えばきっと帰りますぞい。」

元神様のフウカが教えてくれる。


願う??

俺は戻りたい。元の世界に戻りたい。

我ながらあの世界を欲しているようだ。

不思議なものだな。


戻りたい。戻りたい。

「フウカをよろしく頼むぞ。」

「可哀想な野郎だが。それもまた運だなwww」


神様、大魔王は俺に優しい言葉を最後にかけてくれた。


いや、ちょっと待てよ。このタイミングでもっとフウカのことを聞いた方が良いのではないか?

2人はフウカの、神様であり大魔王でもある。

1度目のフウカの人生での姿。本当はもっと聞くことがあったのではないか?

この機会を逃してしまって良かったのか?


まぁ、俺はいつも後悔をする人間である。


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