23話 誰もいない世界戦
俺はフウカより先に教室に着くことはできたが、どう謝ればサボったことを許してもらえるか考えたが、答えは1つしかなかった。
まぁ、1つしかないんだけど。
キーンコーンカーンコーン。
午前8時30分。朝のホームルームを知らせるチャイムとともに、
生徒達が一斉に遅刻にならないよう駆け込んでくる。
俺はフウカの席付近で、
精一杯の土下座をかます。
周りからはどのように思われていただろうか。
そのようなものは一切関係ない。
誠心誠意謝らないとフウカが地球を壊すかもしれないという恐れがある。
元神様、元大魔王の話は信じる。
だからこそ、しっかりと謝るのである。
「ぐふっっっ!!!!」
俺の頭に極度の圧力が付加される。
物凄い凄いスピードで、教室の床に頭をぶち当てられる。
しかも、俺の頭から足は離れない。むしろごりごりと押し付けられてしまう。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
「あんた、何サボってんのよ!!!!」
怒りの口調で物を言う。止まらない怒号。
うん?こんな怒号クラスメイトに聞かれたらやばいのではないか。
だって彼女は今選挙中だろ、クラスメイトの票は何よりもいるはずだ。
こんなの聞かれても良いのか?と頭を踏まれながら考えていた。
にしても、周りがやけに静かすぎる。
もっと笑いや、リアクションがあっても良いのではないだろうか。
なぜ、こうも静かなのだ。
そんなことを考えていると、いつの間にやら、頭から圧力がなくなっていた。
「祓野、早く席に着くなさい。地面に何かいるのか??」
俺は直ぐに顔を上げる。
「朝から何やってんの。」
「ばーーか。」
周りの生徒に俺はバカにされる。しかし、フウカに足を踏まれているみたいな話は1つもない。
俺の席の前にはフウカさんが座っているので、後ろのクラスメイトに聞く。
「いやっ、なんで祓野君が地面にひれ伏してたかはわからないよ。なんとなく意識が飛んでたんだよね。」
意識が飛んでいた??
それは俺の求めていた答えなのかもしれない。
なんとなく感じた。フウカが俺の頭をゴリゴリと踏んでいる最中、周りのみんな奇妙なくらい静かであった。
もしかしたら、フウカの何かの能力が働いたのかもしれない。
俺はそう感じた。
「1つ言うこと聞きなさい。それで許してあげるわ。」
フウカは後ろを振り向き、険しい顔ではあったが俺に言う。
俺は大きな声で返事をする。
「はいっ!!」
「祓野どうした??今日調子悪いのか??」
担任から注意に、みんな笑いを起こす。
踏んだり蹴ったりとはまさにこのことだろう。
ただ、フウカがどうやら許してくれた。
地球の平和は一応守られたと言っていいだろう。
21話 お昼。
2限が数学だったためか、思いのほか疲れた。
数式というものは、いつだって俺を疲れさせる。
しっかりとお昼は栄養をとって、少しの仮眠でも取ろうと………
「カミ、行くわよ!!」
「はいっ!!!!」
漫才くらいのボケとツッコミの速さで俺は瞬時に明るい返事をした。
神速のアルペジオとでも名付けておこうか。
はい、すみません。
フウカさんがそそくさと行くので俺もしっかりついていく。
「しっかりついて来なさい。」
「はいっ!」
怒られてばっかである。
そそくさと歩く中で俺に何やら渡して来た。
「これっ!!!」
俺にいきなり束を渡して来た。
ドスン。
俺の手の中にはそこそこの重さがかかる。
「えっ、なにこれ。」
俺は思わずきょとんとした感じになってしまう。
それくらいの圧倒的の圧力だ。
「配ってきてくれる。」
鋭い目線で俺のことを睨んでくるフウカ。
「はい。」
というしかない。情け無い俺ではあるが致し方ないだろう。
これでフウカに怒りが出ないならば何の問題もない。
1人、俺はお腹を空かせながらビラを配りに行く。
さてこれだけのビラを一体どうしようか。
誰に配ればいいだろうか?
いや、いっそのことゴミ箱に捨てた方が早いのではないか。
そう思う自分もいたが、見つかった時のリスクを考えると、踏み止まされた。
何とめんどくさいことだろうか。
俺はまず食堂へと足を赴いた。
この時間当然のように人は集まっているはずだ。
それが一番だと思った。
「はっ??」
俺は確かに食堂に来た。
ただ誰もいない。いつものように、食堂への需要が多く、人で溢れかえっているものだと思っていた。いつものように唐揚げの山盛りがあちらこちらに介在する、そのように思っていた。
人がいない。1人もいない。
作ってる料理のおばちゃんがいない。
いつも一生懸命、秒単位で一生懸命に作っているのに、
今日は誰1人として姿がない。
何が起きてるんだ。
「新起。」
何やら後ろから、ぼそっとした声が聞こえてる。
「あんたは、三森アカネ。」
静かな姿で、俺の背後に現れる。
あまりにも誰もいなかったためか、人が居るということに思わず驚いてしまう。
ただ、それと同時に嬉しさが体には溢れてくる。
「よかった。1人じゃなくて。」
フウカに生徒会用のビラを渡されてから、俺は誰1人として人を見ていなかった。
うん?待てよ。こいつは人間なのかと言われると少しの疑問が残る。
たしか、天使なのだろうけど、まぁ今はそんなことは良い。
逆にこのまずい状況をなんとかしてくれるのではないかと思った。
「これはフウカの奴が………」
三森はコクリと頷く。
「なんで、生徒が消えてるんだ??どこいったんだ……。」
「ここは違う世界空間。」
うん?世界空間?
何を言ってるんだ。俺は理解ができない。
「もっと詳しく、教えてくれ。わからない、世界空間ってなんなんだ??」
「詳しくはわからない。ただ、フウカ様の怒りが、私たちがいる空間を少しだけ捻じ曲げられた。」
捻じ曲げられた?
「これ、どうすれば戻れるんだ………。」
「えーーーと、わかりません。」
なにこの冷静沈着な子。
正直言って、今めちゃくちゃ危機的状況なのではないか?
みんなとは違う世界線に連れていかれて、どうすりゃいいんだ。
俺の2度目の人生は、ゆっくりと生きると決めていたのに
なんでこんなことになるんだよ。
あわよくば余生を楽しもうと思っていたのに。




