17話 擬似告白
ドキドキ感が募っていく。
なぜか俺が擬似体験とはいえ、2人の女の子に告白されることになったのだ。
生徒会選挙の応援演説を巡って、俺は空歌フウカの応援演説をするのか、
もしくは可愛いぶりっ子白霜アカリにするのか選ばなくてはいけないらしい。
まぁ、ありがたいといえばありがたい。1回目の人生では、そんなことはなかったからな。
だが、恋愛感情のない中で、行われるのもどうか思う。
白霜に関しては騙されてはいけない、目を合わしてはいけない。
はたして俺は選ぶことができるのだろうか?考えるな、告白はどちらが上手いのか冷静に判断すれば良いんだよ。考えるな、2人の人となりなんて考えるな。冷静に判断するんだ。
なんだこのドキドキは、心臓がつかまれる気持ち。
白霜あかりが俺の前にゆっくりと歩みを進める。頬を赤く染めながら、もごもごとした手の動きで白霜の緊張感というのも伝わってくる。俺の身体も自然と熱くなるのがわかる。こういうのって非常に楽しいといえる。ドキドキする感じ心地よい。
白霜と目が合う。大きな瞳、笑っている。俺もうすっらと笑うことで・・・・・・・
「私は、祓野新起を銀河の誰よりも愛します。」
銀河・・・。すごく語調に飛んだ言葉を使ってきた。日本でもなく世界でもなく宇宙でもない。銀河レベルの広さの恋だというのか。思わず俺の頬は赤くなってしまう。なんだろう。胸がドキドキする。
銀河というキャッチーな言葉に、重さは感じない。ただただうれしかった。
「ありがとうこざいます。」
俺は丁重に白霜あかりに感謝の念を送る。心が晴れやかなものになった。
なんだろう嘘だとわかっていても、嬉しい言葉を言ってもらえることはなんとも嬉しい。
「えへへへへ。自画自賛してしまう。我ながら良い告白だったね。」
自画自賛してしまうのはどうかと思うが、身長が低いということを最大限に活かした上目遣い、可愛らしい声、白霜の能力を最大限に活かしたものだろう。実に素晴らしい。
ただ、やはりこのような猫を被った女の子というのは、わかっていても好きになってしまう。
白霜が良すぎるのか、どうもこの子が可愛くて見えて仕方ない。
1回目の人生の時なんかにこんな子はいなかったからな。
どいつもこいつも俺のことをバカにするような人間しかいなかった。
少なくとも、そのような視線で俺のことを見てくるというのがわかった。彼女は、誰にでも優しいだけの女。優しいから俺にも話しかけてくる。それがなんとも俺は嬉しかったのだ。だだ、その優しさは男の俺にかんじがいを産んだ。白霜もそのような人間なのだろう。
「次はフウカちゃんの順番ね。」
白霜は
俺は正面にフウカを向かい入れる。
周りからの熱い視線というのも感じる。
「コホン、コホン。」
とフウカが咳払いを始める。やはり、彼女にも緊張感というものがあるのだろうか。
ただ、そうは言っても俺はさきほどよりも多大なる緊張感を持っている。
フウカが俺に目を合わせてきた。な
手を後ろに組み、なにやら女性らしいポーズを取っている。
「それでは、フウカさん。よろしくお願いします。」
今永の開始のゴングとともに、ともにフウカの本気モードへと
「カミ。私はあんたのことが大、大好き。だから、私と付き合いなさい。」
ストレートにぶつけてきた。直球ど真ん中、演技とはいえ正々堂々としている、フウカらしいといえばフウカらしい。
ただ、俺の感想から言うと、気持ち悪いと思ってしまいました。
フウカらしいさというものは残っていたかもしれないが、告白なんてものは似合っていない。気持ち悪いなと思った。面白半分で言っているのですはない、まさに似合ってないからこそ言っているのである。
「ありがとうございます。」
おそらく俺は怪訝な顔で言っていたかもしれないが、普段こき使われているから許されるだろう。
「はぁ、本当にあんただるいわね。うざいわぁー。」
キリッとした厳しい目で俺のことをフウカは見てくる。
怖いです。




