16話 応援演説戦争2
「ちょっと2人とも、落ち着いてくれ。」
俺は一応その間をとぐように工夫をかます。しかし、2人は鬼のような視線でこちらを向いてくる。
「新起黙っときなさい。」
「えっ??」
フウカは俺の口元にパンチを一刺ししてくる。床にひれふせれてしまう。
俺が口を開いた途端にこういうことになるから嫌なんだよね。
「あらーーーー、かわいそうーーーー。新起君、大丈夫ですか?」
白霜は俺を優しい目でみてくれる。しかし、見ているだけで楽しんでいるだけのように俺からみれば思える。この女は、フウカの言う通り俺に興味があるというわけではない、フウカに勝つということを一番に考えているのではないか。白霜の少しよどんだ目は、そのように言っているように感じた。
「私が、新起を殴る分にはいくら殴ってもいいのよ。」
いや、良くないから。俺の身体はサンドバックではない。
「じゃあ、フウカさん勝負しましょうよ。正々堂々と勝負して、どっちが新起君にふさわしいのか選んでもらいましょう。」
いきなり白霜は言う。その言葉に驚きしかない。
まさか、そんな見え透いた挑発にフウカがのるわけ・・・・・
「勝負楽しそうね。いいわよ。」
のった。のってきた。簡単にのってきた。
「いいわね、フウカちゃん。ノリが良いところ好きよ。」
「ありがとうね。」
再び2人はお互いに怒りというものを隠して、笑いあっている。お互いにまさぐりあっている女というのは本当に怖い。太陽が昇らない地域並みの不自然な光景である。
「どうしましょうか?ゲームで勝負とかはどうですか?」
「ゲーム??レースゲームなら申し訳ないけど絶対に勝つわよ。」
いや、たしかにフウカレースゲームすきそうだけど。レースゲームで決着つけて大丈夫なのか?
白霜は人差し指を俺たちの方へと向けて、違うといったさすんだ表情で見てくる。
「ずばり、告白ゲームです。」
告白・・・・・・俺は高所恐怖症です。高いところが怖くてしかたない。足の震えは止まらないし、誰かに威圧されているような気分にされてしまう。俺は苦手だ。
「告白・・・私はちくわが嫌いだけど。」
「ちーーーがーーいまーーす。愛を告白するんですーーー。」
愛を。愛を告白するだと。フウカが愛を告白するだと。
「ああぁーーね。こいつに告白すればいいってことね。わかったわ。」
なぜかフウカはやる気満々である。もう少し抵抗をもってほしいもんだ。
「よし、そうと決まればさっさとしましょー。どっちがカミ君に選ばれるきゃ勝負です。」
なぜかこの2人は、俺に関する話になると意気投合するのはなんなのだろうか。
仲良くしてくれるのはうれしいが、俺は迷惑だ。
「おい、フウカ・・・嫌ならそんなことしなくてもいいんだぞ。」
フウカが愛の告白を俺にするだと、その後のことを考えると、なんとか回避したい。これが終わった後フウカがどれだけ怒るのか、八つ当たりが起こるのか想像に難くない。
「はっ!!あんたに心配される筋合いなんて一ミリもないんだけど。」
めちゃくちゃフウカさんは俺にキレてくる。やつあたりである。
俺泣いちゃいそうです。
本当にフウカはプライドが高い女である。一度戦いに乗せられてしまうと、すぐに戦いを挑みたくなる。
それが空歌フウカなのである。
「カミはね私の下僕なわけよ。だから、わかってるわよね。」
と公的にアピールしてくるあたり怖い。
「新起君は、私の方が良いよね。ね?」
1人は権力をふりかざし、1人は己の可愛さをふりかざしてくる。
お互いに己の武器を使っているなという感じである。ただ、1人に関しては権力なんてものを使わないで欲しい。
俺たちはお互いに1度死んだ身なんだぜ。フウカさん。
同級生みたいなもんじゃないか、それなのに主従関係ができるなんて悲しいよね。
本当にね………フウカならではって感じ。