15話 応援演説戦争1
「えーーーー、それではみなさん。選挙活動がんばってください。」
岡本先生は、すごく疲れたような様子で、最後の声を振り絞った。そして、部屋を後にした。
「新起君、またね。また、楽しいお話しようよ。」
今永は、おれにかっこいいポーズをなびかせて、こっちを見る。男のおれからみても、イケメンである。
今永は三森のとこにいき、教室をでていく。
「それでは、祓野君。また。」
「ああ。」
眼鏡をかけた女の子・・・・・・名前がやはり思い出せない・・・・・。
その子はそのまま浅倉のとこにいき、そのまま部屋を後にする。
思い出せないことはイライラするが、ぐっとこらえる。
俺は後ろから、フウカのいるところへ向かう。どうせ今からでも選挙活動のなんかをするのだろう。こいつのことが少し理解できてしまったのかもしれない。吐きそうだ。
「おい、フウカ。帰っていいのか?」
すごく疲れた風に声を出して、なんとか帰れるようにな方向に仕向けたい。
「ちょっと、待ってください。祓野くん、少しお時間いただけますか?」
白霜が丁寧な口調で、俺の目を見て話している。疲れたという感じさせないところが、白霜のよさだ。
可愛らしいというしか他にない。思わず目をそらしてしまう。
「どうしました、白霜さん?何か用事が?」
「私、応援演説してもらえる人がいません。」
いきなりなにかと言われたら、応援演説のおさそいか。なるほどね。うん?
「応援演説?」
「白霜さん、何を言ってるの?カミは、私の応援演説なのよ。」
うん?なにやら不穏な空気が流れいる?
「いや、新起君は嫌がってるみたいじゃない。フウカさんの応援演説嫌なんじゃない。」
フウカが俺のことを睨みつけてくる。なんという、威圧感だというのか。
白霜の方を見るが、笑っている。しかし、それが逆に怖い。
「友達とか、他に誰か頼める人はいないのか?」
「いえ1人もいません。」
そんな即答で答えないでくださいよ。白霜よ俺の方を見ながら言うのをやめろ。
俺も視線でなぜ君はこっちを見てくるのかと返す。
まさにテレパシーの会話である。俺には、そんな超能力はないがな。
「本当に1人もいないか?お前なら友達くらい・・・男どもなら・・・」
「いません。」
笑顔で否定してくる白霜。笑顔で「います」といっているようなもんだ。
もちろん俺も男だ。こんな可愛い子のために良いところを見せたいと思う。
ただ、俺はこの時に思い出してしまった。
このような目をずっと合わせてくる女の子にも気を付けなくてはならないということを。
1回目の人生の時、俺は良く目を合わしてくる女性がいた。
その女性は、俺とは話さない。話すような仲の良い関係ではない。ただ、視線を合わしてははずす。
弄ぶように俺のことを。目を合わせることで俺は彼女のことを好きになっていた。
高校生の男子とは、なんと初心な存在なのだろうか。目が合うだけでドキドキするなんて。
そんなある日、ほとんど話したことない女の子に俺は告白をした。
「好きです。」
「えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きもっ。」
その日から、俺の高校生は何もない平和から、女子から冷たい視線でみられる悲しみの時代が訪れた。
トラウマとは、なんとも怖いものだ。女子と目が合わせるのは怖い。
そのはずだったので、なぜか俺はまた同じ過ちを繰り返そうとしてしまっていた。
「白霜・・・申し訳ないけど・・・」
「あんた何言ってんのよ!!カミは私の応援演説するのよ!!!」
珍しくフウカは語気を荒げる。いや、そこは俺に語らせて欲しかったとこではあるが。
「フウカさん、そんなに怒らないでください。私は新起君じゃなきゃダメなんです。」
「白霜・・・」
「カミはもう私の応援演説をするって決まってるのよ!!!!」
なにやら良くない感じになっていないか?
もうこの教室には俺たち3人しかない。誰かに助けてほしい状況ではあるが、どうしようもない。
まさか、こんなことがあろうとは良いのか悪いのか正直よくわからない。