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11.5話 フウカと白霜アカネ

その日の放課後、生徒会候補の名前と写真が貼られたものが貼られた。

フウカが見たいと言うもんだから、1人でいけば良いとは思ったのだが、なぜか俺もついて来いと言われてしまった。


放課後にいきなり職員室の前へと出向く。

あまりにも早くいきすぎて、誰もいなかった。

ただ、掲示板にはきちんと貼られていた。


4人。


その掲示板には、4人が並んでいた。

うん??

俺は、そこに空歌フウカがいたから驚いたわけではない。


さっきの可愛い女の子が、そのポスターにいたからだ。

俺が恋をした女の子がそのポスターにはいた。


白霜アカリ。あの女の子の名前………


「キモっ!!!なに、あんたまた変な顔してるわよ。」

「いやっ、違う。俺は通常の顔をしている。」


名前を知れたことに、自然と心から喜びを感じてしまった。小学生なのかな俺は。

本当に悲しい男である。


「私、いるいる。ここにいる。なかなか良い出来だねー。」

フウカはうんうんとうなづいている。まぁ、全て俺が作ったものなのだがな。フウカはさも自分が作ったポスターかのように納得していた。



「すみませーん。見せてくださーい。」

後ろから可愛い声が聞こえてきた。


「あっ」

目の前に映る女の子は、再びの運命の出会いという奴だった。

こんなに早く出会えるなんて、ここに来てよかった。

「あなた、何よ。私が悠然と見ているでしょ。邪魔しないでよね。」


フウカは暴言を吐き出した。俺の恋した人に、なんてことを言ってるんだ。フウカの暴挙に俺は許すことができない。


「すみませーーん。私も写っているものを見たいと思いまして。」

「そうだ、そうだ、フウカ少しは自重した方が良いんじゃないか。」


俺もなぜかそこに加勢をする。愛する人のためであろう。


「うん?あんたも、生徒会長に立候補するの?」

「はい。空歌フウカさんですよね、生徒会長に立候補しますよね。」

「あんた、この写真の人ね。」


フウカは白霜♡の顔を見ながら、ポスターに指をさす。


「白霜アカリ………、あかりんね。あかりんって呼ぶことにするわ。」


あかりん。っていきなり馴れ馴れしいやつだな。フウカの積極性というものには感嘆せざる得ない。


「あかりんです。フウカさんよろしくお願いします。」

笑顔で、受け答えをする白霜。可愛くて仕方がない。


「あかりんも、綺麗に写ってるね。」

「そうですかー。ありがとうございます。フウカさんも綺麗じゃないですか。」


なんだこの女同士のイチャイチャは。

それを、横から見ている俺もどうかと思うが。何かいけないものを見ている気がする。


「あらー、そうかしら。お互い生徒会長になれるよう頑張りましょう。」

フウカはそう言って、白霜さんに握手を求める。快く握手を受け入れる。

お互いに両手で握り返す。こういう時、男同士なら片手で握手をするものだろう。政治の場でもそのようにすると思うが、この2人は手を絡めていた。いやらしい。


「じゃーあ、またね。フウカちゃん。」

白霜はそのままその場を後にした。


彼女はその一部始終、俺とは目を合わせなかった。

わざとなのだろうか。

さっきは見せた、帰り際の視線もない。この会話の間、一度目が合わなかった。白霜はフウカのことばかり見ていた。


これは、わざとなのだろーか。今度はあえて冷たい態度を俺に取ることによって、意識させるという恋愛における高等テクニックなのではないか。

なんと可愛いこだろう。好きです。好きです。


「あの娘、なかなかやるわね。」

「えっ?」


フウカが何かを呟いた。その表情は、何かの鬼に乗っ取られてたかのような怖い顔をしている。白霜と話していた笑顔とは明らかに違う。


「どうした、フウカ。そんなに怖い顔して………」

「いや、今の女。一回も本音で私と話さなかった。」


うん??本音で話さなかった…………


「どう言うことだ?」

俺は理解することができない。困惑する様子に、フウカは一笑してくる。


「ははは、あんたあの女のこと、まさか好きになったんじゃない。はっはっはっ。」


ギクッ!!!!

俺は思わず心臓を押さえてしまう。フウカに胸のうちを見切られて苦しくなってしまった。


「やめときなさい。あの女は表と裏がある。」

「なんで、そんなことわかるんだ?」


女の勘ってやつよ。



フウカはそのように雑に言いたげであったが、


「あかりんは、演じている。男の前なら、可愛い女の子を。私の前なら、強い女の子を。私を見ていくる彼女の目は勝負師の目をしていた。もっと言うなら、私を殺そうとしていた目だったかもしれない。カミには、可愛い大きな女の子の瞳を見せていたかもしれないけど、私には明らかに違ったわ。」


すごく真面目な口調で冗談をフウカは言ってきたと思いたかったが、いたってしっとり話をする。何も言い返すことはできなかった。


白霜は可愛い。好きだ。いわゆる一目惚れなのかもしれない。

しかし、フウカの言葉は俺に重くのしかかった。






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