11.2話 3人目の生徒会長
キーンコーンカーンコーン
昼休憩がやってきた。朝早くから起こされている俺は流石に疲れ果ていた。
フウカは何も言ってこない。
俺は寝るか、売店に行って昼飯にメロンパンを買うかで天秤にかける。
朝早く、そのまま学校に来てしまったため、食べものは何も持っていなかった。
後ろを少しだけ見る。
フウカは、コンビニの袋から、焼きそばを既にすすっている。
やけに、美味しそうに食べるから腹立たしい。
俺は寝るということをやめ、購買に行くことにした。
フウカを見ていたら腹立たしくて、そしてちょっぴり羨ましかった。
購買部には、たくさんの生徒がいた。
俺は朝一から働いているんだぞ!!!!!と言って、並んで列を抜かしてやろうかと思ったが、それは俺の人道に反していた。フウカみたいなことはできない。
10分ぐらい行列を並んでいただろうか。やっと、俺の番が回ってきた。
目に映るのは、メロンパン1個とチョコレートパン10個、カレーパン12個がある。1レーンに5個づつ入っているから数えやすかった。
この状況を見てあることを思い出した。天海高校のメロンパンはサイコーらしい。昼休憩が始まると毎日、毎日、売り切れる伝説のメロンパンだ。
そのメロンパンが今1つだけ目の前にある。ここで、選ばない男がいるだろうか?いや、いない。
反射的に俺はメロンパンへ、右手を動かす。
その時だった、俺の心がドキッとした。
メロンパンを取ろうとした手が、綺麗な手と触れ合ってしまったのである。
「あっ!」
思わず見てしまった。その子は女の子。しかも、可愛い。
大きな瞳に、肩幅にきちんと伸びたふわふわした髪の毛。
一瞬で吸い込まれそうになってしまう。
恥ずかしくて思わず目を離してしまう。
「あっ、ごめんなさい。」
「あっ、いやこちらこそごめんなさい。」
俺は思わず謝ってしまう。
その女の子は、メロンパンへと視線を持っていっている。俺はどうしようかと考えた。
この状況を整理した時に、いまは確実に俺の番だ。俺はしっかりとここまで並んできたのだから。しかし、いきなりこの女の子の手が横からやってきた。
これは一種の割り込みという奴ではないのか?
後ろに、こんな綺麗な子はいなかったように思える。
「すみません。どうしてもメロンパンが食べたくて。」
その言葉とともに、俺の右手は彼女の両手で握られた、一瞬、何が起こったのかもわからないかったが。彼女は上目遣いで俺のことを見てくる。
この、心がドキドキとする感じは一体なんなのか?
「あの、もしよろしかったから、メロンパンお譲りしますよ。」
「えーーー、いいんですか。ありがとうこざいますーーー。」
あっ?
そう言うと彼女は、購買のおばさんに120円をすぐさま渡して、メロンパンを手にした。そして、俺に微笑みスマイルをかまし、
「すみませーん。」
俺よりも後ろの人に一礼をしてその場を去る。
「ありがと。」
俺に聞こえるか聞こえないかの声で彼女は呟いた。そして、少し離れた所からこちらを振り返り笑顔で俺に手を振る。その姿はまるで、俺のガールフレンドかのようである。
「あんた、パン買うの?」
あっ、見惚れていて本来の目的が浮遊していた。購買のおばちゃんに怒られてしまった。
俺は多く余っていたカレーパンを2つ手に取り、すぐさま教室へと戻る。なんだろうこの胸のドキドキは、今までにない感覚で………
「なに、にやにやしてんの。キモいんだけど。」
「あっ?」
フウカに突っ込まれてしまった。ただただ恥ずかしい。
「ただでさえ、変な顔してるくせに、今はメロンパンの中に納豆が入っているような顔してるわよ。」
「メロンパン!!」
思わずメロンパンという単語に反応してしまう俺。フウカの頭にはクエスチョンマークが浮かんだ顔をしてしている。それゃ、そうだよな。
俺が恋心に目覚めるなんていつぶりだろうか。
あれ?恋心?
なに、なに。俺そんな気持ちになってんの。1回出会っただけの女の子に恋しちゃってんの?
どうした?どうした?
「キモい!!」