霞と碧のコンビは面白い?
どうやっても上手く書けない。
そして目が痛い。
「ドーナツ旨し」
現在の俺は、ドーナツを家のソファーでモグモグと食べていた。
「抹茶旨っ」
口内炎にならぬよう、口の中を噛まないようにしなければ。
鶴乃の捜索をした次の日の金曜日。
いつも通り、起きて学校へと向かった。
坂の途中で鳴海が声をかけてきた。
・・・・・・っと、あら?珍しく鳴海の頭に寝癖がついていた。
「ああ。今日寝坊した」
お前が寝坊?世界終わんじゃね?
「お前は、俺をどんなやつだと思ってるだよ」
どんなやつって、完璧超人なやつ?
「何故疑問形?いや、そこはいいとして、別に完璧超人ではないぞ?過大評価するな」
過大評価というかなんというか。過小評価するのも無理だし。
「いや、極端なのさ」
そう言いながら、ズボンの左ポケットからティッシュを出して鼻をかんだ。・・・・・・風邪でもひいたか?
「何が極端なんだよ」
「極端というのもまた極端なんだが。完璧超人って、全てが隙間なく超人なんだよ。ということは、だ。何かひとつでも完璧ではなかったら、完璧超人とは言えなくなる。つまり、俺さ」
なんでよ?なんでもできるじゃん。
「そこが極端に過大評価し過ぎなんだよ。俺にだってできないことくらいある」
え?あんの?
「俺も人間だ。一つや二つくらいできないことぐらいある」
・・・・・・あははっ。ご冗談を。
「ご冗談じゃない。俺にだって苦手なのくらいあるに決まってんだろ」
「決まってない」
「いいえ、決まっています」
鳴海が言い切る。
じゃさ、言ってみなよ。
坂の終わりが見えてくる。
「えっと、トマトが嫌い」
あー、そういえば、そうだったな。そして、俺も嫌いだ。
「外に行くくらいなら、死んだ方がましと思っている」
スポーツ出来るくせに、インドア派だもんな。俺もだけれど。
「夏は、腹痛がすごい」
果たしてそれは、関係あるのだろうか。
「あるだろ。完璧超人は、腹痛などない」
それだと、完璧超人って希少な人間になるぞ。
「元々、完璧超人は希少な人間だ」
そういうもんかね。
くだらない話をしている内に学校に着いた。
◇◇◇
「かーすーみーくーん!」
あ。目の前から、大きなおっぱい──がああああああッ!!
もぎゅもぎゅ。
ぷにぷに。
ぽにょんぽにょん。
俺の顔がおっぱいに埋もれた。
なにこれ。柔らかすぎでしょ。
てか、なんでこんな状況になったんだっけ?
確か、学校着いてから教室に行って、それから、一人でトイレに行って・・・・・・目の前から大きなおっぱいが──って補足してもよくわからないッッッッ。
「やや、どうしたのかなぁ?」
大きなおっぱいが顔から離れる。
おっぱいの代わりに覗かせたのは、女子の顔だった。
「っとわっ!」
俺は、後ろに一歩下がり、ふらついて尻もちをついてしまった。
「あらら、なにしてんのっ」
そう言って俺に顔を近づけてくる。
「碧さん、顔を近づけないでくださいよ。ちょっとは、女の子らしくですね!」
と言っても、この人は聞かないか。
「のんのん!女の子だからだよっ」
いや、意味わからん。
この人は、陸山碧。高校三年生で俺の先輩である。
碧さんは、この学校にある美少女ランキングで二冠をとった美少女の中の美少女なのだ。
漆黒の長い髪は結ばずに凪がし、そしてその髪には艶があり、しかし、光を弾かない。
最後にやはり目がいくのは、大きなおっぱい。さっきも経験したが、彼女のおっぱいは非常に柔らかい。
そんな彼女と俺が知り合いなのは、どう考えてもおかしいことであり、その原因のひとつは、俺の姉さんだ。
姉さんは今、二十歳で碧さんのひとつ上だ。姉さんは、この学校出身で碧さんとは文芸部の部活仲間、先輩後輩だったらしい。
今でも付き合いはあって、その流れで俺も知り合ったわけだ。
「と、取り敢えず離れません?他の生徒の目線が痛いんですけど」
「えー?わたしは痛くないけど?」
当たり前ですよ!痛いのは、俺だけです!そう、物理的にではなく、視えない何かによって!これはつまり、目線での精神攻撃!
「それはともかくとして、ですね」
ともかくとかそういう問題じゃないんだけど!一番解決したいんだけど!
「今日は朝っぱらから、どうしたんです?」
「どうもこうも、鶴乃っち、行方不明だって聞いたからさー。どうなんだろうと思ってね」
なるほど。そういうことか。心配しているですね。
「捜査の方は、そこまで進んでないらしいです」
「む~。鶴乃っち早く帰ってこないかなぁ」
「ほんとそうですね。心配ですよ、俺も」
「はぁ・・・・・・・・・・・・、鶴乃っちの頭撫でたい・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・あー、聞こえなかったなー。うん、そうだな、今のは聞こえなかった。
「・・・・・・・・・・・・んう、はぁ・・・・・・・・・・・・、あのさらさらの髪を撫でたい・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
んん!ゴホンッ。OKOK。話はそれだけか。それなら。
「それじゃあ、教室に戻りますんで────ぅぐえ!」
んの!この人、襟引っ張りやがったぞ。死ぬぜよ。
「何すんですか。痛いですよ」
「何って、どこか行こうとするから、止めたんだけど?」
どこかってそりゃ、教室にですが。あと10分程でHRが始まるんで。
「まだ時間あるじゃない」
・・・・・・まあ、そうなんですが。
それで、何用なんです?それ次第で行きますけど。
「大したことじゃないんだけどね」
そう前置きして、口を俺の耳元にもってきた。
ちょーっ!この状態はヤバイですって。色々と!
すぅー、はぁー。これが女子の匂いか・・・・・・・・・って、何してんだ俺。変態かよ。自分で言うのはなんだけど、キモいよね。あれれぇー?俺ってば、こんなやつだっけ?まぁ、いいや。
そんで、耳元で言わなきゃいけないことってのは何だ?
「最近、この街に魔術師がうろちょろしてるのよ」
何でまたこの街に?何もない筈だし。
「そうでもないっぽいよ」
そうでもないっぽいってことは、何かがあんのか?
「んーと、何かがあるじゃなくて、いる、らしいのよ」
誰だろうか。魔術師が欲しがる、或いは、殺んなきゃいけない相手て。
「聞いたことある?呪文を唱えないで魔術を使う人のこと。もしかしたら、魔術じゃないかもしれないけど」
それなら、聞いたことあるぞ。でも、海外じゃなかったか?
廊下から教室にある時計を覗く。
うむ、あと五分か。そろそろ切り上げないと。
「・・・・・・碧さん、今日空いてます?」
「あら、デートのお誘い?」
そうからかいながら、耳元から離れていく。
てか、危ね。碧さんがもうちょっと声を大きくしたら、廊下にいるやつに聞かれるところだったわ。
「違いますよ。今の件についてで話したくて」
碧さんは、なーんだ、と面白くなさそうに呟いた。
「うん、いいよ。昼休みでいい?弁当食べながら」
おお!こんな美人さんと昼飯を食べられるなんて。
「美人だなんてそんなお世辞要らないよー?」
「いやいや、お世辞じゃないですって」
事実である。決して嘘ではない。
「どこで食べます?」
「文芸部部室でいいかな?」
いいですよ。
「よし、オッケー・・・・・・・・・む?・・・・・・・・・・・・って、あ。時間やばっ」
碧さんが教室にある時計を覗いて見る。
あー、ほんとだ。ま、すぐそこだからいいんだけど。
「碧さん、早く行った方がいいですよ。怒られます」
怒られるの嫌だー、と言いながら碧さんは走っていった。
さて、俺も行くか。
と思ったところで、俺以外廊下にいないことに気付いた。
ヤバイなこれ。
直後、HRを知らせるチャイムが鳴った。
◇◇◇
一時間目の数学が終わった。
数学は、クラスで二つに別れてするため、教室か別の教室でやることになる。
俺は、別の教室でやるメンバーで、実習室1というところにいた。
疲れたー。
机に突っ伏したいのだが、自教室ではないためできない。
「教室閉めるから」
数学担当男教師の池田がそう言った。ちなみに名前がわからない。いやだって、すぐになんて覚えられるわけないじゃん。
「さて、行きますか」
出口に向かう。
出口には、晴山零が立っていた。
晴山は、中学からの同級生で気づいたら何気に話していたやつだ。特徴は、眼鏡かな。黒縁の眼鏡。
「んじゃ、行くか」
晴山に声をかける。
鳴海は教室メンバーの為ここにはいないのだ。そして、今はいないけど、鶴乃も教室メンバーである。いや、ここは同じにしろよ。
教室を出るとき、黒板を爪で引っ掻いた音がした。どうやら、黒板消しをしていた男子生徒が誤ってしてしまったらしい。
ここで男生徒と言ったのは、単に名前がわからないからである。他中のやつのことなんか知るか。
実習室を出て右に曲がる。廊下には一年がぶわあーっといて、スムーズに通れない程。ガヤガヤ、と五月蠅い。
そんな中、晴山が次の授業を聞いてきた。
「んと、次は・・・・・・・・・確か、国語じゃなかったっけ」
国語かー、と呟く晴山。
え、なに、国語嫌なのか?得意だったよな?
そう聞くと、晴山は「んーと」と、話し始める。
「国語ってさ。『問題』を『解く』ってのが主な授業内容じゃないでしょ?」
言われてみればそうだな。
「基本的に、『物語を理解する』ってのが主な授業内容だと俺は理解してるんだ。『物語』の中に出てくる『覚えなければならないこと』ってのは、『問題』じゃない。つまり、国語という授業は、『問題を解く』というより『物語を理解する』ものなんだよ。
ただ、それだけが国語の授業じゃない。それは単に主な授業内容であって、その他の授業内容、つまり、『サポート』となる勉強がある。それが漢字とか文法とかだよ」
ああ、そうか。『サポート』の勉強に『問題を解く』ってのが入ってんだな?
「そういうことさ。
国語という一つの勉強の中に、二つの勉強が入っている。
・・・・・・とは言っても、誰も考えないんじゃ、ある意味がないかもね」
そうか?あってもなくても考えないのなら、あっても邪魔にはならないけど?
「そういう考えもあるのか」
もう一つの方は、どういう考えなんだよ。
気づく自分の教室の前にいた。
あれだな。話しているといつの間にか到着してました的なあれだよね。よくあることだ。
さて、と。次の授業は国語ということで、廊下にある鍵付きロッカーに数学の教材をしまい、代わりに国語の教材を出す。
「あー、腰痛て」
そう言いながら教室に入り、席につく。
俺のロッカーは下の方にあるため、しゃがまなければならない。そうなってくると、年中腰が痛いと言っている俺は、しゃがんでから立つと、腰が痛くなるわけで。毎回「腰痛ぇー」と言っている。慣れはしない。
まあ、それはいいとして。
やっと一時間目が終わり、二時間目である。
何故こうも時間の流れが遅いのかねぇ。
不思議である。
窓を開ける。
すると、涼しい風が入ってきた。
春だねぇ~。
そう呑気なことを思っていると、予鈴がなった。それとほぼ同時に、女教師が入ってくる。
さあ、眠い眠い国語の始まりだ。
◇◇◇
昼休みである。
あっれぇー?おっかしいなぁ。二時間目から一気にとんだぞ?
と、思ったとしても、何も言わないでくれ!しかも俺に!作者の都合だから!
・・・・・・・・・って、作者誰だよ。てか、いんのかよ。その前に誰に言ってんだ、俺。まあ、いいや。
そう、昼休みである。
碧さんとの約束があるため、すぐに教室を出なくては。
俺は、鳴海のところに行く。
「鳴海ー」
「ん?なんだ。飯か?」
「あーんーと、その事なんだけど。俺、ちょっと用事あるから一緒に食べられねぇわ」
「ほう?先生から呼び出しくらったか?」
何か悪い方の呼び出しって意味で聞こえたんだが。
「そのつもりで言ったが、何か?」
隠すつもりねぇのかよ!
「隠すも何も、呼び出しっていったら、悪い方しかないだろう」
いやいや、皆がそうなわけないだろ。
「──お前の場合」
俺かよ!?
「お前限定」
なんという嫌な限定!
「ま、兎に角、そういうことだから。じゃ!」
とまあ、長引きそうだったので、無理矢理終わらせる。
席に行き弁当を鞄から出し、教室を出る。
特別棟は、全三階で、東棟と西棟に別けられている。東棟と西棟は、全ての階にある東と西を結ぶ廊下によって通行が可能。別れていると言っても、行き来できないわけではないのだ。
その中で文芸部部室は、東棟の一番奥に位置していた。
ほとんど生徒も先生も来ないようなところだ。
別に祟りとかそういう感じのことで寄り付かないというわけではない。
単に、西棟の方に部活が集中していて、東棟には数部活しか入っていないからというだけにすぎない。
何故、西棟に部活が集中したのか。
少し深い意味に聞こえるように言ったが気にするな。そうしたかっただけだから。祟りとかないから!
んと、西棟の話だっけ?
東棟より西棟の方が教室棟に近いから、という理由により、西棟にばっか部活が集中したのだそうだ。
それだけのことなのだ。
この世界において、他に意味があるのではないか、と思ってもそんなことはない。ただ、脳がそう判断しただけで現実では、起こりはしない。それが世の常。
コンコン
俺は、文芸部部室の前にいつの間にかいた。
取り敢えず、ノックをした。
「入ってきていいよー」
中から呑気そうな碧さんの声が聞こえてきた。
ふむふむ。この部室で着替えとかしてたり?
・・・・・・っと、あぶね。想像したら鼻血が出そうだった。自重しないと。その内、鼻血がぶしゃあー、って出てきそう。
「入りまーす」
何となくそう言わないといけない気がした。
ドアを開け──
「って、ちょっとまって!」
──た。
がらあ、と。
開けた。いや、開けてしまった。
そして見てしまった。
上半身裸の碧さんを。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
目と目が交差した。
・・・・・・何か気不味いんですけど。何か言った方がいい?
「あのぅ・・・・・・取り敢えず、前、隠しません?」
そう俺は、言ってしまった。
碧さんは、下を見る。
そこには、何も隠すものがない状態下にある大きな胸が。
はざっと、両腕で隠すも、ぷにょんっと、はみ出る。
碧さんの顔がみるみる赤く染まっていく。
うつむいた状態でもハッキリとわかった。
茹で蛸みたいになっていた。
そして。
「ぎ」
「ぎ?」
「ぎゃあアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァあァァァァァァァァァァあァァァァァァあァァァァァァァァァアアアアッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!」
昼休み開始約十五分。
特別棟東棟は、えげつない声量の叫びが響いた。
このままだと長くなるので切ります。