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吸血鬼少女たちの最期の戦場  作者: 兎乃鬼ぃちゃん
第一章 排除篇
7/14

ヘアピンがなければこの話は成り立たない

目がああぁぁぁ!!

というわけで短いです

 鶴乃から連絡が途絶えて三日が経った。

 家にも連絡がないらしく、当然その姿もなかったそうだ。

 帰っていないとなると、誘拐や考えたくもないが、殺害された可能性も否定は出来ない。

 昨日、鶴乃の親は、行方不明届けを出しに行ったとのこと。


「しかし、何故鶴乃が・・・」


 そう喋り出したのは、横を歩いていた鳴海だった。

 俺たちといえば、学校をサボって街をぶらぶらしていた。


「いや、ぶらぶらしているわけではないのだが」


 そう言い出したのは、やはり鳴海である。

 そう、別に二人してサボっているわけではない。俺はいいにしても、鳴海の優等生(やつ)は、サボるなんぞしないのだ。


「しっかしまぁ、あいつを探すっつってもなぁ。俺たちに何ができるってわけでもねぇし。ちったぁ、証拠でも落ちてりゃぁいいんだけれど」


 ──俺たちは今、鶴乃の捜索中である。


「ぐちぐち言うな。お前から言い出したんだろうが」


 そうですが!それがなにか!だって、そうは言っても見つからないんじゃ、ねぇ?こうもなるよ。

 たっくよー、どっかの変態野郎(貧乳マニア)の仕業じゃないのかな?

 因みに鶴乃は、貧乳である。あいつには、絶対言うなよ。これまでその話題に触れてなかったからさ。そっとしておこう。


「ほんとなんで鶴乃なんだ?」


 誘拐や殺害されたとは、限らないとはいえ、不安なのは変わらない。

 


 捜索開始から、二時間。現在の時刻は、十時ジャスト。


「鳴海ぃー。そろそろ切り上げよう」


 俺は、道の隅っこでなにやらゴソゴソしている鳴海に言った。

 ねぇ、なにしてんの。


「諦めが早いな、お前」


 しゃーないだろうが。所詮、子供のやることだ。警察でもなんでもねぇーやつだからよ。なんもできんのよ。あとは、警察に任せよう。


「まぁ、そりゃそうなんだがよ」


 あんだよ。こんな俺でも心配なのは同じさ。只、できることには限度があんだよ。だからそれを見極め・・・ってなに言ってんの、俺。


「お前の言いたいことは、わかるよ。要は、素人の俺たちが首つつっこんで厄介ごとを増やすなってことだろ?」


 その通りです、ええ。

 ・・・今、そんなこと思ってなかっただろ、と思ったやつ、俺がそんなやつに見えるかい?


「なら、帰るか」


 そう鳴海が言い出した。


「そうだな、帰るか」


 帰ることになった。さもあっさりと。

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 ──そして会話が続かない。

 だってなに話せばいいかわかんないんだよ!鶴乃がいないってのに普通に帰ってんだぜ?どうしたらいいのさ。

 鳴海のやつは・・・っておい。なに持ってんだ。


「なにって、鶴乃のヘアピン」


 えーっと、それはどこで?


「どこで拾ったかってことか?さっきだが」

「ってちょおおぉぉぉ!!」

「!なんだよ。ビックリするぞ。というかしたぞ」


 いやいやいや、だってお、おまっ!


「言えよ!!」


 俺は、がしっ、と鳴海の両肩を前から掴む。

 いつ拾ったんだ?そういえば、俺が帰ろうって言ったたきにゴソゴソしていたが・・・。もしや、そのときか!けれど、そのときに言えばいいはずでは・・・。

 鳴海は何か言いたげな顔をする。

 なんだよ。


「いやだって、帰るかって言ったからよ。だから・・・」

「だからなんなんだよ!」

「だから、じゃ、帰るかって思った」

 ・・・

 ・・・

 ・・・

「──ってそれだけかよ!?」

「なにが?」

 なにが?じゃ、ないんだよ!!

「なあ、鳴海さんや」

「な、なんだ」


 俺は、自分の目頭を押さえて言う。


「お前はもう歳だ。いい医者教えてあげるから、病院行け」

「なに言ってんだお前」


 それはお前だ、とは言わない俺であった。



 なんか今日の鳴海は、少しばかり──いや、だいぶおかしい。

 基本的に俺よりも頭いいし、難しいこともわかるし、運動も俺よりもできる、そんなやつだ。良いことと悪いことがちゃんとわかって(当たり前なんだけれど、だから尊敬しちゃう?的な)何気に優しいし、完璧超人なやつなんだけれど。


「うん、本当に病院に行けよ。鳴海に倒れちゃ、こっちが困る」

「──さっきからお前は何を言っている?」


 いや、だから、病院の話───ってちゃうやんか。

 俺は、ぶるぶるっと首を振る。

 と、そんな俺をじっと見てきて────


「お前の方が病院行ったらどうだ。俺からすれば、今日、お前の方がおかしいぞ?」


 そんなわけあるか。いたって平常だが。


「勿論、全部が全部お前じゃないってことではない。

 いつもなら、どうでもいいことはしないし、言わない主義だろ?」


 それが何か?てか、それだと、していたってことになるが。


「自覚してないのか?してたろ。言ってたろ」


 そんなわけあるか。

 

 とことこ、と歩く。


「まず第一に、鶴乃を探そうとしていた」


 そりゃ、当たり前だろ。どこが変なんだよ。


「お前の場合、「俺が探したとしても素人にできるわけないでしょうが。それは警察の仕事だろ?」とか言って学校──もしくは、家でのんびりと過ごす筈だ」


 お前、普段どう俺のこと見てんの?



 家に帰る前に鶴乃のヘアピンをわたしに交番に寄る。

 交番内には、二名の警官がいた。黒のスーツを着た人──甘徒大和(あまずやまと)というらしい──と手にスーツを持ってシャツだけの人──藤堂有馬(とうどうありま)というらしい──だった。その人たちの話によると、鶴乃の捜査に所轄が動いているらしく、今はその最中でここに来たらしい。


「それはほんとかい?」


 二人に鶴乃のヘアピンが落ちていたことを話すとそう言った。

 俺は、捜査の方は順調かと聞いた。


「いいや、めぼしい証拠や痕跡は今のところなくてね。ああ、一つだけあった。」


 甘徒大和さんはそう言って胸ポケットから手帳を出して開いた。


「二日前──帰ってこなかったっていう日のことなんだけど。コンビニで鶴乃さんを見たっていう人が五人ほどいたんだ」

「コンビニで?」

「そ、ここの近くのコンビニで。」


 ここを左に曲がって五分ほどしたところにあるコンビニか。


「いいんですか?民間人にそんな情報を話してしまって」


 鳴海が聞く。そうだな。秘密事項じゃないのか?


「ほんとはあまり喋っちゃ駄目なんだけど、情報提供者だし、行方不明の子は君たちの同級生だろ?だから、少しぐらいは教えておこうと思ってね」


 わぁお、優しい人でよかった。


「それじゃ、捜査に戻るか」


 甘徒(あまず)さんは、横にいた藤堂さんにそう言った。


「そうですね。それじゃあ、気をつけて帰れよ」


 あ、藤堂さんが喋った。初じゃね?


「情報ありがとな。じゃ」


 二人が外に出ていく。


「捜査お願いします」


 俺たちはそう言って出ていくのを見ていた。





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