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吸血鬼少女たちの最期の戦場  作者: 兎乃鬼ぃちゃん
第一章 排除篇
3/14

No.001

 自分は浮遊していた。

 此処は何処だ。

 白と黒のみで構成されているモノクロの世界。

 見たことがない世界だった。

 何故、自分は此処にいるのか。

 何も思い出せない。

 此処に来る前のことも思い出せない。

 突然、意識が覚醒した。

 それしかわかることがない。

 他は何も、全ての知識がない。

 脳は空になっている。

 頭が痛かった。

 とにかく痛かった。

 頭痛、ではないようだ。

 外傷もない。

 なら何故。

 しかし答えは出ない。

 記憶がないから。

 以前に何をしていたのか。

 思い出そうとするほど思い出せなくなる。

 果たして自分は、人間なのだろうか。

 知識がないから、確かめようがない。

 記憶がないから、確かめようがない。

 自分は、モノクロの空間を移動する。

 知識がなくとも自然とできた。

 浮遊しながらの移動は、気持ちがよかった。

 何も考えなくていいから。

 此の世界には、何もない。

 モノクロといっても物があるわけではない。

 白と黒が絡み合った、非現実的なもの。

 何と言えばいいのだろうか。

 わからない。

 浮遊は気持ちがいい。

 けれども。

 此の世界は、気持ちが悪い。

 吐き気がするような、胃が捻れるような。

 こんな体験初めてだった。

 ああ。

 私は流れていく。

 此の空間を。

 しばらく移動した時だった。

 ──貴方は、何を求めているの?──

 声が聞こえた。

 しかし、姿はない。

 ──私を探そうとしても無駄だよ。──

 何故?と自分は尋ねた。

 ──私は霊子──

 霊子・・・?

 ──そう、此の空間に溶け込んでいるの──

 見えないの?

 ──ええ。誰にも見えやしないわ──

 ねえ、何で実態がないのに生きているの?

 自分は聞いてみたくなった。

 ──実態がなくたって生きているのが常識──

 ──普通、全てのものは生きているの──

 ふうん。

 じゃあ、此の世界も生きているの? 

 ──生きていないさ──

 此の言葉には、圧があった。

 ──ねえ、貴方は、何を求めているの?──

 最初に聞かれた質問だ。

 自分は何を求めているのだろうか。

 第一、何故此処にいるのかわからない。

 ──わからないのかい?──

 そう、わからない。

 ──其れは、ほんとかい?─

 本当だよ。

 ──いや、違うね──

 何が違うの。

 違っちゃぁいない。

 ──ふふ。やっぱり貴方だわ──

 何を言って・・・

 ──ねえ、此の世界に不満はない?──

 不満?

 ━━ええ、此の世界をどうしたい?━━

 急に何?

 ━━こえて、お願い━━

 こたえてって言われても。

 その前に此処には、何もないと思うんだけど。

 此のままじゃ、不満も何もできやしないわ。

 ━━なら、其れが貴方の不満ね━━

 ・・・・・・!

 だとしたらなに?

 ━━貴方は、此の世界をどうしたい?━━

 どうしたいって、其れは・・・。

 ・・・変えたい、かな・・・。

 ━━ふっ。其れが貴方のこたえ━━

 え?

 どういうこと?

 ━━時間がないのよ。貴方に此れを━━

 霊子がそういうと自分の後ろから音がした。

 ピキ、ピキ、ピキ。

 カン、カン、カン。

 金属同士で叩いたような。

 自分は後ろを振り向く。

 其処には。

 ブルーサファイアの色をした物があった。

 ━━此れは、生の碑石━━

 生の碑石・・・。

 ━━此れを貴方に授けよう━━

 授けるって何で。

 ━━私は、時期消える━━

 え?

 ━━だから此れは言っておく━━

 な、なに?

 ━━イメージだよ。イメージして・・・━━

 頼んだよ、と言って言葉が溶けていった。

 私は、碑石の下に行く。

 イメージ・・・か。

 碑石に手をかざす。

 すると・・・・・・ ─────◯◯◯◯◯◯◯○【■←←■←←■■■■』◆◆ーゞ〃仝/―ー〇_〉〕‘ゞ〇/仝‘―|&◇◎●▲△■◆¢%#*@¥¥$∴♀♂≦ΘΙ∽‰≪∬∝♭♪ФЦЧШЩСЙН┴┛┏┏┃━┃⊿■◆◆

■■■■■■■■■■■■■「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 自分は目を開けた。

 いつの間にか目を閉じていたようだ。

 また、あのモノクロの空間にいなければならな

いのか、と思った。

 が、違った。

 いろがあったのだ。

 ものがあったのだ。

 霊子は言った。

 頼んだよ、と。

 こういうことだったんだ。

 自分は、いや、私は、任されたのだ。

 私は、手を、ばっ、と広げる。

 名前。

 そう、私が求めていたのは、名前だった。

 うん、そうだ。

 今の私には、名前がある。


「私の名前は、フリエル!此の世界の神だ」


 此処に、神━━フリエルは誕生したのだった。

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