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吸血鬼少女たちの最期の戦場  作者: 兎乃鬼ぃちゃん
第一章 排除篇
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【西暦2037年より】

暇潰しで書いてみたんですけど、思い通りにいきませんね。

 其処に何が有るのか、在るのかと聞かれたら、皆は必ずこう応える。

「何もない」と。

 だがしかし、ある奴は言った。

「全てがアル」と。

 其れを聞いた者は、どういう理屈なのか、必ずこう言った。

「光にアレ 闇にアレ」と。

 理解不能な言動に其れを聞いた人は、不思議に思った。そして判った。理解不能な言動にではない。理解出来る言動にだ。

 意味はわかるだろうか。つまり、理解不能なのは、オリジナルを聞いていない人だけ。逆に理解出来るのは、聞いた人だけ(当たり前なんだけど)。

 身体を徐々に徐々に蝕んでいく毒のように、ペスト等の病が広まるように、理解して、理解不能な言葉を言う。何の目的もく、ひたすらに繰り返す。其れが全てと言うならば、何が無いのだろ

うか。いや、全てがあるからこそ何も無いのではないか。


「■■■■■━━━━━」


 何者かは言った。何を言ったのかは、誰にもわからない。わかる筈がないのだ。何故ならば。此の者は━━━━━━━━━━。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 

 春。其れは、俺がまだ高校生ではない朝のこと。いや、正しく言うならば高校入学式当日の朝である。もう高校生なんだなと呑気に思いながら、寝床についた昨日は既に過ぎ去り、代わりに少しウザいけれど、有難い家族に見送られ、俺は此れから御世話になるであろう高校に足を運んだ。

 特に何の特徴も無い学校なのだが、言うとすれば、俺が通う高校が長い坂を上った丘の上にあるということがあげられるだろう。

 いや、坂長いだろ!

 とまあ、文句を言ったところで何かが変わるわけではないのだけれど。

 長い坂を登りきり、ついに学校が見える。まだ此の時期だというのに汗が出てきた。暑いというよりかは、疲れたという方が正しいだろう。

 此の高校、勉強の前に疲れろと言っているのか。本当にそう考えているとしか思えない。いや、運動は大切だろう。その為、学校では体育の授業を必ず受けなければならない。だからといって此処までしなくてもいいように思う。というか普通そうだろ。体育科の学校ではないのだし。


「 グフッ」


 登った後の気持ち悪さが出てきた。因みにこの機体は俺の好みではない。(一部の人しかわからないかもしれない)

 長い坂を登ると直ぐ目の前に学校がある。間近で見ると何か凄いのが有るかもしれないと思ってしまうが、あくまで其れは其れ。少し行事が盛り上がるだけで学力は其処まで高くなく、それでいて低くもない。微妙なのである。

 何であれ高校は何処に行っても面倒くさいのだという考えの下、まあ、何となくで卒業できるだろと思ったのが此の高校だったわけだが、しかし面倒くさいのは、内だけではなく外にも有ったのだと知ると暗澹たる気分になり、其れが学校に着くまでの長い坂なのだと思うと更に暗澹たる気分が倍増した。

 果たして其れは罰なのか、はたまた只の偶然か。何れにせよ受かった以上は此の坂を登り、学校に行かなくてはならない。

 最悪だ、という言葉が頭の中を反響する。

 此れが「高校生だから」という理由により有るとするならば、今後の学生の進路に影響が出るのではないか?

 ・・・とまあ、どうでもいい負にしかならないことを心の中で呟いていると、何時の間にか式場の体育館に居て何となくで入学式が始まった。

 入学式・卒業式での恒例といえば、校長の長い御話だろう。まったくどうして校長というものは、ああやって長い眠くなるような御話が好きなのだろうか。不思議でならないが、只目的が無いわけではないのは判る。

 何、校長に便乗する訳ではない。単にそうであるという普通のことを言っているだけだ。だからといって長い御話は理解出来そうもないが。

 そうこうしている内に入学式は何となくで終わり、めでたく一年生となった俺達は、早く帰りたいのにもかかわらず、教室へと行かされた。いや、連行された、の方が正しいだろう。クラスは全部で八クラス在り、其の中で俺は一組となった。

 ・・・何か教室、端に在るんですけど。何此の仕打ちは。

 教室に入るやいなや担任の羽場椰は、どうでもいいような話をし始め、話すことが無くなると急にこう言い出した。


「皆から自己紹介をしてもらう」


 何じゃそりゃ。

 其の言葉を聞いた瞬間、俺はそう思ったね。何でも今日しなくともいいだろうに。と思いつつ、

流しながら生徒の自己紹介を聞く。中には、顔見知りの奴らが結構いて、待て待てお前ら、俺をつけてきたんじゃないだろうな、と我ながらどうでもいいことを思っていると俺の番が来た。

 特に何を話そうか考えていた訳でもないので、名前を言ったあとぼそりと趣味程度のことをしゃべり、此れくらいがいいだろうと勝手に思いはがら、席に着席した。

 此の後も他の生徒は、ぼそりと或いははきはきと自己紹介を終えていった。

 えーと、読者が何を考えているかは、俺には判らないが、しかし期待していたであろう事は判る。あれだろ?馬鹿なんだけれど頭が良くて、スポーツから家事やらなんやらまで出来てしまう、しかし、やっぱりすることが阿呆な奴が出るのを期待していたのだろう。つまるところ、アニメとかで出てきそうな奴ってことだ。

 ━━━しかし、そんなのは、皆無だ。

 何せ。

 一応、そういう世界ではないからだ。

 否。現実世界ではないという訳ではない。単に居ないだけ。



 此の物語は、只の物語ではない。しかし、ああいうのがいるような世界ではない。いや、いるにはいるのだけれど。

 現実的で普通の世界で、其の中で其の中だけで起こる日常。

 それは何の面白味もないかもしれない。

 しかし、其れでも読むという読者がいるのであれば、俺は其れに応えようと思う。



「主は仰った。人間は神であると」



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